もし「痴ほう」で介護認定が付いたなら、普通だったらケアプランで「高齢者デイサービス」を意の一番にすすめられそうです。
それが、当事者が望まない訪問リハビリとなったとしたら、ご主人の意向で決まった可能性が高くはないでしょうか。
お話好きのMさんにとって「デイサービス」の話を聞いたり、見学に行ったのならその話を私にしてくれそうですが、彼女は「デイサービス」の「デ」の字もでませんでした。
Mさんは、無口なご主人とよく散歩をしていました。(ご主人が10m以上先を歩くこと多し)Mさんがご主人を愛しているのを隠そうとしませんでしたので、Mさんがどんなにご主人を好きかはわかっていましたが、ご主人の方は?実は亭主関白に見えるご主人こそ、Mさんへ思いが強いとしたら-
そんなことを考えていたら、夕方にMさんのご主人がやってきました。
彼は、私に、「妻が痴ほうで介護認定を受けたこと、昨日私と話したことで、訪問リハビリを嫌がっているので、妻が相談にきても受け流してほしい。私が頼みに来たことは妻に内緒にしてほしい。」
と語りました。
「やっと介護認定をもらったのに・・・」というご主人に向かって、差し出がましいとは思いつつ、
「デイサービスなどは利用されないのですか?」
と問うと、彼は体を固くして、「その話はいい」顔をこわばらせて背を向けたご主人。
「妻が痴ほうになったことのストレス」を抱えつつ、記憶がなくなっていくかもしれない彼女と時間を共有することをおそらく彼は選んでしまったのだと、悲しい気持ちになりました。
この2~3か月前ごろから、Mさん一人で散歩するようになっていて、むしろご主人の具合が悪いのかと思っていました。しかし、実情は蓋を開ければこういうことでした。
「足や腰もいたむMさん、しかも痴ほうの症状が出てるMさんの一人散歩」させながら、もしご主人が自分で面倒をすべて見る気でいるのだとすれば、それは双方にとってよい結果を生むように思いません。
そうであっても、せっかくの介護保険もケアマネも、手助けできることがありながら手助けできないばかりか、ひょっとしたらMさんの別居の子供たちにも夫と本人を説得できないのではないように思います。
5月31日追記:
今日もMさんが一人カートを押しながら散歩している後ろ姿をみかけました。一見彼女は痴ほうの症状が軽いとしても、家がわからなくなる場合もあります。ご主人が目を離したすきに外に出てしまうのか、ご主人が「まだ大丈夫」と行かせているのか。後者だとしたら、ご主人の判断もおかしくなっているんじゃないかとも思えます。(老夫婦で片一方が痴ほうになった場合、もう一方がうつ状態で判断がおかしくなったり、引きこもることがあると思う。)この状態が続くのであれば、おせっかいで市の福祉課に相談してみようかと思います。
高齢者人材センターの職人枠マネージメントをやっているとき、大工仕事を依頼してきた2名の依頼がおかしいことがありました。一名は一人暮らしで「庭全体をコンクリートで埋めてくれ」と言い、もう一人は「窓をふさいでほしい」と依頼してきたものの、派遣した職人さんに「天井や窓からいつも誰かがのぞいている。」と言ってきた人。
後者は職人さんが断ってそれまででしたが、前者は昔の同僚(市の外郭団体)に相談、そこから市役所経由ケアマネに連絡、別居の息子さんに連絡して、依頼を取り消しました。
今は当時より個人情報が厳しくなっているとで、福祉課も動かない(動けない)かもしれません。それに加え、高齢者だけの世帯、高齢者の独居は増え続けていて手に負えない-こういうことを政治家がなんとかすべきなのに・・・。