日本共産党 前玉野市議会議員 松田たつおのブログ ニュース

岡山県・玉野市 日本共産党の前市議会議員 松田達雄の活動ニュース

2021年9月議会の反対討論

2021年10月02日 | 市議会
2021年9月定例議会、議会最終日の反対討論の要旨

日本共産党市議団の松田達雄です。共産党市議団を代表して9月定例市議会に上程された議案について反対討論を行います。
最初に、議案第59号 財産の無償譲渡について、関連する議案第60号 「玉野市日の出ふれあい会館条例を廃止する条例」の2議案についてであります。
玉野市社会福祉協議会が、田井の玉野市総合福祉センターから日の出のふれあい会館に事務所等を移転するため、玉野市が直接、運営してきた「日の出ふれあい会館」条例を廃止して、これを社会福祉協議会に無償で譲渡するための議案です。
この社会福祉協議会の移転により、総合福祉センター内にある、誰もが気軽に利用できる囲碁・将棋やカラオケ等の娯楽施設、入浴施設など、多くの市民・高齢者が利用していた施設が廃止されることになります。同福祉センターは、1977年3月に建設され、築44年の施設ですが、耐震基準を満たしていないため、耐震化改修に5億円余の費用が必要とのこと。一方、日の出ふれあい会館は、1990年(平成2年)8月に建設され、築31年の施設です。建築時期が13年ほど、後に建設されているため、新耐震基準に適合している施設であります。そのため、総合福祉センター耐震化改修よりも、日の出ふれあい会館に移転する方が財政面からみても効果的であり、総合福祉センターの廃止と社会福祉協議会の移転はやむを得ないものと考えます。しかし、多くの市民、高齢者が利用している入浴施設や娯楽施設を切り捨ててもよいことにはなりません。
日本共産党市議団は、今後10数年以上は超高齢社会が進行すること、団塊世代のジュニアが70歳代となる20数年後を展望しても、高齢者・市民が、元気で楽しく過ごせる憩いの場づくりの福祉施設は必要と考えており、移転の条件として、日の出ふれあい会館への入浴施設、娯楽施設の増設を主張してきました。
市当局の資料でも、「日の出ふれあい会館」敷地内に入浴施設を増築した場合、建設費に3千2百万円、運営費・維持管理費に約4百50万円が必要との試算が示されています。
私の議案質疑に対する答弁では、日の出ふれあい会館を無償譲渡することで、市の維持管理費は年約1,180万円削減できること、また、社会福祉協議の移転によって風呂事業費など約880万円の経費削減が見込めるとのことです。
つまり、移転によって年1千100万円以上の維持費が削減でき、その6割程度の費用で入浴施設等の維持費は十分賄えるのですから、決して、無理、ムダな話ではありません。
 市当局は、奥玉のすこやかセンターに娯楽施設の一部が代替できると言われますが、これも申し訳程度のものでしかありません。以前に市民団体から、すこやかセンターに併設した入浴施設の整備を求める請願が提出され、当時の市議会は、この請願を全会一致で採択した経緯があります。日の出ふれあい会館よりも新しい施設である、すこやかセンターへの整備を含め、入浴・健康・娯楽施設の整備を、市民参加で検討し、早期に整備を進めるよう求めるものです。
さて、黒田市政は、市民会館をつぶし、文化センター、サンライフ玉野、そして、田井の総合福祉センター、日の出ふれあい会館まで社協に譲渡して、市民が利用する文化・福祉施設はスクラップしてきました。中心市街地である宇野・築港地区には、使い勝手の悪いメルカ内の中央公民館だけで、公共施設のほとんどがスクラップされます。
その一方で、急ぎもしない競輪場整備に20億円も優先投入し、民間企業の所有とはいえ、選手宿舎以外は、お客が来るか来ないか分からない、8階建てのホテル建設を支援しています。さらに費用対効果がみえない「生涯活躍のまち・CCRC計画」策定等のために民間企業に1億4千万円も投入するムダづかいを続けています。1億円以下で整備できる入浴・健康施設、娯楽施設を整備する方が、市民に喜ばれ、その費用対効果は大きいものと考えます。
市当局は、市が入浴施設を整備することは、「民間の入浴施設の経営を圧迫する」、民業圧迫になるなどと主張されますが、もともと市民誰もが利用できる無料の入浴施設を、市は以前から運営したもので、そのよう理屈はなりたちません。それを言うなら、宇野港土地が駅前に、ホテル建設を検討準備していたことを承知のうえで、競輪場用地を提供し、付帯事業として県外企業のホテル建設を支援するなど、地元企業の民業圧迫そのものではないでしょうか。
こんな市政で「市民が誇れるまち」、「たまのはよいところだ」と市民が本当に胸を張って言えるでしょうか。
 総合福祉センターの代替施設として、市民・高齢者のための、玉野市の身の丈に合った、効果的で効率的な福祉・健康、娯楽施設を市民参加で早期整備するよう要望するものです。

 次に、議案第62号 玉野市認定こども園に関する条例の一部を改正する条例について、反対の立場から討論します。
 これは鉾立認定こども園を今年度末で廃止し、山田地区にあるサンマリン認定こども園に統合する議案です。
 反対理由の第1は、地域住民や保護者の理解と合意が得られていないことです。この鉾立保育園の廃止計画は、今年3月に策定された「幼保一体化等将来計画・改訂版」に基づくものです。計画案が市民に初めて公表されたのはパブリックコメントを実施した昨年12月16日以降で、今年1月15日までの1か月間で、意見提出者はわずか2名でした。これは保育園の統廃合計画自体が、市民に周知されていないことを示す証左であります。パブコメに寄せられた意見では、「広報たまので、周知したのち、周知期間を1年以上とり、ほとんどの市民、保護者、職員が園の統廃合について知り、市民の意見を集約し、合意に基づいて計画を進めてほしい。」との意見。これに対する市の回答は、「計画の推進にあたりましては、行政が一方的に事を進めることなく、在園保護者をはじめ地域住民や園の職員など市民の皆様と十分に協議を行いながら進めていきます。」と回答しています。しかし、実際には、今年度末での鉾立保育園の廃止計画を保護者や地域住民が知らされたのは今年7月段階です。その後、地域住民・保護者に広報して、意見を募集した結果、8名の方から意見が寄せられています。その内容は「鉾立認定こども園の廃園には反対」、或いは「来春の統廃合は早すぎる。」、「園の存続を」望む声ばかりです。パブコメに市が回答したような、「地域住民との協議が十分に行われた」状況ではなく、むしろ、廃園を前提に住民・保護者に説明するという、まさに、「行政が一方的に事を進める」感じの取り組みではないでしょうか。保護者・地域住民から反対の声が強く、住民の納得が得られていない中で、無理やり来年3月末で廃園に追い込むなど役所がやるべきことではありません。
「玉野市協働のまちづくり基本条例」は、市民にまちづくりに参加する権利とともに、市の仕事の計画、実施等に参加する権利を保障しています。鉾立認定こども園のような重要な施設の存廃に関する問題は、丁寧な説明と、住民の参加による、十分な協議、住民の納得が必須条件ではないでしょうか。
 かつて玉小学校と奥玉小学校の統廃合の協議の時は、奥玉地区住民の反対の声が強いなかで、市議会でも延期の声があがり、当時の教育委員会は、住民・保護者とよく話し合うため、統合時期を1年延期するという賢明な方針変更を行いました。いまの市政には、市民の理解と納得を得るための努力と、丁寧な対応が、欠落していると言わざるを得ません。現段階での条例改正案の提出は、性急かつ拙速です。
今後、この統廃合計画に基づき、玉認定こども園の廃止、日比・和田地区では、和田保育園と渋川保育園、和田・日比幼稚園の4園を統廃合して一つの認定こども園にする計画を推進する方針です。しかし、地域住民への周知も、住民の理解もまったく得られていません。市と教育委員会幹部の皆さんには、「玉野市協働のまちづくり基本条例」に、常に立ち返り、「市民が主役」、「市民参加」を徹底されるよう望みます。住民の声を軽視し、上から目線で、計画を一方的に推し進めることのないよう、強く求めておきます。
反対理由の第2に、市議会・総務文教委員会では、地域住民が傍聴されているなか、委員会での議員の賛否が同数とわかれ、委員長が議案に賛成して、ようやく可決されたと聞いています。こうした委員会でも意見が大きく分かれるような重要案件を、9月議会に提出すること自体が問題です。市スポーツ財団の不祥事件においても、市と教育委員会において、預金のチェック、厳格な調査を依頼した議員・議会の意見を聞かず、議会軽視が損害をさらに大きくした苦い教訓を再認識してほしいと思います。
地元議員をはじめ議員各位の声を真剣に聞き、その対応を見極め、議案等の提出を適切に判断すべきです。
保育園の統廃合などの、公共施設の再編・統廃合は、その地域のまちづくりの観点から、住民が自分たちで共に考え、住民参加で協議、検討していく必要があります。保育園の存廃問題も、鉾立地域のまちづくりの今後の在り方として、住民の意見をくみ上げ、行政が住民とともに鉾立地域のまちづくりの問題として取り組み、十分に話し合い、合意と納得、信頼を構築する立場から、進めるべきです。それこそが「賢い縮小」、スマートシュリンクであり、この立場を堅持すべきです。
今回のような、拙速に行政が上から押し進める鉾立保育園の廃止強行は、行政への不信を招くだけでなく、住民の地域おこし、地域のまちづくりへの思いや、熱意を踏みにじる行為に等しいものと考えます。
チェック機能を果たすべき議会として、この条例案を否決し、住民の理解と合意が得られるよう、鉾立地域のまちづくりの問題として、十分に話し合う丁寧な対応を、再度、市と教育委員会に求めるべと考え、本議案に反対するものです。

最後に、議案第58号 「玉野市地域経済牽引事業の促進のための固定資産税の課税免除に関する条例」については、法律の規定により㈱三井E&マシナリーが県の承認を受け、約63億の設備投資に係る固定資産税を3年間にわたり、数百円規模で課税を免除するものです。当該企業は、三井E&Sホールデングスのグループ企業であって、同じグループ企業が、玉野事業所での商船建造からの撤退など、産業空洞化・リストラ策を進め、関連下請企業を中心に仕事量激減、下請労働者の解雇など、地域経済は大きな打撃を受けています。そのうえ、厳しい財政運営のなかで、本市は、当該グループ企業から6名もの出向者を2年間受け入れ、約2千万円もの税金を投入しようとしています。グループ企業の玉野事業所全体での、出向者数は現在25名、そのうち、玉野市が6名も出向者を受け入れているなど、異常な事態といえます。本議案には反対しないまでも、このような矛盾した、道理の無い出向受け入れは、ただちに見直し、公正・公平な行政とするよう、強く要請しておきたいと思います。
以上で3議案に対する反対討論とします。