こんばんは。 人事コンサルタント・社会保険労務士 内野光明です。
国が、2015年度から幼稚園と保育所の機能を併せ
持つ認定こども園制度を刷新するのを機に、
認定の返上を検討する施設が増えていることが
わかりました。財源の不足で、運営費の補助水準が
低くなる見通しとなったためです。待機児童解消の
切り札として期待されたこども園ですが、認定返上が
相次げば、保育の受け皿が増えないだけでなく、
地域の拠点として担ってきた子育て支援事業まで後退しそうです。
認定こども園は現在、幼稚園と保育所の両制度から
補助を受けていますが、来年度から補助や施設基準などが
一本化されます。こども園になる幼稚園や保育所を
増やすため、制度の垣根をなくすのが狙いです。
しかし、政府が5月末、来年度以降に施設が
受け取る補助の公定価格案を示したところ、
地方の小規模施設の経営に配慮したこともあり、
園児数の多い園ほど補助が減額されることがわかりました。
こども園を含む子育て支援策の拡充には、年1兆円超の
追加財源が必要と政府は試算していましたが、現在確保
しているのはこのうち7000億円だけで、
それも消費税が10%に上げられることが前提だからです。
全国に1359園あるこども園のうち、345園が加盟する
全国認定こども園協会が今月行った緊急調査によると、
回答した会員201園のうち25%にあたる50園が、
「認定こども園をやめて幼稚園か保育所に戻る」ことを
検討中と答えました。
政府はこれまで、全てのこども園が新たなこども園制度に
移ると想定してきました。しかし、同協会の調べで、
私立幼稚園が運営する大規模なこども園で返上を検討
する動きが目立ちます。
同協会によると、北海道の定員400人ほどの園は
「年2400万円の減収」が見込まれると回答しました。
定員500人ほどの九州の園は「年3000万円の減収」が
見込まれるとのことです。
返上が相次げば、保育の受け皿が減ることが予想されます。
こども園は、幼稚園より長い夕方までの保育や、夏休み期間の
保育も行いますが、幼稚園に戻れば共働き家庭の子は通えなく
なります。
家庭で育児する保護者のための相談や一時預かりなどの
支援事業も後退しかねません。
各施設は今秋にこども園を続けるか否かを決めます。
政府も年内には公定価格を正式に決定しますが、
認定返上の動きがあることについて、政府関係者は、
「返上が相次ぐとしたら残念なことで、
対応を考えなければいけないだろう」と話しました。
【認定こども園】
専業主婦家庭の子は幼稚園、共働き家庭は保育所という
枠組みを超え、幼児教育と保育を一体で行う施設です。
地域の子育て支援も提供します。国が2006年に制度化しました。
幼稚園が保育も行うようになれば待機児童解消につながると期待されます。
国は消費税財源を用いた新しい子育て支援制度の目玉と位置づけてきました。
平成26年7月23日 読売新聞より抜粋
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社会保険労務士 内野 光明
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