報道によれば、仙谷由人政調会長代行が名古屋の講演で、原発を停止したままにしておくことは経済と生活への影響が大きく、ある意味で集団自殺をするようなことになる、と発言したそうです。
さすがにロイターなどは発言内容に対して中立の扱いですが、中日新聞あたりは相当に批判的な記事になっています。今までの報道姿勢を見れば予想できることですが。中日のスタンスは、リスクとベネフィットを天秤に掛けて評価することなしに、リスクばかりを感情的に拒絶する読者層には共感されるでしょう。しかし同社が日本人の生活について責任を負っているわけではありません。
石油価格、あるいは天然ガスの価格がどこで決まっているのか、理解できる人には仙石発言は妥当なものです。そう、どちらも市場で決まります。
「オレんとこは、先祖代々オタクの店から炭を買ってるだ。これからも絶対に他では買わねえし、ガスに替える気もねえから頼むぞお。」と言われれば、意気に感じた店主が「おお、わがったとも。どこの家より安くしてやっから任しとけ!」と言ってくれるのはごく限られた経済圏だけです。世界有数のエネルギー消費国である日本の需要を賄う石油の量は膨大で、これを国際市場で調達しないといけません。「世界経済のネタ帳」によれば去年の原油輸入額は約1850億ドル。為替レートにもよりますが80兆円近く。これだけ巨額だと、ただ安定して購入するだけでも数多くのプロの労力が必要です。石油が日本の生命線の1つであることは疑いようがありません。
その日本が原発を止めたとしたら、喜ぶのはヘッジファンドのマネージャーとか、アラブの王様でしょう。ヘッジファンドがすべての原油を買い占めることはできませんが、日本の石油依存が大きくなるぞ、という波に乗って先物相場を吊り上げ、勢いをつけることはできます。こうなると日本政府が介入しても止められない上昇基調になります。好例は1992年のポンド危機。大物とは言え一介の投機家であるジョージ・ソロスのポンド売りを契機に、「ソロスに乗れ!」と世界中の巨大投機資金がポンド売りに走り、イギリス政府の介入も空しくポンドの大幅下落につながった事件です。国家といえども市場の流れには逆らえないのです。
自ら石油に依存する以外の選択肢を放棄してしまえば、投機筋の絶好の標的になるだけです。投機筋に膨大な利益をもたらすのは、もちろん日本人の資産。これが経済と生活に深刻な悪影響をもたらし、ある意味で日本人の集団自殺になる、という表現は何一つ間違っていません。もし菅元首相の構想みたいに原発を即時永久停止するならば、世界中のヘッジファンドから「日本はいい国だ」と感謝されるでしょう。それでなくても原発が次々停止することで、4兆円分の原油を余計に輸入せざるを得なくなったのが現状です。
それでは化石エネルギー以外の再生エネルギーで、と言っても、まだまだ石油や原子力にコストと安定性で太刀打ちできません。石油や原子力の1kwh当たりの発電コスト試算は、条件次第である程度上下しますが、5円台から10円台。これに対してソフトバンクなどのメガソーラー業者が採算ラインとしているのが40円台。ソーラー発電はこの数年で始まったものではなく、何十年も前の石油ショック以来、巨費を投じて研究を重ねた末がこの程度なのです。近年では改良の余地があまりなくなり、技術革新がほとんどなくなったため、価格競争力の強い中国企業に生産が集中しています。市場原理に反してメガソーラーに莫大な補助金を投じたところで、喜ぶのはソフトバンクと中国企業だけです。
「お金より命が大事」などと言いますが、公共インフラ、医療、食料、防災などを考えればわかるように、お金がなければ命も守れません。福島の原発事故は想定外の災害による重大な事例ではありますが、それでも被ばくによる死者はいないし、今までの医学的根拠に基づくなら、これからも死者が出る可能性はごく低いです。反面、全国の原発を廃止して電力が足りなくなることは、国民の生活つまり命を守るための財政基盤を著しく毀損することがほぼ確実です。これからも日本に住み続け、子供を守り育てる生活者として、仙石発言を支持せざるを得ません。
さすがにロイターなどは発言内容に対して中立の扱いですが、中日新聞あたりは相当に批判的な記事になっています。今までの報道姿勢を見れば予想できることですが。中日のスタンスは、リスクとベネフィットを天秤に掛けて評価することなしに、リスクばかりを感情的に拒絶する読者層には共感されるでしょう。しかし同社が日本人の生活について責任を負っているわけではありません。
石油価格、あるいは天然ガスの価格がどこで決まっているのか、理解できる人には仙石発言は妥当なものです。そう、どちらも市場で決まります。
「オレんとこは、先祖代々オタクの店から炭を買ってるだ。これからも絶対に他では買わねえし、ガスに替える気もねえから頼むぞお。」と言われれば、意気に感じた店主が「おお、わがったとも。どこの家より安くしてやっから任しとけ!」と言ってくれるのはごく限られた経済圏だけです。世界有数のエネルギー消費国である日本の需要を賄う石油の量は膨大で、これを国際市場で調達しないといけません。「世界経済のネタ帳」によれば去年の原油輸入額は約1850億ドル。為替レートにもよりますが80兆円近く。これだけ巨額だと、ただ安定して購入するだけでも数多くのプロの労力が必要です。石油が日本の生命線の1つであることは疑いようがありません。
その日本が原発を止めたとしたら、喜ぶのはヘッジファンドのマネージャーとか、アラブの王様でしょう。ヘッジファンドがすべての原油を買い占めることはできませんが、日本の石油依存が大きくなるぞ、という波に乗って先物相場を吊り上げ、勢いをつけることはできます。こうなると日本政府が介入しても止められない上昇基調になります。好例は1992年のポンド危機。大物とは言え一介の投機家であるジョージ・ソロスのポンド売りを契機に、「ソロスに乗れ!」と世界中の巨大投機資金がポンド売りに走り、イギリス政府の介入も空しくポンドの大幅下落につながった事件です。国家といえども市場の流れには逆らえないのです。
自ら石油に依存する以外の選択肢を放棄してしまえば、投機筋の絶好の標的になるだけです。投機筋に膨大な利益をもたらすのは、もちろん日本人の資産。これが経済と生活に深刻な悪影響をもたらし、ある意味で日本人の集団自殺になる、という表現は何一つ間違っていません。もし菅元首相の構想みたいに原発を即時永久停止するならば、世界中のヘッジファンドから「日本はいい国だ」と感謝されるでしょう。それでなくても原発が次々停止することで、4兆円分の原油を余計に輸入せざるを得なくなったのが現状です。
それでは化石エネルギー以外の再生エネルギーで、と言っても、まだまだ石油や原子力にコストと安定性で太刀打ちできません。石油や原子力の1kwh当たりの発電コスト試算は、条件次第である程度上下しますが、5円台から10円台。これに対してソフトバンクなどのメガソーラー業者が採算ラインとしているのが40円台。ソーラー発電はこの数年で始まったものではなく、何十年も前の石油ショック以来、巨費を投じて研究を重ねた末がこの程度なのです。近年では改良の余地があまりなくなり、技術革新がほとんどなくなったため、価格競争力の強い中国企業に生産が集中しています。市場原理に反してメガソーラーに莫大な補助金を投じたところで、喜ぶのはソフトバンクと中国企業だけです。
「お金より命が大事」などと言いますが、公共インフラ、医療、食料、防災などを考えればわかるように、お金がなければ命も守れません。福島の原発事故は想定外の災害による重大な事例ではありますが、それでも被ばくによる死者はいないし、今までの医学的根拠に基づくなら、これからも死者が出る可能性はごく低いです。反面、全国の原発を廃止して電力が足りなくなることは、国民の生活つまり命を守るための財政基盤を著しく毀損することがほぼ確実です。これからも日本に住み続け、子供を守り育てる生活者として、仙石発言を支持せざるを得ません。