駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

比較の中の改憲論を読んで

2014年10月14日 | 小考

              

 台風一過の日本晴れとまではゆかないが秋晴れの空が広がっている。風は少し強かったが雨は18号よりも少なかった気がする。ラジオテレビで十分な情報が提供されたので被害は最小限にとどまったのではないかと思う。

 「比較の中の改憲論」岩波新書辻村みち子著を読んだ。この本は以下の問いに各国の憲法を比較し歴史的事実を踏まえ丁寧な解説をしている。それは公平客観的に論を尽くしたもので、専門的な知識のない人の眼を開くものだ。

1.日本の憲法改正手続(96条)は厳格すぎるのではないか。

2.憲法を尊重し擁護する義務(99条)を負うのは国民か。国政の最高責任者である首相が憲法改正を主張することは、憲法違反なのか。

3.日本国憲法は敗戦でGHQによって押しつけられたのだから、日本国民による選び直しがなければ国民主権とは言えないのではないか。

4.国民の義務より自由が保障されすぎていないか。

5.家族は助け合うべきと、憲法に明記すべきなのか。

6.非武装平和主義(9条)は非現実的なので、自衛隊を持つ現実に憲法を合わせるべきではないか。

7.国民主権を生かすため、憲法改正の発議と国民投票による手続きを多用すべきではないか。

 こうした問いは安陪一族から、どこにもなかった彼等の理想の過去を呼び返そうと発せられたものだ。この本を読むと安陪首相は憲法をきちんと読んだことがないような気がしてくる。少なくとも立憲主義と成文憲法をよく理解していないように思える。日本国憲法は押しつけられたものだからと理解せず守らなくてもよいものだろうか。ご都合を憲法よりも優先させる政治手法に恐怖さえ覚える。

 国と国民が依って立つべき唯一のものである憲法がないがしろにされているのに気付かさせてくれる本だ。

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