日本共産党 前玉野市議会議員 松田たつおのブログ ニュース

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5月臨時議会 2議案に反対討論

2021年05月20日 | 市議会
5月17日(月)から18日(火)の2日間、5月臨時議会が開催された。

報告・議案7件(人事案件を含む)が審議され、日本共産党市議団は2議案に反対し、私が反対討論に立った。

その反対討論の主旨は

 日本共産党市議団の松田達雄です。私は、日本共産党市議団を代表して、2021年5月臨時議会に提出された報告・議案7件のうち、2議案について反対討論をおこないます。
まず、報告第2号 専決処分の報告について、(令和2年度玉野市競輪事業特別会計補正予算(第3号)について、3月31日付にて専決処分した競輪開催事業費として包括委託業者チャリ・ロトへ支払った運営報償金、いわゆる成功報酬分の2億44,199千円について反対します。
反対理由の第1に、成功報酬の支払いを根拠づけているのは「玉野競輪場再編整備事業に関する基本契約」にあります。この第48条に(競輪場運営業務による収益保証)規定があり、毎事業年度3億円の収益を保証するとし、3億円以上の収益があった場合は、3億円を除いた金額の30%以内に相当する金額を包括委託企業に支払うというものです。20年間、最低3億円の収益保証が得られるから、それを超えた収益の3割を委託企業が成功報酬として受け取るなどという契約は、極めて不透明で、行政を大きく歪めるものと言わなければなりません。売り上げ増に大きく貢献している、成功報酬であると言うなら、その検証を具体的に議会に示すべきであります。
 競輪事業会計は、収益も支出金もすべて公金であります。その公金を20年間の3億円保証があるから、また、選手宿舎兼ホテル建設という付帯事業を実施するからとして、公金から2億4千万円も企業に支払うことは認められません。基本契約自体を直ちに見直すよう求めます。
反対理由の第2に、競輪事業の開催、場外車券売上など競輪事業売上を大きく伸ばすことには、包括企業は直接に係るわけではありません。単に、運営諸経費に対して包括委託による経費削減が見込める中で、本市が包括委託費5億5千万円を支払っているだけであります。そこに、成功報酬として利益の3割も、令和2年度で2億4千万円も支払う根拠、理由はありません。まさに、業者のいいなりで、20年間の長期契約期間もその時の一首長が行うことは自体が問題です。競輪事業を実施する他市の多く5年程度の契約としているのは、行政の透明性、企業との癒着構造を懸念してのことであり、違法性が疑われる事案ではないかと思われます。
包括委託企業が倒産等で立ち行かなくなった場合のリスクとして、3億円収益保証には連帯保証人もなく、選手宿舎の優先確保の保証もない、十分なリスク管理もできていない、ズサンな契約と言わざるを得ません。
ただちに、基本契約等を見直し、適正な包括委託契約に改善するよう求め、反対討論とするものです。

次に議案第41号、「地方独立行政法人 玉野医療センター中期計画」の認可
にいて、反対します。
 反対理由の第1は、中期計画前文には、「安心・安全な医療の提供・・・市民のための病院となるよう」明記しています。しかし、小児医療は、「入院診療の再開を目指す」とあるだけで、いつまでに、どのような取り組みを展開し、再開するのか具体的なことは何も示されていません。これでは地域で安心して子育てができる環境とはいえません。もっとも当初の新病院基本計画案では、小児科については外来診療のみの記載であり、議会・厚生委員会からの強い要請で、「入院診療の再開を目指す」という文言が書き加えられた経緯があるだけに、中期計画には、もっと具体的な方策と本気度を示すためも、計画期間中の再開へと踏み込んだ記述に改めるよう求めます。
第2に、入院患者数の令和6年度の目標指標に対して、令和元年度の2病院の入院実績患者数では、その差は実に13,800人。1日当たり38人もの市民が、入院ベット不足で入院できない深刻な状況が発生します。市民病院の入院患者の8割以上が70歳以上の高齢者・市民です。今後、10年以上は超高齢社会が続きます。これで安心・安全な地域医療とはなりません。在宅医療でカバーすると言いますが、令和6年度目標の訪問診療件数は、令和元年度の2病院の実績に比べ年間で34件増、訪問看護件数は年190件増だけです。これではとても病床不足を在宅医療等でカバーできる目標数値ではありません。この点でも安全・安心な医療の提供とは言えず、地域医療の弱体化をまねくことは明らかです。
第3に、令和6年度目標の病床稼働率89.0%の指標について、新病院190床の89%の病床稼働率だと、21床ほどしか余裕がありません。南海トラフ巨大地震発生の際の災害医療体制や、新たな感染症への対応などに、ほとんど余裕のない状況ではないでしょうか。
 また、玉野市新病院基本計画に示された病院区分では、一般病床・地域包括ケア病棟はわずか50床、長期入院型の障がい者病棟と療養病棟は合わせて100床、回復期リハビリテーション病棟は50床です。一般病床の病床数が少なく、小児科の入院診療にも対応できません。市民の医療ニーズにこたえる安心の地域医療とは程遠いものではないでしょうか。
 反対理由の第4に、中期計画の39ページ以降に令和3年度から令和6年度までの4年間の予算、収支計画、資金計画が記載されています。この計画通りに実施されれば一定の経営改善が図られ、新病院の開院に向けて経営基盤が確立できるという目標です。しかし、この計画を遂行し、目標を達成するためには、年次目標の明確化をはじめ、4半期ごとの評価、チェック体制と、時宜を得た課題・問題点の洗い出し、適切な改善策が求められますが、市長が任命する評価委員会の評価だけでは不十分であることは言うまでもありません。住民目線での評価、チェック体制、改善方策などは、議会の重要な役割です。法規定の範囲内でこの役割を果たすため、4半期ごとの経営状況を議会に示し、公表する必要があります。この中期計画には計画達成に向け点検・評価の方策が欠落しています。
 最後に、国・県がすすめる医療費抑制策による地域医療構想が示す病床削減数を大きく上回る病床削減を押し進め、三井病院を玉地区に残してほしいと願う多くの市民の願いに背を向けて、三井病院つぶしに走り、地域医療を弱体化させる、このようは地方独立行政法人 玉野医療センターのあり方とその中期計画には賛成できません。
 倉敷市、瀬戸内市など多くの自治体病院がそうであるように、新病院は公設公営で玉野市として150床程度で建設し、三井E&S企業立の三井病院は、会社の動向を見据えながら、中長期的な視点で、地域医療を守る立場から玉野市が必要な病床増築を検討すればよいことです。こちらから頭を下げて統廃合し、3年後に、三井病院の閉院を押し進めるなど、まともな市政がやるべき事ではありません。
 何よりも市民への説明責任を放棄し、市民不在、市民合意なき、このような国いいなりの市政運営は許されません。大きなリスクを抱えた地方独立行政法人 玉野医療センターがスタートした以上、我が日本共産党市議団としては、より良い方向に、より市民の医療ニーズにこたえる、市民に信頼される公的病院になるよう、全力をつくすつもりであります。
 以上理由から、本議案に反対するものです。