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旧作探訪#117 『ファンタスティック・プラネット』

2011-01-03 23:13:04 | 映画(レンタルその他)
La Planète Sauvage@レンタルDVD、ルネ・ラルー監督(1973年フランス=チェコ)
ルネ・ラルー初の長編(73分)アニメーションとなった本作は、ステファン・ウルのSF小説を原作とし、脚本と基本デザインをローラン・トポールが担当しているが、初期段階でトポールが手を引き、チェコのイジー・トルンカ・スタジオのスタッフたちもやや非協力的だったため、制作に4年を要した。しかしシュールで幻想的な独特の世界観は、同年のカンヌ映画祭でアニメーションとして初めて審査員特別賞を受けることにもつながり、アニメーション史に確かな足跡を刻んでいる。
真っ赤な目と青い肌を持つ、巨大で長命なドラーグ人が、人類をペット、あるいは害虫のようにあつかう惑星が舞台。みなしごのテールは、ドラーグ人の少女ティバに拾われてペットとして飼われるうち、ドラーグ人が学習に用いる、脳に直接知識を送り込むヘッドフォン様の機械によって、現状に疑問を抱き、ティバのもとから逃げて原始的な生活を送る人類の部族に加わる。
ドラーグ人は定期的に毒ガスなどで人類を“駆除”していたが、反撃に遭って1人を殺されたことから、人類みな殺しの必要性を覚え始める。テールたちの部族は放浪のすえ、ドラーグ人のゴミ捨て場に住みつき、そこの機械類から学んで科学技術を急速に発展させる。ドラーグ人の偵察機械に発見された彼らは攻撃を受け、ロケットで脱出してたどり着いたファンタスティック・プラネットで、種族保存のためドラーグ人がとる奇想天外な方法を知る─。



年に1度か2度のことで、きのう親戚の家に集まって、深酒したが、しばらくぶりで参加するイトコがいて。いつもの、亡くなったイトコの姉ぇーちゃんの兄弟や嫁さん旦那さんがたは、故・母の長兄の子どもなのだが、次兄の息子さんで、製薬会社に勤務して長く青森や、その次には大阪に赴任していた、オラより1コ上の。
分かりにくいっすか。次は、系図でもこしらえようかね。
オラ、むしろ会社を辞めてから、このブログのおかげもあって、いわゆる“コミュニケーション・スキル”は向上した気がしていたのだが、その人は小さい頃から穏やかな人格で、剣道をやり、大学へ進んで、会社では医者相手の営業を長くやってきた。
オラと反対に、まったくの正攻法で、鍛え上げられた社交性なのだ。会話にソツがない。しばらくぶりでも、アッという間に打ち解ける。
いや、居酒屋などで聞く、世間の狭そうな会話しかできないサラリーマンばかりではないんだよね。資質もあると思うけど、子どもの頃からの優しく、正々堂々としたお人柄のままで。
ところが、その人がなぜか結婚できていない。医者相手の高額な接待も多く、太ってしまって糖尿病にも。
会社のため献身的に働いてきた、今は管理職で年収も1千万超ではないかとも思われるけれども、正々堂々と生きてきたのに健康や家庭生活を犠牲にしなければならないとすれば、卑怯で異端な道を突き進んだ結果の“無職・シロート童貞・精神科入院歴”であるオラのほうがお得な気がしないでもない。
まあ、かねがね思う、「大企業の正社員」を基準とする、日本経済の富国強兵システムが、この時代に立ち行かなくなってきたことの表れも、いくらかはあろう。
で、「日本のサービス業は生産性が低い」とされる中、マンガやアニメやゲームや、日本産のポップカルチャーは、一定の競争力があり、各国の市場で独自の存在感を発揮してはいる。いるのだが、このアニメ映画など見ると、それはしばらくぶりのイトコのソツのない社交性や会社中心の人生の裏返しのようにも感じる。
「草木国土悉皆成仏」という言葉に表されるような、循環的で、和を尊ぶ、八百万の神がいる、わが国の風土が、裏を返せば相互にもたれ合って責任を回避することにもつながりかねないのに対し、一神教の規律のもと、敵や自然環境と戦い、克服して生き残る─という厳しさ。
オウムや九官鳥は言葉をしゃべることができるが、テープレコーダーが録音を再生しているようなもので、言葉をしゃべれる体の構造を持っているから知性や文明を発展させるということにはならない。なぜ、人間だけが、現状のような文明を築いたのだろうか。
しかも、生殖の方法は、オスとメスが交尾して、子どもが小さい頃はメスが授乳するという、人類以前の多くの動物がとってきたやり方を踏襲するしかないという制約の下。
考えてみれば不思議だ。この映画には、その不思議さ、人間が人間たるゆえんを見つめる目が光っており、そのまなざしには、先に述べたような一神教の厳しさがある。わが国のアニメとは、発想が極めて異質で、それだけに“クールジャパン”などとうぬぼれていられない、ここから学ばなければいけないのではないだろうか─という焦りにも似たものを呼び起こされる気がする。


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