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旧作探訪#101 『愛についてのキンゼイ・レポート』

2010-07-27 23:02:17 | 映画(レンタルその他)
Kinsey@レンタルDVD、ビル・コンドン監督(2004年アメリカ=ドイツ)
誰もが一度は考えたことがあるのではないだろうか。いったい世の中の人たちは、どんなセックスをしているのだろうか? 自分の性欲や愛し方、あるいは自慰行為は普通なのか、それとも少し変わっているのか、まったくの変態なのか? そんな疑問を350の質問にして1万8千人を面接し、答えをまとめた報告書が存在する。それが、1948年に男性版、53年に女性版が出版されて世情を騒然とさせた『キンゼイ・リポート=Kinsey Reports』だ。
調べたのは、動物学者のアルフレッド・キンゼイ博士(リーアム・ニーソン)。今から50年前、性のことは口にするのもタブーだったアメリカで、キンゼイは助手と一緒に各地を旅し、さまざまな年齢・職業の人びとに直接インタビューを行った。キンゼイは、相手が心を開いて正直に話してくれるように開発した独自のインタビュー方法で、数々のプライベートな秘密を聞き出すことに成功した。
こうして史上初の、誰もが知りたかったのに誰も聞けなかった他人の性行動をまとめた『キンゼイ・リポート』は、今もなお有名なほどのベストセラーとなったが、同性愛などの背徳的なことを明るみに出したことで、キリスト教保守層を中心に反発を受けることにもなった。やがて研究を支えたロックフェラー財団からの援助が打ち切られ、失意の中、研究を続ける彼は、喜びも悲しみも共に分かち合い、魂で結ばれた妻のクララ(ローラ・リニー)に導かれて、科学を超えた境地にたどり着く。そこで彼が見つけた答えとは、《愛は決して数値化できない》ということだった…。



♪相方は~~ドラマ連発!ビールのCM!スポーツキャスター!!と、かっこいいところを独占するのに、自分はスモウライダーとしてお相撲さんの姿をして原宿などで羞恥責めされなければならなかった極楽とんぼ・山本圭一。
事件を起こして芸能界追放となったことに同情を禁じえないのだが、いまも活躍する相方の加藤浩次との決定的な資質の差を感じさせ、事件への予兆ともなるようなトークが、かつて極楽とんぼとしてやっていた深夜ラジオで聞かれた。

加藤─オレ今でも写真とか映像とか見ないで、想像だけでオナニーすることあるよ
山本─あ、そう!? オレなにか見ないでしたこと、1回もない

あるいは同じTBSラジオで、もっと深い時間帯にやっていたスピードワゴンの番組では、後に離婚することになるが安達祐実と結婚して子どももできていた井戸田潤に対し、「中出しを1回もしたことがない」という相方の小沢一敬が、中出しってどんな感じなのかを聞いていたのが印象深い。オラも1回もないので。
オナニーのやり方のせいもあるんだろうけど、38才以降シロート童貞ではあるが童貞を脱して、女の膣内で摩擦運動をしてみたものの、中でイッたことないですね。さぞ気持ちイイんでしょうね。
そうした最近の例はともかく、先日の「ゆめ禁色」で述べたとおり高2でC野くんを好きになってから、10年近くはホモホモ期が続いたオラなので、その悩みは深かったものだ。深夜ラジオで就職してから聞き始めた番組としては長寿の『コサキン』があるが、下ネタはやや少なかったし、高校から聞いていた『ビートたけしのオールナイト・ニッポン』もたまには聞いた記憶がある。その頃のたけしは、一番弟子となった現・宮崎県知事を筆頭に、体育系のむくつけき男どもを集めて“軍団”を形成しつつあった。中でもグレート義太夫やラッシャー板前は、ガチンコのホモに好まれそうな風貌ではあったが、なんにでもチャレンジしてみなければ気の済まないビートたけしが、ホモっ気のない自分でも男が抱けるかどうか1回くらい試してみようと、あの中ではわりと線の細い柳ユーレイを相手に試みた経験を語っていた。
いまの、老人になってもあつかましく出しゃばるたけしにはいい加減ウンザリだが、過去のそれは彼に「科学する心」が確かにあったことを示しているし、ほかのお笑い芸人に比べ長持ちするだけのスケールの大きさを備えていたことは否定できない。
ホモっ気のない者が、ホモを差別したり忌み嫌うのはありがちな中、あえて試そうとしたのだ。柳ユーレイの意志はどうなるのかって問題もあるけどね。この映画のキンゼイ博士も、父親から厳格なキリスト教の教育を受けたことに反発して生物学の道へ進むのだが、勤めていた大学で相談を受けるうち、そうした性の問題をタブーとして覆い隠す旧来の道徳が、逆に不倫、同性愛、強姦、望まぬ妊娠、性病、子どもへの性的虐待などの温床となって、悩み苦しむ者が後を絶たない現状となっているのを知り、科学者としての信念からも隠されてきた問題を明るみに出そうとしたのが『キンゼイ報告』だったのだ。
ことに↑画像の「キンゼイ・スケール」では、同性愛傾向があるかどうかを0から6まで7段階で数値化し、通説より相当多い男性にその傾向があることを示したのだが、サンプルが偏っていたり面接という方法からも批判を受け、姦通や同性愛を法律で禁じることも多かった当時の風潮では、過激派あつかいもされた。事実、映画の中でも、助手を務めた青年がホモなので、誘いに応じたりとか、助手が異性愛に移行しつつあって妻クララと寝たいと申し出るのにも応じさせたり。
彼自身、両性愛や夫婦交換など乱脈な性関係に惹かれて、他人の性行動の研究にのめり込んだということは動かしがたい事実のようだが、それでも当時の社会的思潮に風穴をもたらした、過激な改革者としての存在意義が減じることはいささかもないように思われる。
ただし、教育テレビなどの30分程度の教養番組でも十分で、前の『ゴッド・アンド・モンスター』といいコンドン監督はホモ題材がお得意のようだが、わざわざたくさんの才能ある俳優・スタッフを動員して映画という形にまとめるのがふさわしい題材とも思えない。事業仕分け。2時間近くのこの映画を見るより、キンゼイ博士のことはネットで済ませて、筒井康隆センセの「泣き語り性教育」という短編小説を読むのが、面白いかどうかでいったら、圧倒的に面白いと思います。


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