今の日本共産党がやっていることは、プロパガンダによる安倍政権批判に終始し、政治的なヘゲモニーを握ろうとしているだけだ。シールズなる民青の別動隊にしても、それこそ70年安保の頃からの歌って踊っての延長でしかない。1989年にベルリンの壁が崩壊して以降の、世界の流れとはまったく無縁で、党内民主主義はまったく機能していない。代々木官僚による上からのトップダウンが全てなのである▼科学哲学者の佐々木力は、日本で数少ないトロッキイの研究家である。佐々木は『生きているトロッキイ』を1996年に出版した。そこではトロッキイの業績に触れ、スターリン主義という牢固たるイデオロギーを問題にした。そして佐々木が訴えたかったのは「抑圧された階級の先頭に立って、かつ階級内民主主義を擁護して闘う思想」ではなかったかと思う。東北大宇で学んでいたときにトロッキイに共鳴した彼は、高卒の労働者からその言葉を教えられたという▼あえてその言葉を持ち出したのは、スターリン主義には民主主義がないとの理解があるからだろう。佐々木はまだ共産主義を捨てきれないようだが、それは無いものねだりでしかない。都知事選をめぐる日本共産党の一方的な押し付けに対して、共闘した勢力から批判の声が出ている。しかし、いくらトロッキイを引っ張り出しても、共産主義にとっては「階級内民主主義を擁護する」というのは絵空事でしかない。それを真摯に受け止めることから新たな変革の思想を培うべきなのである。
←応援のクリックをお願いいたします。