参議院選挙に小林節が立候補するのだという。小林の記者会見での発言を産経新聞が紹介しているが、党名が「怒り新党」というのだから、それだけでも滑稽である▼アメリカ軍の辺野古移設についてのコメントも振るっている。「僕はアメリカで訓練を受けたから、アメリカンデモクラシーでいえば個々人が一番上で、それと直結して自治体がその次で、中央政府は連絡政府になっているから、住民投票で自治体が嫌だといっていることを国策で押しつけるのは、少なくとも世界で最初に民主国家をつくったアメリカとか、二番目につくったフランスとか、デモクラシーの伝統から言えば理解できない」と批判したのである▼個人があって自治体があり、それから国家なのだそうだ。個人のエゴや地域のエゴを認めるのが民主主義なのだろうか。まさしくそれはミーイズムでしかなく、他者への思いやりや、公共の利益をまったく無視した議論である▼日本の憲法学者の観念論には、大方の国民が辟易している。日本の国柄を抜きにして、憲法を語ることが間違っているのである。アメリカ流の民主主義を絶対視し、それを日本に当てはめようとするのが小林ではないだろうか▼憲法改正論者であった大石義雄は「西洋の歴史は、君主対国民の政治闘争の歴史であるから、君主の手に握られていた主権が国民の手に移ったことを示す用語として、主権在民又は国民主権という言葉は、その歴史を示す言葉として適当である。しかし、日本では、皇室対国民の政治闘争の歴史がないのである」(『憲法改正の根本問題』)と指摘していた。その辺の理解が小林にはないのだと思う。曲学阿世の徒なのである。
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