晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

ムーンボウのこと ~出会い編~

2009年10月01日 | ムーンボウ(月光虹)
ムーンボウを初めて見たのは2001年の10月3日…
その日、泉岳を会場として行われた天文台主催の天文研修会に
参加したのだが、始まる前から時雨模様で雨が降ったりやんだり…、

上を見ると北西の季節風にのって、雲が次々と流れてきます。
見えているのは東の空低いところで照っている十六夜の月だけ、
雨が強くなってきたので、早々と研修会はお開きとなり即解散!

やれやれ、もってきたカメラを出すこともなく終了。
もっとも、天気が悪かったのでカメラは一応もってきただけ。
中身はASA100のリバーサルフィルム。しかも残コマ数は
5コマほど、でもレンズは標準50mmの他に広角28mmをもってました。

山道を降りること数十分、自宅まではひたすら東へ向かって走ります。
正面には十六夜の月がずっと見えています。交差点にさしかかったとき、
ふと右方向を見ると新しい道路ができています。

「ほひょ、こちらの方が走りやすいぞ」と右折したのだが、
予想に反して道路はひたすら南へ直進、見たことない所に
出てしまいました。「あちゃ~、遠回りだ…」車を降りて
たんぼの向こうを見ると、車の往来が見えます。
「よしよし、あれを東へ進めばOKだな」目の前には農道が1本…
車1台分の幅ですが何とか通れます。「レッツ・ゴー!」です。

結局、さらに南へ向かって走ることになってしまい…、やれやれと思って
何気なく窓から右方向を見ると、山をバックに何かが見えます。
「はて、細い雲?」白いものが伸びています。やや丸みがあって…
え!?ひょっとして…、左の窓からは月が見えています。もう一度
右の窓から外をよく見ると…、おお!白色のアーチが見えます。

「ムムム、ムーンボウだ!」「わわわ、撮影しなくては!」

急ブレーキで車を止め、後部座席から三脚とカメラを出して
まずは三脚の足のばしです。「消えるなよ!消えるなよ…」
カメラを持つ手がわなわなと震えます。「よし!まだ見えてる!」
「あちゃ~、画角が足りないぞ」50mmでは虹の半分しか写りません。

とりあえず撮影です。絞り開放F1.4、露出30秒で1枚撮影!

ふう~、即レンズ交換です。

28mmでも完璧にとらえることはできませんでした。

露出を変えて5コマ取り終えた頃、ムーンボウはかなり薄くなっていました。
写真では色が見えますが、肉眼では白色のアーチ状にしか見えませんでした。
そろそろ消えるかなと思っていたのですが、いっこうに消える気配がないので、
自宅に戻って家族を連れてこよう、と思い急いで車をとばすこと10数分…
自宅がある住宅地のはずれに車を止めてムーンボウを見ると…
よし、まだかすかに見えます。ここなら自宅から5分で来られます。

「お~い、みんな~、ムーンボウだ!車に乗れ~」
「ムーんぼうって何?」「どこいくの?」
「説明はあとだ~、いそげ~」

しかし、車を降りるとしーんと静まりかえった星空が広がっているだけ…。
なんと雲ひとつない快星となっていました。「見たかったな、ムーんぼう」
「ところで、ムーんぼうって何?」「それはね、かくかくしかじか…」
「へ~、そうなんだ~、ムーンボウみたかったな~」

「きっと、そのうち見ることができるよ!」とは言えませんでした。
確率的には0%に限りなく近いので…、

ところが、5年後、なんと子供たちと一緒にムーンボウを
見ることができたのです。事実は小説よりも奇なり~!

続きは「ムーンボウのこと ~まちぶせ編~」で