アメリカは民主主義国家である。それがゆえにかえって国民が暴走する危険性がある。そのよい例が今のアメリカの大統領選挙ではないだろうか。トランプが共和党の大統領候補として指名されるとは、誰もが考えていなかったと思う。歴史が浅いアメリカには国民が絶対であり、それを律する価値規範が存在しないのが問題なのである▼これに対して日本は違う。民主主義の堕落を防止するために日本には天皇制があることを、尾高朝雄は『法の究極に在るもの』のなかで書いている。「日本における天皇の地位はもともと理念的なものである。皇統が『万世一系』であるというのも、歴代の天皇が『徳を以て民に臨み』給うというのも、それぞれ一つの理念なのである。それは、きわめて特殊な理念として、今後も日本の国民生活の上に特殊な存在理由をもつであろう。普遍的な政治の矩を天皇の大御心という特殊な形で把握して来たということは、日本民族固有の歴史的伝統として尊重されるべきであろう」▼目指すべき正しい政治の理念を天皇は体現されておられるのだ。尾高は「普遍なる民主主義の原理と特殊なる天皇制との総合・調和の中に、日本の『国内法の究極に在るもの』を求めることができるであろう」とまで主張した。日本の国柄とは、まさしくそれを指すのである。「天皇は純粋の理念の具象として、あくまでも現実政治の外に立ち給うべきである」ことは言をまたないが、独裁政治を防ぐためにも、天皇陛下がおられことが大きな歯止めとなるのである。
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