名古屋市が
「予算要求、財政局査定、市長査定の三つの段階でそれぞれの内容に関する情報を公開すると共に、市民からの意見募集を行う」(朝日) という。
私たちは、議員と市民の勉強会を毎年続けてきているけれど、2年前の夏の講座からは、講師としての私の問題認識として「予算編成過程の情報公開」を一つのテーマにしてきた。
講座参加者は、課題としてそれぞれ各市町の公開時期や公開度などをそれぞれ情報公開請求。
それを集計。
私たちは、その自治体ごとの違いに驚きを感じてきた。
ここ山県市は情報公開度は高い方。
予算編成過程の情報でも「情報公開請求されたら公開する」と2年前に議会で答弁した。
この答弁(姿勢)自体は、ある種、全国でも先を行くレベルだと私は見ている。
とはいえ、「自主的には公表しない」という古い姿勢も答弁された。
対して、今回の名古屋市の方針は、
「要求内容を11月中旬にも公開」
「財政局の査定前の各局要求内容を継続事業を除いて原則すべて公開するのは、政令市を含む全国自治体の中でもほとんど例がない」(毎日)
公開するのは、
「人件費や生活保護費など義務的な経費を除き、市長が実施の当否や内容を政策的に判断する必要がある事業。
(1)各局の予算要求(11月中旬)(2)財政局の査定(1月上旬)(3)市長査定(2月上旬)-の内容をホームページや区役所で公表」(中日)
河村市長は会見で、
「既に予算編成過程公開を行っている指定都市はいくつかございますが、本市では局長さんの要求段階から、基本的にはすべて公開していくこととしまして、トップレベルではないかと。多分トップではにゃあかと。近いようなのがある話も聞きますけど、トップレベルであることは間違いないと、相当思い切った情報公開に踏み込むことといたしました。」(朝日)
もちろん、名古屋市のこの方針決定にいたるまでには、(昨年から今年にかけて、)一歩後退した時期があった。
それも見つつ、今回の名古屋の動きを整理した。
なお、前にもブログでまとめたけど、全国オンブズ の調査・ランキングのおかげで、「最下位認定された岐阜県の知事」は、「隠すことは何も無い」とトップを目指すことを表明している。
●2010年9月6日ブログ ⇒ ◆岐阜県の予算編成過程の公開は全国で最下位/情報公開ランキング
●2010年10月9日ブログ ⇒ ◆予算編成過程の情報公開/方針転換の岐阜県と現状維持の山県市の対比
議員や市民のチカラで開いていきたいところだ。
(10月25日追記 ・・・とはいえ問題が多いことを全国オンブズの内田さんが解説していました。
⇒ 2010年 10月 19日 名古屋市 予算編成過程 継続事業は公開せず 補正予算は意見募集せず
これらの点、改めて注視していきたいと思います。)
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8位あたり
●河村・名古屋市長:選挙公約、予算過程公開に二の足 「編成後に」一転
毎日新聞 201年5月8日
名古屋市の河村たかし市長は6日の定例会見で、10年度予算の編成過程を示す公文書の公開について「かえって無責任になるとの議論もある」と述べ、慎重姿勢を示した。予算編成過程の文書公開は昨春市長選の公約の一つ。予算成立後の実現にも二の足を踏む姿勢に、市民団体からも批判の声が上がっている。
河村市長は、昨年4月の市長選マニフェストで「最終結果としての公文書はもちろん、予算編成過程の関係資料も公開する」とうたっていた。ところが9月、減税基本条例案を審議中の市議会に編成過程を明らかにするよう求められると、「決定前に示すと混乱を起こす」と述べ、編成後の公開を表明していた。
市長は会見で、「編成過程の文書公開は大きなテーマ。財政当局とも相談し、他の都市がどのくらいやっているか調べないといけない」と語り、今後の検討課題との考えを示した。だが、市財政課は、1月に財政局案を初めて公開したことなどから「これまでにない情報公開をした」と胸を張っており、公約実現は不透明だ。
全国の政令指定都市では、6市が各局の予算要求段階で公開し、札幌市と北九州市は昨年11月に各局の予算要求内容を公開して市民意見を募集している。
全国市民オンブズマン連絡会議の内田隆さんは「名古屋は減税に取り組んでおり、市民サービスが削られないかを確かめるためにも公開すべきだ。市長は説明責任を果たしていない」と批判している。
●名古屋市が予算編成過程を公開へ
中日 2010年10月19日 01時56分
名古屋市は18日、当初予算の編成で、新規事業や縮小・廃止する事業の情報を各局の予算要求段階から原則として全面公開し、市民から意見を募集することを決めた。市によると、予算編成の過程を同時進行で全面公開するのは全国の政令市で例のない試み。
出発点から可視化して市民に開かれた予算を実現する狙い。11月に本格化する2011年度予算案から導入する。
河村たかし市長は「大いなるチャレンジだ」と効果に期待した。
公開するのは、人件費や生活保護費など義務的な経費を除き、市長が実施の当否や内容を政策的に判断する必要がある事業。
(1)各局の予算要求(11月中旬)(2)財政局の査定(1月上旬)(3)市長査定(2月上旬)-の内容をホームページや区役所で公表する。
各局の予算要求を公開してから1カ月間で市民の意見を募る。公明党の議員提案により6月議会で成立した「予算編成の透明性確保と市民意見の反映に関する条例」に基づき、市が必要な規則を同日公布した。
●事業の廃止や縮小など、予算編成の過程をネットで公開 名古屋市長発表
産経 2010.10.18 20:29
名古屋市の河村たかし市長は18日の記者会見で、市の来年度予算編成では、各部局の要求段階からインターネットなどで情報を公開し、市民の意見も聴きながら作業を進めると発表した。原則として継続事業を除く全事業が対象で、市は「廃止や縮小の事業まで公開するのは珍しい取り組み」としている。
3各部局の予算要求が出そろう11月中旬ごろに内容を公開し、市民から意見を募集。その後、財政局長、市長の各査定を経て予算案を決定する。審議の透明性を高め、市民への説明責任を果たす狙いがある。
河村市長は記者会見で「市民に丁々発止議論してもらい、予算に生かしたい」と話した。
市議会で6月、予算要求の段階から市長に情報公開を求める条例が成立。市長が具体的な対応方法を検討していた。
●河村・名古屋市長:予算編成、要求段階で公開 11月中旬にも--方針
毎日新聞 2010年10月19日
名古屋市の河村たかし市長は18日、11年度予算編成について各局から財政局に対する要求内容を11月中旬にも公開する方針を明らかにした。財政局の査定前の各局要求内容を継続事業を除いて原則すべて公開するのは、政令市を含む全国自治体の中でもほとんど例がないという。
6月定例会で公明党市議団が提出した予算編成の透明性と市民意見の反映に関する条例案が可決、施行されたのを受けた措置。河村市長は、同条例について当初「議会の権限を超えている」と期限内公布を見送ったが、その後姿勢を変え、7月下旬に公布した。
財政局がまとめた規則によると、公開する情報は3段階に分かれる。まず、11月上旬に各局長が財政局長に予算の見積書を提出した後、同中旬ごろに内容を公表する。政策的判断が必要な事業や新設・拡大・廃止・縮小する事業、使用料の改定に関する情報を公開し、1カ月程度メールなどで市民の意見を募集する期間を設ける。その後、財政局査定、市長査定の内容も随時公開する。
河村市長は「なるべく役所と議会にとどまらず市民に依拠してものを考えるのが地方自治の本来の姿。思い切った情報公開になった」と説明している。【高橋恵子】
●事業の廃止や縮小など予算編成の過程をネットで公開 名古屋市長発表
イザ 2010/10/18
名古屋市の河村たかし市長は18日の記者会見で、市の来年度予算編成では、各部局の要求段階からインターネットなどで情報を公開し、市民の意見も聴きながら作業を進めると発表した。原則として継続事業を除く全事業が対象で、市は「廃止や縮小の事業まで公開するのは珍しい取り組み」としている。
各部局の予算要求が出そろう11月中旬ごろに内容を公開し、市民から意見を募集。その後、財政局長、市長の各査定を経て予算案を決定する。審議の透明性を高め、市民への説明責任を果たす狙いがある。
河村市長は記者会見で「市民に丁々発止議論してもらい、予算に生かしたい」と話した。
市議会で6月、予算要求の段階から市長に情報公開を求める条例が成立。市長が具体的な対応方法を検討していた。
●【河村語録】◎橋下さんより改革早いかも
朝日 2010年10月18日
先週末の15日、愛知県内の政界を激震が走りました。来年2月6日に投開票される愛知県知事選で、河村たかし・名古屋市長が自民党の大村秀章衆院議員(比例東海ブロック)に立候補を要請したことを明らかにしたからです。
ふたりはテレビ番組「ビートたけしのTVタックル」での共演も多く、接点はあったのですが、民主党出身の河村市長が自民の現職衆院議員を擁立するという「禁じ手」に近いような奇策に、県内の政党関係者は大きく動揺したようです。
この日の定例記者会見では、その知事選に関する質問が集中しました。
「県民税も10%減税するのか」
「市長のように知事の報酬も800万円にするのか」
まだまだ不透明な点も多く「選挙目的の野合か」とうがった見方をする議会関係者も少なくありません。ただ今後は、愛知県政も、河村市長が巻き起こす台風の渦に巻き込まれていくことだけは間違いなさそうです。(寺西哲生)
※主なやりとりは次の通りです。意味が通じにくいところもありますが、そのままお伝えしています。
●愛知県知事選
――大村秀章衆院議員を知事選に擁立する方針について
まあ、大村さんとは藤前干潟の埋め立ての反対の闘争ですから。何年前になるかな。十何年。15年近いんじゃないですか。物事は終わってみると当たり前のように見えますけど、あの時は、まあ役所の方がおみえになるで言いにくいけど、市を挙げて「藤前干潟を埋め立てなければ、名古屋市内にごみがあふれかえる」ということで、今日おいでになっとる新聞テレビ各社にコマーシャル料もお払いになりましてでかでか大キャンペーンを行っておみえになりました。
私はたまたま、うちの仕事の関係もありまして、リサイクルとかそういうのは一定、プロですから、環境省にも仲のええのがいまして「どう思う」と言いまして、「そんなもの、ごみはきちっと分別して、あと生ごみだけ残るから、それについては工夫すればなくなるんだよと。そんなもん埋めんでもええわさ」と言っとったら、ぜひ自民党の人で誰かやる人おらんかと、最後まで誰か闘ってくれ、という話がありまして。
もう一つは、自民党でおらんかということで、新幹線の中でいまだよう思い出しますけど、大村氏がたまたま乗ってまして「どうでやあ」と言ったら、「そんなもん、埋め立てんでもええわさ」言って。あの人はごみの分別よりも自然環境守るほう。非常に、渡り鳥がたくさん来る所でして、渡り鳥の来る所って、干潟はたくさんありまして、藤前干潟の特色は都心のど真ん中に残されたというのが特徴なんですね。「そんなもん守らないかん」と「本当にええきゃあ」言って。「ほうなるとややこしいぜ」言って。共産党以外全部埋め立て賛成でしたから。「ええよ。わしゃちゃんとやるで」と「ほんなら、議連でも作ろうか」と。
わしもどえらい苦労しましたわ。いったんああいうことやるとね。日本の、あれは、とにかく団体主義ですから。大変でしたよ。名古屋市の役所の皆さんもぎょうさん議員会館にお見えになりまして、盛んに河村さんの間違っとるという、河村さんの名前出したか知りませんけど、そういう雰囲気に満ち満ちとりました。わしの「埋め立てんでええ」という提案書に対する反論書も市が作りまして、そういう時代の中で大村氏が最後の最後まで。一つ一つものすごい作業でしたけど、大村さんがようがんばりゃあてですね。非常に勇気があると。理が分かっていると、胆力があると。改革とかいろいろ言いますけど、まあ期待を裏切る事態ばっかりなもんですから。
名古屋でも貫こうというとこうなるんですわ。議会が圧倒的な権限を持ってますので、権力を。議会で否決されたらやらないんですけど、そういうのに闘うためには相当の経験と体力がいると。それから名古屋だけでは若干狭(せ)みゃあんだね。ぜひ愛知県と一緒に将来、独立を目指してですね、やっていくと。大阪で橋下さんがやろうとしとることの、ちょっと、こちらの方がはようなるかもしれませんね。一気にね。
ようそれ以来仲良しで、テレビタックルの時代劇スペシャルもよう一緒に出とりましたけど、よう一杯のんだりかんだりしとりまして、どうでゃあとお願いをしとるところでございます。
――木曽川導水路について、大村さんは「導水路は必要だから進めている」というスタンスだが、市長は導水路反対で県と連携したいはずだが、その点は詰めているんですか。
そこらもよう話していかないかんわね。ちょこちょこ話したことはありますけど、なかなかよ。一遍にばかっと100が100は、10が10一致するようにはなりませんので、苦労しながら。やっていく必要があると思いますけど。
――減税については「県民税を1割減税する」と公約に掲げてもらうんですか。
そこまでまだ、パーセントとか、まだはっきりしてませんけどね。まあ、今の段階で何税を何パーセントとか詰まってませんけど。
――県民税じゃなくても良いんですか。
県民税ですわね。普通に言えば。
(以下は河村市長からの質問外の発言です)
最後に予算編成過程の公開について報告します。このたび、先の6月定例会で成立しました「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」施行に関しまして、公開する情報や意見募集の期間などについて規則を定めましたのでご報告いたします。
市長マニフェストにおいても情報公開を徹底して透明性の高い名古屋市行政を実現するとありますが、予算編成の透明性の確保と、市民意見の予算への反映をはかるため、各局からの予算要求、財政局査定、市長査定の三つの段階でそれぞれの内容に関する情報を公開すると共に、市民からの意見募集を行います。
今年度の予定としましては、23年度予算の要求内容を公開し、併せて市民からの意見募集を行います。なお既に予算編成過程公開を行っている指定都市はいくつかございますが、本市では局長さんの要求段階から、基本的にはすべて公開していくこととしまして、トップレベルではないかと。多分トップではにゃあかと。近いようなのがある話も聞きますけど、トップレベルであることは間違いないと、相当思い切った情報公開に踏み込むことといたしました。
●名古屋市の事業仕分け、市主導で 河村市長方針
朝日 2010年10月10日11時30分
河村たかし名古屋市長は9月定例市議会で再可決された議員提案の「名古屋版事業仕分け条例」を公布せず、一方で独自に事業仕分けを実施する方針を決めた。条例では議長が指名した議員が仕分けに参加するが、河村市長は「市長の権限を議会側が限定するものだ」などとしてこれを拒み、あくまで市主導で仕分け作業にあたる考えだ。
8日午前の記者会見で明らかにした。河村市長は「事業仕分け自体には賛成している」と述べ、新年度予算編成に向けた事業仕分けの実施を表明。市が定期的に支出してきた国の外郭団体への負担金の是非などについて、市民参加の場で決めるという。予算案の公表も前倒しする方針。
「仕分け条例」は民主党市議団が中心になって6月議会で提案され、可決された。これに対し、河村市長は「議員が仕分けするのは越権」として審議のやり直しを要求。9月議会で再議されたが、議会側は再び可決した。
このため、河村市長は地方自治法に基づき、同様に再可決された「中期戦略ビジョン」とあわせ、愛知県知事に是非について審査を求める方針を表明。市長は条例を公布しない方針で、議会が可決した条例が効力をもたない異例の状況が長期化しそうだ。
市議会からは反発の声が上がっており、民主党市議の一人は「自分が仕分けをしたいがために、議員条例を『けしからん』と言ってるようなもの。情けない」と語った。(豊岡亮、寺西哲生)
●首長vs議会 名古屋市だけの問題ではない(10月14日付・読売社説)
2010年10月14日01時40分 読売新聞
首長と地方議会は、不毛な対立を避け、健全な緊張関係を保ちつつ協調することが肝要だ。
名古屋市の河村たかし市長の支援団体が、市議会の解散請求(リコール)に向けて、46万人超の署名を選挙管理委員会に提出した。
有効署名が、有権者の約2割にあたる法定数の36万5795人に達していると確認されれば、来年1月にも、解散の是非を問う住民投票が実施される。投票で過半数が賛成すれば、市議会は解散され、出直し市議選が行われる。
1か月で46万人超もの署名が集まったのは、市民の関心の高さを物語る。地方分権の受け皿となる自治体の行政に市民が厳しい視線を送ること自体は歓迎したい。
今回の解散請求の発端は、河村市長と市議会の対立にある。市長が市民税減税の恒久化や議員定数・報酬の半減などを目指し、議会が反対するという構図だ。
河村市長は昨年4月、市民税の10%削減などを公約に掲げて民主党推薦で出馬し、初当選した。
市議会は、市長の主張通りの条例案をいったん可決したが、今年3月、10%減税を今年度限りとする改正案を可決した。「来年度以降の財源がはっきりしない」などを理由としている。
また、議員定数を75から38に、報酬を年1633万円から816万円に減らし、政務調査費を廃止する市長提出の条例案を否決した。こうした市議会の動きに河村市長が反発し、市長主導で解散請求運動が本格化したものだ。
市民税減税は、財源を行政改革で捻出(ねんしゅつ)するのなら、一つの政策の選択肢となり得る。様々な問題が指摘されている議員の政務調査費の見直しや、議会の活性化の努力も欠かせないだろう。
一方、議員定数と報酬は、一定の削減ならともかく、半減はあまりに過激ではないか。市長による大衆迎合主義の色彩も濃い。
日本の地方自治は、首長と議会の二元代表制を基盤としている。名古屋市とは事情も構図も異なるが、鹿児島県阿久根市でも、独善的な市長と議会が対立し、市長の解職請求運動が起きている。
首長と議会が、建設的な相互監視の機能を果たすには、双方が予算配分などで持ちつ持たれつのなれ合いの関係に陥らず、一定の緊張関係を持つことが望ましい。
だが、名古屋市のように、市長と議会が決定的な不信感を持ち、対決していては、建設的な施策に取り組めず、行政の停滞を招く。住民にとっても不幸なことだ。
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