いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

新自由主義の復権

2016年08月05日 | 極楽日記(読書、各種鑑賞)

 少子高齢化と福祉サービス、医療サービスの高度化が進行し、国家財政は実質的に破綻に近付いています。打開策には極端なインフレを起こして弱い立場の国民を犠牲にするか、負担を適正化して小さな政府を作るかしかありません。どちらかと言えばインフレターゲットの方が負担を先送りできるだけ有権者への受けは良く、ポピュリズム的な政局ではそちらの政策が取られがちです。負担の公平や国際協調、経済成長への影響など総合的には後者の新自由主義的な解決策が優れていますが、新たな負担に対する抵抗は強く、有権者の理解が得られません。

 本書では日本における新自由主義政策の象徴である小泉改革が、その後広い層からの批判に曝されている現状を鑑み、小泉改革の問題は新自由主義政策を採用したことではなく、それが不十分だったことにあると説きます。ミルトン・フリードマン「資本主義と自由」が古典的な名著ですが、本書はその正当性や、現在の日本における必要性、導入のための方策を具体例に即して説明してあります。引用や例示、比喩なども明快であり、簡単な経済学理論の解説もあって概要を掴みやすいです。入門書としてはとても優れた本だと思いました。
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