野党やマスコミが平和安全法制関連法案を「戦争法案」だと批判しているのは、安倍政権を倒すために利用しているだけだろう。葦津珍彦は『土民の言葉ー信頼と忠誠の精神ー』に収録された「集団暴力の理論ー全学連と安保闘争ー」において、60年安保騒動がなぜに集団暴動を引き起こしたかを分析している。社会党や共産党が「安保は戦争に通じる」とぶち上げていたので、全学連主流派であったブンドは「社会党共産党の指導者は、安保条約を破砕せねば、日本は戦争にまきこまれ、民族破滅の危機が来るといっている。安保反対の闘争は、生死に関する真剣な戦いでなければならない」と息巻いて、岸政権を倒すために、国会を占拠するなどの集団暴力がまかり通ったのである。「安保は戦争に通じる」との言葉を信じるならば、暴力の行使すらも容認されてしまうからだ。ブンドの行動はそれなりの論理的帰結なのである。葦津は「安保条約を改訂すれば、たちまちにして戦争がおこるような扇情的な認識にもとづいて、安保反対の運動をまきおこしたことこそが、許しがたい惨劇の原因をなしたのである」と書いている。今回もまた同じではないだろうか。明日にでも戦争が勃発して、生命が危険にさらされるのであれば、その危険から身を守るために暴力を行使したとしても、正当防衛や緊急避難の法理によって容認されるからである。危険な火遊びをしていることを、野党もマスコミも気付いているのだろうか。もちろん、それに対抗すべき自民党の情報発信力のなさも大問題ではあるが。
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