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トヨタ白川郷自然学校で頂いた夕食をまとめて紹介します。1日目のオードブルは地鶏の低温調理(と聞こえました)、温泉卵とジュレおよび付け合わせの野菜。低温調理ってよく知らないんですが、低温で時間をかけて加熱すれば組織が縮みにくいため、旨味が抜けないメリットがあるらしいです。でも普通に焼いても中はそんなに高温になりませんし、表面を焼くことで肉汁が逃げなくなりますので、大きな違いはないかと思うんですが。それに香ばしい皮のない鶏肉って物足りないですよ。
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サツマイモのスープ。本物はもっとどろんとしています。焼き芋みたいな独特の甘味と酸味があり、なるほどサツマイモだと思いました。食感はやや重くて、極楽妻はこれだけでお腹一杯になったそうです。
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メインは一品だけ。氷見漁港直送のスズキと地元野菜のポワレです。定番の料理ですが、やっぱりスズキはおいしい魚です。大切りにした野菜も存在感があって私にはちょうどいいです。ベシャメルソースはけっこう濃厚で、甲殻類ともよく合うかなと思いました。
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デザートはタピオカ入りココナツソースをあえたブランマンジュ。
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レストランの障子にも合掌造りが。
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さて2日目です。オードブルはローストビーフにベーコン風味のソース、野菜。健康を考えてくれたのか、ローストビーフに脂分がほとんどなくてぱさぱさしていたため、最初は何の肉かと思いました。
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ありきたりのパンプキンスープですが、1日目のサツマイモよりは色がきれいだし、食感も軽くてずっといいと思います。
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岩魚(イワナ)のポワレ、地元の野菜添え。多分、これがレストランのコンセプトを最も表現した料理なのでしょう。地元の食材を活用し、馴染みのいい和食ではなくあえてフランス料理とする努力は買いますが、元々の風味が強い岩魚にベシャメルソースが合うかなあ。付け合わせが赤カブ、白カブと、カブの葉あるいは野沢菜みたいなそれぞれ主張のある野菜なので、フランス料理と日本の漬物を同時に食べているような違和感がどうしても残ります。
飲み物に赤ワインを取ったのはちょっと失敗。これなら日本酒の方が調和したはずですね。最初に飲み物を注文する時に、メニューを聞いておけばよかった。一般の人はナイフとフォークで、ソースの掛かった身の部分だけ食べるから気にならないかもしれませんが、私は鮎や岩魚を出されたら、可能な限り頭から尻尾まで丸かじりして頂く習慣になっておりますので、余計にミスマッチが強調されたものと思います。岩魚の骨酒なんてのがあるぐらいですから、やっぱり日本酒が合う魚でしょう。
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定番の飛騨牛ステーキです。ベーコンを刻んだソースがオードブルとややかぶっているように思いましたが、食べてみるとあまり気になりませんでした。これも肉が少しぱさついた印象です。寒いとどうしてもボリュームのあるものを摂取したくなるので、刻んだベーコンよりは、ベーコンで肉を巻いてくれた方が良かったと思います。それにしてもこのベーコンは風味がないですね。朝食用にはこれでもいいですが、夕食には役不足です。同じようなソースを2回使われても鼻につかない、とも言えますけど。
魚料理にインパクトがあったので、この料理はちょっと無個性な感じがします。別のレストランで、山芋を使ったソースでステーキを頂いたことがありますが、そんなソースならコンセプトにも沿うように思います。あと、牛肉は値段の問題があるのでともかく、ベーコンはもう少しましなのが入らないですか?
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デザートのアイスクリーム。全般に料理があっさりしているので、この季節に冷たいものを出す必然はあまりないように思います。
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最後がティラミスと説明されました。チョコレートの合掌造りみたいなのが乗っています。フランス料理なのに何でティラミスかなとは思いますが、食べてみるとチーズ(もちろんフロマッジョ・マスカルポーネ)の風味が全然なく、安いホイップクリームの塊を食べているような感じ。これは誰が食べても不味いと思います。
総評すると、まあ白川郷でどうしてもフランス料理を食べたい人はどうぞ、という水準ですね。フランス料理を食べたことのない人なら旅の思い出になる程度だと思いますが、この料理を目的に白川郷に行くのはお奨めできません。岩魚のポワレも工夫は評価しますけど、本物の合掌造りの炉辺で串に刺して並べてある岩魚の塩焼きと朴葉味噌、濁り酒、そして民宿のお爺さんの精一杯の笑顔を思い浮かべますと、味でも演出でも負けていると評価せざるを得ません。炭火の温もりまで頂くような慎ましい喜びこそ、この地方の一番のおもてなしじゃないでしょうか?
このレストランが一般個人客向けの昼食の営業を止めてしまったのを見てもわかるように、都会のフランス料理店に比べてコスト的に不利なのはわかりますが、それだからこそ、せめて演出を考えてみましょうよ、トヨタさん。