銀幕大帝α

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ウトヤ島、7月22日

2019年10月19日 14時52分25秒 | 洋画サスペンス
UTOYA 22. JULI/UTOYA: JULY 22
2018年
ノルウェー
97分
ドラマ/サスペンス
劇場公開(2019/03/08)



監督:
エリック・ポッペ
出演:
アンドレア・ベルンツェンカヤ



<ストーリー>
2011年7月22日にノルウェーのウトヤ島で起きた戦慄の無差別乱射テロ事件を映画化した実録サスペンス・ドラマ。たった一人の極右の青年によって69人の若者が犠牲になった悪夢の惨劇を、標的となったサマーキャンプに参加していた一人の少女の視点から、ワンカットによる臨場感あふれる映像で描き出す。(allcinemaより抜粋)

衝撃の72分間、ワンカット。

―感想―

ワンカット長回し映画て多そうで割と少ない。
かなり挑戦的な演出やからね。

本作はサマーキャンプに参加した少女カヤにカメラの焦点を当てたワンカット作品。
無差別に参加者を撃ち殺す警官に扮した犯人の「目」から逃れるのと同時に、行方知れずとなった妹エミリアの居場所を探すカヤの姿を終始映し出している。

ワンカットと聞くとNG無しが前提ではあるので、撮るのが大変だろうなと思うのだが、本作は意外と動きが少ない。
「隠れる」事が優先となっている為、一つの場所に留まる時間が長いから、案外ワンカットとは云え、そんなに苦労する程ではなかったように推測は出来る。
事前にきちんとした絵コンテを作っている事は確かではあるが、撮り始めたら一発勝負なので、これはもう役者とカメラマンとの連携プレイ(意思疎通)が無ければ成立しないものではあるものの、対象者がカヤ一人である事と前述したように行動範囲が狭い事が幸いし、思いのほか撮影が上手くいったはず(と私は予想)。

が、この中でのカメラマンの第一使命はカヤの表情をまんべんなく撮る事であって、それを怠ると、ただの逃げ隠れしているだけの作品に成り下がってしまう。
そこは流石のプロのカメラマンだけあって、カヤを演じた女優と一緒に動きながら周囲の様子を撮りつつも、その状況に応じたカヤのリアクションもしっかりと映し、観客に対して究極の「怖さ」を提供してくれていました。

はっきりと犯人の姿は映してはいないが、72分間も続く銃声音。
その音が遠いと不安はひと段落付くが、近付いて来るとカヤと同じ気持ちにさせられる。
「もうやめて!!」
と。
あちこちから参加者達が逃げ走ってカヤの目の前を駆け抜けていくと、犯人は何処から撃っているのか、何処から近付いてきているのか、カヤ同様に観客も判断が不能で、そこが本当に恐怖。
身を潜めている間も、その時はどういった心境に陥るのか、その辺もリアルに役者は演じ、カメラマンは撮り続けている。
思うに私が当事者だったなら、全く同じ事をしているだろうな、てのをカヤだけじゃなく、偶然居合わせて息を殺して隠れている友人たちもやっているのを見て、この一連の流れを組み立てた脚本家は相当人間心理を理解しているんじゃないかと。
「そうはしないだろ」というものは少なく、「そうするだろうねえ」と同調させられる事が多いのよ。
だから余計にその場に居る空気を感じ、余計に緊迫した心持ちにさせられ、余計に「怖さ」から疲れてくる。
これらを体感することにより必然的に最後にカヤが起こした行動にも理解が出来、直後、カメラが捉える対象者が入れ替わった瞬間に絶望の底に突き落とされ(ここだけでも十分やるせない気持ちにさせられるのに)、ラストカットで一人の人物を見せられる事により「カヤの想いが届かなかった」という意味でも寄り強い衝撃に襲われ、どっと悲しみだけが湧いて来て完璧に心が沈んでしまった。

最終的にどういった結末になるのかと興味が凄く持てるけど、まさかそういう・・・はあ(>_<)

いきなり発生したテロ攻撃、これに対して人はどういう行動を起こし、どういう風に精神が不安定となっていくのか、本作ではそれらを一人の女性の目を通して克明に描いていたのではないでしょうか。

今作の可愛い女優図鑑

カヤの妹エミリア。
多分、反抗期。
姉とは口喧嘩になる位に意見が対立している為、別々の行動に。
その事があって、姉は消息不明となってしまった妹を懸命に探す羽目となる。

来ているセーターはカヤのものだが、このオレンジ色のセーターがラストでの悲壮感を観客に突きつける「目印」となっている。

評価:★★★☆
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レンタル開始日:2019-10-16
メーカー:カルチュア・パブリッシャーズ

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関連作:
『7月22日(2018)』(同一事件)
『ウトヤ島、7月22日(2018)』(同一事件)

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