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てらまち・ねっと



 関西電力の大飯原発の中を横切る断層の調査が2日行われた。
    (関連) 11月3日ブログ⇒◆大飯原発で新たに断層確認か~規制委初の調査/【活断層見直し】全原発に新定義の適用を

 その結果を評価する会議が昨日東京で行われた。
 予想通り、議論は分かれた。

 それぞれの報道から雰囲気が伝わった。
 激論。
 
 断層ではなく地すべりではないかという学者は、
   「大勢の人に囲まれ、冷静に判断できない。情報公開も結構だが、数時間で結論を出すのは無理」
 と述べたという。

 時間が必要なのはわかるけど、「大勢の人に囲まれ、冷静に判断できない。」というは、信じられない印象。

 ともかく、会議が公開されるのは当然とはいえ、オーブンな場での激論は、時代が進んだものだと感じた。

 そんな各専門家の発言の記録を中心にみた。

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●大飯原発:「活断層ある」「地滑り否定できず」判断割れ
         毎日 2012年11月04日
 関西電力大飯原発(福井県おおい町)の敷地内を通る断層「F−6破砕帯」に活断層の疑いが指摘されている問題で、現地調査した原子力規制委員会の調査団(5人)は4日、東京都内で結果を検討した。
敷地北端の調査溝で新たに見つかった地層のずれを、「活断層」とみるか「地滑り」とみるかで意見が分かれ、結論は出なかった。
7日に再び会合を開き、関電の意見を聞いたうえで議論する。
会合では、2日の現地調査を踏まえ、新たに見つかった地層のずれが、国の耐震設計審査指針で活断層とみなされる12万〜13万年前以降に動いた可能性が高いことでは意見が一致した。
ただし、動いた原因が地震に伴う活動か、地滑りかで委員の見解が真っ二つに分かれた。
また、このずれが、2、3号機の間をほぼ南北に走るF−6破砕帯と関係するかについても、意見が対立したままだった。

 ◇7日に再議論へ
 以前から危険性を指摘してきた渡辺満久・東洋大教授は「敷地内に活断層があるのは確実」と指摘。
これに対し、重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員と、岡田篤正・立命館大教授は「現時点では活断層があるとみなすことはできない」として、さらに調査が必要との見解を示した。

 会合後、島崎邦彦委員長代理(前地震予知連絡会会長)は報道陣に「今の段階で活断層か地滑りか、絞ることはできなかった。地滑りなら起こるのは限定的なので、F−6破砕帯とのつながりはなく、問題にならない」との認識を示した。

 問題のずれは、敷地北端の台場浜付近の関電が掘った調査溝(トレンチ)で見つかったが、関電は10月31日の中間報告で「地滑り」と主張している。

 F−6破砕帯の真上には、非常時に原子炉の冷却用海水を送る重要施設「非常用取水路」が通っているとみられる。国が安全審査で使う手引では、活断層の上に重要施設を造ることを認めていない。大飯原発は、全国で唯一稼働しているが、規制委は活断層と判明した場合、関電に運転停止を求める方針だ。

 大飯原発の破砕帯問題は、東日本大震災後、動かないと考えられてきた福島県内の断層が動いて地震が起きた例をきっかけに、旧経済産業省原子力安全・保安院が全原発を対象に再点検し、浮上した。【岡田英、畠山哲郎】

 ◇破砕帯◇
 地下にかかる圧力によって地層がずれる断層活動の痕跡の一種で、ずれた断層面に沿って押しつぶされて砕けた岩石が帯状の層となって表れたもの。厚さ数センチ〜数メートルの場合が多く、大きな断層は大規模な破砕帯を伴うことが多い。


●「活断層」に議論紛糾、統一見解難しく 大飯原発調査
          日経 2012/11/4 22:34
 4日開かれた関西電力大飯原子力発電所(福井県)に関する原子力規制委員会の評価会合は、現地調査で見つかった断層を巡り議論が紛糾した
。短時間の調査で結論を求める手法に不満も出ており、活断層で専門家の統一見解を得るのは難しいことを改めて浮き彫りにした。

 活断層に関する判定は国内で唯一稼働している大飯原発の停止につながりかねない重い判断を伴う。
問題となったのは、東洋大の渡辺満久教授が危険性を強調してきた「F―6断層」ではなく、2日の調査で新たに海岸付近で見つかった断層。専門家の見解は割れた。

 今回は地震の主要4学会が推薦した専門家が現地調査した。
判断には地質学や岩石学など様々な分野の知識が必要となる。調査にあたった産業技術総合研究所の重松紀生主任研究員は「地滑りの専門家も入れて判断すべきだ」と限界を認めた。

 1日で原発の敷地内6カ所を回る調査手法への批判も上がり、立命館大の岡田篤正教授は「1~2時間で結論を出せというのは私の能力を超える」と苦言を呈した。
7日の再会合に出席する関電は活断層に慎重な見方を示す見通し。規制委による意見集約がさらに難航する可能性もある。

●大飯断層、結論先送り…将来動くかは判断できず
                    2012年11月5日00時25分 読売新聞
 関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)で、原子力規制委員会の専門家らが現地調査した結果、地層の動いた痕跡が見つかり、活断層の疑いがあることがわかった。

 4日開かれた専門家らの評価会合で報告された。かねて活断層の可能性が指摘されていた破砕帯(断層)の「F―6」より東にある。将来も動く活断層かどうかは専門家の見解が分かれ、判断できなかった。規制委は7日に関電を呼んで再び会合を開き、同社による調査結果などを詳しく説明させる。

 問題の痕跡は、島崎邦彦・委員長代理(66)ら専門家が2日に現地調査した際、海岸近くの地層調査用の溝(トレンチ)で発見した。地層の様子から、原発の耐震設計審査指針で活断層の判断基準としている「12万~13万年前以降」にできたとの見方で、専門家らの意見が一致した。

 関電は、このトレンチで活断層は見られないとしていたが、渡辺満久・東洋大教授(56)は4日、今回の痕跡を「明らかな活断層」と断言した。渡辺教授は、従来「F―6」とされていた位置が誤っており、今回の場所が「F―6」の一部だと推測。そこから陸側へ長く延び、原発の重要設備「非常用取水路」の真下を横切っていると主張した。

 しかし、今回の痕跡について、岡田篤正・立命館大教授(70)は「地滑りによっても生じる。(活断層と)即断はできない」と述べた。局所的な地滑りならば取水路には影響しない。一方、従来「F―6」とされた場所については、現地調査で断層が認められず、議論されなかった。

●激しい議論の応酬、マイク奪い合いも 大飯原発会合
        産経 2012.11.4 22:59
 活断層なのか地滑りなのか-。結論が持ち越された原子力規制委員会の専門家調査団の会合では、意見の食い違うメンバー同士で激しい応酬があった。

 会場となった環境省の会議室には、約100人が傍聴に詰めかけ、議論の行く末を見守った。

 メンバーからは「短時間に結論を出すのは無理だ」などと、調査のあり方に疑問を示す発言があった。これに激しくかみついたのが、活断層の危険性を主張し続けてきた渡辺満久東洋大学教授だ。

 「(活断層では)ないことを理屈付ける調査は不要。原発をすぐに停止すべきだ」と、追加調査を求める他のメンバーを厳しい口調で牽制した。これに対し、日本活断層学会元会長で立命館大学の岡田篤正教授は、「先走って結論づけるのは危険だ」と訴えた。2人はマイクを奪い合うようにして激しく議論した。

 こうした議論について、立地自治体の福井県安全環境部の桜本宏企画幹は記者団の取材に「(会議は)あやふやで危うい議論だった」と不信感を示し、「誰にでもわかる議論を重ね、グレーとか濃いグレーではなく、明快な結論を出してほしい」と述べた。

●「活断層」判断なら運転停止要請も…大飯原発、規制委の法的根拠あいまい
   産経 2012.11.4 20:30
 原子力規制委員会の専門家調査団は今後、大飯原発の「F-6断層(破砕帯)」が活断層だと判断すれば運転停止を求める構えだが、規制委に停止の権限を明確に認めた法令はなく、法的根拠はあいまいだ。 

 規制委の田中俊一委員長は、大飯原発について「黒か濃いグレーなら止めてもらう」と明言している。これは、原発の耐震設計審査指針の手引で、活断層の真上に重要施設を設置することを認めていないことを根拠にした発言とみられる。ただ、建設後に活断層が見つかることを想定していないため、手引には運転停止を命令する規定がない。

 国内の原発は定期検査などで停止しており、運転停止が要請されたのは中部電力浜岡原発(静岡県)だけだ。浜岡原発は昨年5月に菅直人首相(当時)が中電に全停止を要請し停止したが、首相にも運転停止を指示する権限はない。原子炉等規制法(炉規法)は、「急迫した危険」があれば停止命令を出せるとしている。だが、「急迫」の定義もあいまいで、規制委は炉規法の準用や法的根拠を持たない行政指導での対処を検討している。

 一方で、再稼働判断については政府や規制委、地元自治体とで「押し付け合い」の状況が続き、明確な決定機関は定まっていない。法的根拠がなくても政府や規制委が原発を停止するのは可能だが、再稼働を決定するのは誰もいない-という特異な状態となっている。

●大飯原発の断層 評価巡り再協議へ
         NHK 11月4日 18時43分 
国内で唯一運転している福井県の大飯原子力発電所の断層について、国の原子力規制委員会は、2日の現地調査を基に活断層かどうかを評価する会議を開きましたが、活断層かどうかを判断できなかったとして、評価する会議を今月7日に改めて開き、議論することになりました。

国の原子力規制委員会は、大飯原発の敷地を走る「F-6破砕帯」という断層が活断層かどうかを検証するため、島崎邦彦委員と学会から推薦された専門家の合わせて5人が2日、現地調査を行い、4日、調査結果を評価する会議を開きました。

議論では、変動地形学が専門で東洋大学の渡辺満久教授が「上にある堆積物の年代の分析などから断層は、12万年前から13万年前以降に動いた活断層であると判断した。『まだ早い』とか『慎重に』という意見はいらないと思う」と主張しました。

これに対し、日本活断層学会の元会長で立命館大学の岡田篤正教授が「『地層のずれ』は地滑りでも起きるので、活断層による『断層運動』とは即座に判断できない。やや広い目で見ないと全体像は分からないし、特定の要素だけで先走って結論づけるのは危険だ」と訴え、専門家で評価が分かれました。

このあと、島崎委員は「おそらく12万5000年前ころにできたとみられる地層がずれていて、原因は『活断層』か『地滑り』の可能性が考えられるが、それ以上の判断は無理そうである」と述べて、評価する会議を今月7日に改めて開き、議論することを決めました。

今月7日の会議では、関西電力から改めて説明を聞くことにしています。

国の指針では、活断層の真上に原発の重要な設備を設置することを認めておらず、「F-6破砕帯」が活断層だと判断された場合、規制委員会は大飯原発の運転停止を求める考えを示しています。
規制委員会は、大飯原発のほかに、石川県の志賀原発や青森県の東通原発など5か所の原発でも断層の現地調査を行う計画で、次回の大飯原発の評価の会議で、どのような科学的な根拠を基に判断を示すのかが注目されます。

.島崎委員“再度の現地調査ありうる”
会議のあと記者団の取材に応じた、島崎委員は、次回、7日の会合で結論を出すのかどうかの質問に対し、「それは開いてみてからだ。即座に決めることも科学的に時間をかけて決めることも、両方の考え方がある」と述べました。
そのうえで追加調査の可能性について、島崎委員は「日程からいうと難しいが、個別に調査をすることはあるかもしれない」と述べ、規制委員会として現地調査を再度行うこともありうるという考えを示しました。

おおい町長“しっかりと調査を”
大飯原発の断層を巡り国の原子力規制委員会が今月7日に改めて議論することになったことについて、おおい町の時岡忍町長は「大飯原発が立地する町としては、公平公正に調査されることが住民の安全・安心に直結するので、しっかりと調査してもらいたい」とするコメントを発表しました。

●大飯原発の断層 7日に再度評価へ
           NHK 11月5日 4時31分
国内で唯一運転している福井県の大飯原子力発電所の断層を巡って、国の原子力規制委員会は現地調査をもとに活断層かどうか評価する会議を4日に開きましたが、「地層のずれ」について、活断層によるものかどうか専門家の間で見解が分かれ、結論は出ませんでした。
規制委員会は7日に改めて評価するための会議を開き、議論することになりました。

国の原子力規制委員会は、大飯原発の敷地を走る「F-6破砕帯」という断層が活断層かどうかを検証するため、島崎邦彦委員と専門家の合わせて5人が、今月2日、現地調査を行い、4日、調査結果を評価する会議を開きました。
この中で、敷地の北側の「トレンチ調査」の現場にある「地層のずれ」に議論が集中し、東洋大学の渡辺満久教授が「上にある堆積物の分析などから活断層があるのは明らかだ」と主張したのに対し、立命館大学の岡田篤正教授は「『地層のずれ』は地滑りでもできるので、活断層とすぐに判断できない」と指摘し、専門家で見解が分かれました。

そして島崎委員が「活断層だと考えても矛盾はないが地滑りの可能性もある」と述べて、7日に改めて評価するための会議を開き、議論することになりました。
専門家の見解が分かれたことについて、東北大学の遠田晋次教授は「活断層かどうかは地層の断面の情報をもとに推察するしかなく、限られた情報で判断するので難しい。岩盤や地層などの専門によって視点が違うので、いろいろな解釈が出てくるのは避けられない」と分析しています。

7日の会議では関西電力から説明を聞くことにしていますが、規制委員会は活断層だと判断した場合には大飯原発の運転停止を求める考えを示していて、どのような科学的な根拠をもとに判断するのか注目されます。

●「明確な活断層だ」「まだ断定できない」…大飯原発会合詳報
          産経 2012.11.5 01:15
 関西電力大飯原発(福井県)の敷地内断層について4日、議論した原子力規制委員会の専門家調査団。「明確な活断層だ」「まだ断定できない」。
同じ地層でも見解は分かれた。3時間近く議論が続いた会合での調査団メンバーの主なやりとりを再現した。

 《冒頭、調査団が2日の現地調査で撮影した試(し)掘(くつ)溝(こう)壁面の写真などが示された。渡辺満(みつ)久(ひさ)・東洋大教授が調査終了後、「F-6断層(破砕帯)」の延長とみられる断層を確認したと明らかにした場所だ。概要説明の後、メンバーが意見を述べた》

 広内大助・信州大准教授「関西電力は断層は地滑りによるものと説明しているが、地滑りと断定するのは難しい。トレンチ(溝)の上が見えないので、奥へ掘り下げて確認する必要がある」

 《関電の地滑り跡との説明に懐疑的な見方を示す。さらに、沖合の海底を調べた音波探査データについて指摘した》

 「何も断層は見られないとなっているが、筋状の構造が見える。これをみて何もないと判断するのは難しい。断層の可能性もあると思っている」

 重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員「破砕帯だけで判断しろというのはむちゃな要求だと思っていた。断層粘土だけで判断するのはかなり難しい」

 《重松氏は、活断層かどうか判断するには、地下の層にどのように力が加わっているか調べ、破砕帯を構成する物質を分析する必要があると強調した》

 渡辺氏 「これは活断層であると判断した。大飯原発の最重要施設の直下に活断層は存在する。F-6以外にも活断層が存在する。これらが見落とされ、現在になって問題が顕在化した。これまで確認できないことを『活動していない』とごまかしてきた」

 《断層の危険性を指摘し続けてきた渡辺氏が主張するように活断層だとすれば、大飯原発が運転停止に追い込まれるのは必至だ》

 「あえて言うと、『結論はまだ早い』『慎重に』という意見はいらない。これはのんきな学術調査ではない。原発ををすぐに停止し、調べ直すのはその後でやるべきだ」

 岡田篤正立命館大教授「学術的に冷静な対応が必要だ。全体として、まだこれを活断層ということができない。状況証拠、調査中のものもある。場合によっては、地滑りの専門家ら学会の幅広い識者を含めて分析すべきだ。私はあえて『ずれ』と言っている。断層運動と即断はできない。むしろこのような構造は地滑り的に見える。局所的な現象だけで、先走って結論づけるのは非常に危険だ」

 《活断層かどうかの判断をめぐり見解が分かれた。一方、地層のずれが生じた時期については、4人の見解がほぼ一致した》

 広内氏「12万5千年くらい前と考えると、その判断がおかしいとは思わない」

 《断層の活動時期が13万~12万年前の「後期更新世」以降のものが「活断層」とみなされてきた。団長役を務めた原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理が内容を整理した》

 島崎氏 「(地層のずれは)12万5千年前以降のものとみられる。それが活断層によるものと考えても矛盾はないが、地滑りの可能性がある。それは一致した結論である」

●大飯原発:断層、再調査も…運転継続の行方見えず
      毎日新聞 2012年11月05日
 「先走って(活断層との)結論を出すのは危険」「明らかに活断層。すぐ原発を止めて調べるべきだ」。
関西電力大飯原発の活断層問題に関する4日の原子力規制委員会の会合では、活断層かどうかの判断をめぐり、調査団メンバーの見解は分かれ、現地の再調査を求める声が続出した。7日に再び会合を開くが、意見が集約されるのは難しく、運転継続の可否は見えない。

 原発周辺は建設時の開発で本来の地層がほぼ存在せず、施設もあるため掘削などの調査が困難だ。このため関電は、原発の北側約200メートルにある「台場浜」付近に深さ約5メートルの溝(トレンチ)を掘り、新たな断層を公開。2日に島崎邦彦委員長代理と、有識者4人が現地調査した。焦点は、台場浜周辺の地層のずれが、(1)活断層か、地震活動に関係ない地滑りか(2)いつ動いたか−−の2点だ。

 渡辺満久・東洋大教授は「断層は原子炉建屋の方向に延び、局所的なずれではない」として、地滑り説を否定した。これに対し、岡田篤正・立命館大教授は「地層のずれは、地滑りでも起きる。周辺を幅広く調査する必要があり、先走るのは危険」と反論した。重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員は「地質や地滑りの専門家を入れて判断すべきだ」と提案し、調査が長期化する可能性も出てきた。

 一方、地層のずれは、9.5万年前とされる火山灰を含む地層下にあり、年代の分かっている周辺地層との関係から、「12.5万年前以降」との見解で一致した。原発施設の耐震基準を定めた「耐震設計審査指針」では、12万〜13万年前より後に動いた断層10+件を活断層としており、年代的には一致する。規制委は数十万年前以降への拡大を検討しており、他原発の再稼働判断へも影響する恐れがある。

 活断層は、過去に繰り返し動いた痕跡があり、今後も活動する恐れがあるものを指す。揺れは、活断層の長さに比例して強くなるため、この地層のずれがどこまで延長しているかも重要なポイントになる。

 岡田教授は「大勢の人に囲まれ、冷静に判断できない。情報公開も結構だが、数時間で結論を出すのは無理」と訴えた。【岡田英、西川拓】

●大飯原発:「きちんと判断を」…傍聴席から切実な声
         毎日新聞 2012年11月05日 関西電力大飯原発(福井県おおい町)敷地内の断層(破砕帯)が活断層かどうか、評価が分かれた4日の原子力規制委員会の調査団の会合。結論は先送りされたが、規制委は「活断層の可能性がクロや濃いグレーなら運転停止を求める」方針で、全国で唯一、稼働中の原発が止まる可能性を秘めながら、緊迫した議論が今後も続く。

 会合には傍聴者や報道陣計約100人が詰めかけた。進行役を務めた島崎邦彦・委員長代理を除く4人が順番に見解を話した。

 「重要施設の直下に活断層がある。原発をすぐに停止し、全てを調べ直す必要がある」。そう指摘したのは、渡辺満久・東洋大教授だった。渡辺氏はこれまでも原発敷地内の活断層の危険性を指摘してきており、関係者から「今回の認定作業のキーパーソン」と見られている。広内大助・信州大准教授も、活断層の可能性を指摘した。

 一方、日本活断層学会の元会長で岡田篤正・立命館大教授は、渡辺氏が活断層だと指摘した「ずれ」を、「ずれはいろんな現象で起こる。これを断層現象と即断できない。むしろ地滑り的に見える」と慎重に検討するよう繰り返し訴えた。重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員も「全体の構造がはっきりしない段階で、議論していても、判断は主観的なものになってしまう。もう少し調査し判断すべきではないか」と主張した。

 現地調査した専門家の意見が分かれる事態に、会合の終了間際には傍聴席から「きちんと判断してください」との声も上がった。

 島崎委員長代理は「ずれの原因は活断層によるものか、地滑りの可能性が考えられる。今日はそれ以上の議論は無理だ」と判断を示せず、規制委の田中俊一委員長は終了後の報道陣の質問に答えず、会場を後にした。【畠山哲郎、須田桃子】

 ◇運転停止指示、法的根拠なく
 規制委の田中俊一委員長は「(活断層の可能性について)クロや濃いグレーなら運転停止を求める」との見解を示しており、大飯原発の断層が活断層と認定されれば、運転停止を指示する。しかし、規制委が電力会社に運転停止を求める法的根拠はなく、超法規的な「行政指導」に頼らざるを得ない。昨年5月、東海地震が懸念される中部電力浜岡原発で、菅直人首相(当時)が運転停止を要請したのも、これに該当する。ただ、発動した場合、運転継続を求める電力会社から訴訟を起こされる可能性がある。【中西拓司】



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