日本共産党 前玉野市議会議員 松田たつおのブログ ニュース

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肝心のトップの責任に記述なし スポーツ財団不祥事件

2021年05月27日 | 玉野市政
 5月17日開催の臨時議会で「市スポーツ振興財団の基本財産毀損問題に関する報告書」が、玉野市と玉野市教育委員会(スポーツ振興財団)から、それぞれ最終報告書として議会に提出された。
 私は、「この報告書には一番肝心なことが抜けている。トップの責任について触れられていない」と、真っ先に感じ、その点を厳しく指摘し発言した。
①体育施設使用料の納入処理の遅れ問題が表面化し、市教育委員会は平成25年5月末までに2年分(平成23年と24年度分)の遅れた使用料約1.400万円を納入させた。事件が発覚した後に判ったことだが、この時に約1,500万円の定期預金が不正に解約されていた。

②その後、平成25年10月18日付で、黒田市長に対してこの問題の顛末書が教育委員会次長名で提出されている。しかし、この顛末書は、10月25日開催の総務文教委員会には提出されることはなく、委員会には口頭による報告と陳謝だけであった。顛末書には、「財団が使用者から徴収した使用料を施設内の金庫に1年間分保管しておき、当該年度分をまとめて金融機関へ納入するという方法が常態化」。「使用者から納入があった際、速やかに金融機関に納入すべきである旨を市として指導・監督すべきであり、そのような状況を見過ごしたことに問題があった・・・」。また、「財団に対する我々のチェック機能が十分に果たせなかったこと、また、公金の厳重な管理、公金取扱いに係る指導が至らなかった・・・」、以後は「・・・毎週納入するよう指導しております。」などと記述している。

③その後、10月23日付にて黒田市長名で財団理事長(教育長)あてに、「業務改善勧告」が出され、使用料金納入業務の改善を指示している。また、「職員の処分」として、11月11日付で市長、副市長らの決裁印のある書類で、教育長、教育次長に対して「口頭注意」をしている。その文面には「指導・監督ができておらず管理責任が問われることである。しかしながら、総務文教委員会での報告や今後の対応について精査できているものと考え、懲戒処分は行わず、・・・副市長により口頭で注意をするものとしてよろしいか。」という総務部・人事課の決裁書類である。この文書は後に100条委員会に提出されている。

④一方、議会に対する報告、対応はどうか。手元に平成25年10月25日開催の総務文教委員会の全文筆記の会議録がある。この時に初めて教育長より使用料納入遅れ問題の報告がなされ、指導強化、業務改善の推進、そして、議会への説明、陳謝が行われた。しかし、顛末書は提出されず、業務改善勧告の具体的な内容は明らかにされていない。
 当時の総務文教委員長は、「この問題は大きい問題だと思うんで、そこらあたりの意識的なもの、職員全体の意識的なものというぐあいに思えるんですよね。ですから、これは教育委員会だけじゃなしに、そこらあたり総務部長、きちんとね、対応しなかったら、何でもありで、普通の家庭の中の金のやりくりと同じことになってしまう・・・」。「要は、スポーッ財団に経理管理能力がないと思っても仕方がないと思う。」「600万円余りというのは丸々1年間財団が持っといたわけですよね、・・・それじゃ勘ぐって言えば、1年間というものはそれは個人運用しようと思ったらできるんですよ。通帳をチェックされました。」、「お金の管理状況のチェック・・・教育委員会できにくいんだったら、監査のほうにお願いすればできる問題だと思います。というのは、これ明かにしとくということが後でいろいろ問題になったときに、やっぱりここでうやむやで済んだことじゃから、ええようになったんじゃからええじゃねえかということで済ませたら、後でこの問題が出てきたときに、ちょっといろいろ説明がつかないことになると思うので、この時点できちんとチェックはしといていただきたい・・・」、「内部事務処理、内部会計処理の適正化が正しいかかどうかチェックをいま一度厳格にやって進めていただきたい、・・・スポーツ財団に対しては厳格な指導と、今お願いをした通帳等のチェック、これをお願いをしときたいと思います。・・・」と委員長は発言している。

⑤会議録からの長い引用となったが、議会として「通帳等のチェック」、「お金の管理状況のチェック」、「監査のほうにお願いすれば」、「スポーツ財団に管理能力がない」など的確な指摘をしている。

⑥しかし、市長、副市長、トップには、この指摘のように緊張感、危機感をもった対応がなされなかった。なぜ、使用料納入が遅れたのかの原因究明と、1年間以上もの間、6百万円超の使用料現金を財団金庫に保管するという考えられない会計・現金処理に疑問を持ち、問題を解明しなかったのか。なぜ通帳等のチェックを厳格にしなかったのか。それは2年分の使用料1,400万円が入金されたから、「ええようになったんじゃからええじゃねえかということで済ませ」、改善勧告で以後はきちんと納入することで改善できたとして、問題の本質をえぐり、徹底した預貯金や現金処理等の調査をせずに済ませたのである。

⑦市当局の口頭報告だけで総務文教委員長は、問題の深刻さを察知して、これだけの危機意識をもって、厳格な調査を要請した。ところが、市長らトップは顛末書を見て、職員から事情を聴いていながら、この危機意識に至らず、通帳等を含め財団経理への厳格な調査を指示しなかった。「性善説に立った、甘さがあった」では済まされない。

⑧故に議会の100条委員会は、「全体的な管理監督を怠った玉野市長の責任は大きい」としたのである。市と教育委員会の報告書は、市幹部職員がまとめ作成したものであるにしても、やはり、トップが自らの問題として、平成25年10月時点での財団への厳格な調査、財団の経理管理能力問題への処分、徹底した原因究明など指示しなかったトップの責任を明確にし、報告書に記載すべきであった。これが実施されていれば平成30年4月の約2,400万円の基本財産(定期預金)の毀損問題は発生しなかったのである。

⑨5月19日付の山陽新聞玉野圏版の、「市長に言及無しは不自然」の見出し記事はこの点を明らかにした、まさに的を射たものである。
トップの姿勢が市職員全体の意識に反映される。総務文教委員長が発言しているように、「職員全体の意識的な・・・」緊張感、危機意識の弱さに反映しているのではないか。一議員が少ない情報の中で感じとった不祥事に対する危機感が、市長や当時の副市長には感じとれなかった、この違いは、市政全般に表れていると思っている。市民や議会への説明責任を誠実に果たそうとはせず、おざなりの説明や、場当たり的な傾向が強くなっているように思う。私の所属する厚生委員会でも、私はときどき「行政の劣化は深刻・・・」と、発言せざるを得なくなる。4期に及ぶ長期在任、多選の市政が、「硬直化し、緊張感のない弊害」として表れていると思わざるを得ない。何よりもこの報告書にトップの責任について記述しなかったこと自体が、すでに危機感のなさを証明していると言わなければならない。