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てらまち・ねっと



 国内最大の貯水量の徳山ダム(岐阜県揖斐川町)。
 言うまでも無く、私は建設や運用に反対する側にいる。

 その徳山ダムは、昨年5月に本格稼動。
 しかし、水の利用先が決まらないなど問題は続く。
 
     「『当初の考えから(現在の水需要が)乖離(かいり)していることは
      間違いない』(古田肇知事/4月28日定例会見/中日新聞)

 そこに、名古屋市の新市長である河村氏が、名古屋市が徳山ダムの水を導く水路の計画から個人的には撤退したいと発表した。
 加えて、名古屋市の本年度分1億6000万円は今月25日が支払期限だが、「支払わない」とすでに機構に通告したという。

 何も徳山ダムに限ったことではないけれど、
 大規模公共事業を強行して行くと「無理」が露呈する時代。
 そのきっかけはいろいろなところにある。
 ともかく、見直しは進む。

 しかも、国レベルで政権が交代すれば、もっと見直しが加速することは間違いない。

(ダム関連エントリー) 2008年10月2日ブログ
    ⇒ ◆川辺川ダム建設中止/他方で、ダム撤去は凍結/熊本蒲島知事     

2009年4月9日ブログ
    ⇒ ◆新聞の「書評」を書いた。初めて/岩波書店の「川辺川ダムはいらない」著者・高橋ユリカさん

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●徳山ダム本格稼働から1年 難しい水需要開拓  中日 2009年5月3日

 観光放流が開始され、きれいなうろこ模様を描き出す徳山ダム=揖斐川町で、本社ヘリ「あさづる」から

 徳山ダム(揖斐川町)は5日、本格稼働から1年を迎える。県が巨額の費用負担で確保した水の利用先が決まらないなど課題が残る。一方、地元ではダムを観光地にし、地域の活性化につなげようと模索が続く。(河原広明、岡本太)

 「当初の考えから(現在の水需要が)乖離(かいり)していることは間違いない」。古田肇知事は4月28日の定例会見で苦渋の表情を浮かべた。

 県は徳山ダムに西濃地方で使う工業用水(毎秒1・4トン)と水道用水(同1・2トン)を確保するため、ダム建設費として534億円(利子含む)を負担。立て替えた水資源機構に23年間で年23億円ずつ返済する計画で、支払いは2008年度から始まった。このお金は本来、県がダムの水を市町村や企業に売った収入でまかなう。誰も水を買ってくれず、県は自らの「財布」から支払わざるを得なくなった。利用がないと、返済は県民にのしかかる。

 ダムのある西濃地方は地下水に恵まれ、大垣市は「水都」と称される。市町村や企業は地下水を使い、水道用水と工業用水の全使用量のうち地下水の割合は98%近くだ。

 今のところ地下水は潤沢で、水道使用量は人口減や節水型家電の普及などで横ばいから減少傾向。16万人を抱える大垣市は「水は足りている。現時点でダムの水は必要ない」とする。工業用水の量も伸びていない。

 地下水は無料だが、ダムの水は利用料金が必要になる。海津市は「市が自前で地下水を利用するコストと比べ、ダムの水を買う方が高いのは容易に推測できる。コスト増は市民の水道料金に跳ね返る」と慎重だ。

 古田知事は会見で見通しの甘さを認めつつ、建設中の東海環状道西回り区間沿線への企業立地の可能性などを挙げて「水需要は長期的に考える必要があり、地元の発展とともにニーズは出てくる」と強調した。「(需要開拓の)分かりやすい見取り図ができていないのは事実」とも続け、利用先を見つける難しさをにじませた。
   ◇  ◇

 「あまり人は来なくなったね。あれだけ騒いでいたのがうそみたい」。月に1度、ダムに足を運ぶ揖斐川町の無職清田孝治さん(64)は寂しそうに語る。

 ダム建設中は高さ161メートル、貯水量日本一の威容を見ようと大勢の見物客が訪れたが、最近はひっそりと静まり返ることが多くなった。

 ダム湖を望む資料館「徳山会館」の入館者は昨年前半まで毎月1万人を超えたが、本格稼働してからすべての月で前年を下回り、ほぼ半減。町が昨春から毎週末に走らせる観光バス「徳山ダム号」の乗車率も運行当初の90%台から、50-60%に落ち込んだ。

 過疎化が進む揖斐川町にとって、ダムをどう生かすかは地域活性化の鍵を握る。迫力ある「観光放水」で人気の黒部ダム(富山県立山町)は年間100万人が訪れる。

 まちづくりに取り組む地元NPO法人のメンバーらが「課題はあっても、ダムは大切な財産」と活用策を練り始めた。ダムを含めた観光ルートを設定し、PRする計画だ。

 4月29日には町も働き掛けてきたダムの「観光放流」が初めて実現した。活動に参加する主婦高橋美江さんは「せっかくの日本一のダム。有効活用できるよう知恵を絞りたい」と力を込める。

 【徳山ダム】水資源機構が揖斐川上流に建設した利水、治水、発電などの多目的ダム。建設に伴い、旧徳山村全世帯の約1500人が移転した。1957年に構想が浮上し、昨年5月に本格稼働。総事業費は3500億円で、県は治水と利水目的の計713億円を負担。利水分275億円のうち218億円は機構が立て替えており、県は2008年度から返済を始めた。返済額は利子を含めると、534億円。

●岐阜・徳山ダム建設:導水路計画 負担金差し止め住民監査請求を却下 /愛知  毎日新聞 2009年5月14日
 ◇県監査委員
 岐阜県揖斐川町の徳山ダムの水を揖斐川から木曽川に流す木曽川水系連絡導水路事業について、市民団体が県の負担金の差し止めを求めた住民監査請求で、県監査委員は13日、請求を却下した。

 監査委員は「導水路事業について独自の見解を述べているに過ぎず、負担金の違法の理由や事実を具体的に示していない」と理由を述べている。

 市民団体「導水路はいらない!愛知の会」の会員らが3月30日、「導水路事業は河川維持流量の科学的な根拠に欠け、水需要も現実離れしており、不要だ」などとして監査請求していた。

 監査請求が退けられたことを受け、会は近く住民訴訟を起こす方針だ。
【月足寛樹】

● 木曽川水系連絡導水路建設計画を中止させ木曽川・長良川の河川環境の保全と再生を図る
     導水路はいらない愛知の会

 ● 愛知県東浦町議 神谷さんのブログ
    ⇒ 3月議会最終日・・・木曽川水系連絡導水路事業に反対する意見書(案)を議会に提出

●名古屋市が導水路撤退 徳山ダムの利水権を放棄  2009年5月15日
 名古屋市の河村たかし市長は14日、徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を、同市と愛知県の取水口がある木曽川まで流す「木曽川水系連絡導水路事業」から撤退する方針を明らかにした。水需要が増えていないことが理由で、同ダムの水を毎秒1・7トン利用できる権利は放棄する。

 市が撤退しても、導水路の規模を小さくするなどして事業費を削減するのは難しい。事業継続には、市と同じく権利を持つ愛知県を中心に、国や岐阜、三重両県の負担が増す可能性があり、反発が起こるのは必至だ。

 導水路は水資源機構が本年度に着工し、総事業費890億円のうち、市は2015年度までに121億円を負担する計画。市の本年度分1億6000万円は今月25日が1回目の支払期限だが、市はすでに「支払わない」と機構に通告した。


  さらに権利を放棄することで、市は、毎年1億3000万円負担している徳山ダムの維持管理費も今後は支払わない構え。ただ、3500億円をかけて完成したダムの建設費は、市負担分のうち90億円を払っただけで、今後20年余かけて利息も含め310億円を支払う必要がある。

 河村市長は本紙の取材に「水の使用量は1970年代をピークに減っている。水余りの中、さらに何百億円も投じて導水路を造る必要があるのか。渇水時には節水や農業用水の活用など市民の協力で乗り切れる」と話し、導水路事業そのものの見直し議論に火を付けたい姿勢も示す。早々に討論会を開き、市民の声も聞きたいとしている。

 導水路の建設には名古屋市議会でも一部に疑問の声が上がったことはあるが、大勢は建設に同意しており、河村市長の方針には今後、議会が反発する可能性もある。

 河村市長は、民主党の衆院議員時代から徳山ダムには反対の立場をとっていた。

 【木曽川水系連絡導水路事業】揖斐川と木曽川を直径4メートル、全長43キロの地下トンネルで結び、徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を毎秒4トン、渇水時は同20トン、木曽川に放流する。木曽川には愛知県と名古屋市の取水施設があり、都市用水への利用、渇水時の木曽、長良川両河川の環境改善などが目的。上流、下流の2ルートを建設する計画。2009年度に着工し15年度の完成が目標で、総事業費890億円は国と愛知、岐阜、三重各県と名古屋市が負担する。

●導水路撤退方針、事業に波紋  中日 2009年5月15日
 名古屋市の河村たかし市長が、国内最大の貯水量を誇る徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を木曽川に流す導水路事業からの撤退の方針を示したことは、事業の見直し議論も含め、国や愛知県も巻き込んだ大きな波紋を広げそうだ。有識者からは「引き返す勇気」を評価する一方、費用を分担する他自治体への影響や、渇水時の対策に疑問の声も上がる。

 名古屋市の河村たかし市長の「撤退」方針により、徳山ダムの水を長良川や木曽川に流す「木曽川水系連絡導水路事業」の見直し議論がわき起こる可能性もある。

 田中康夫・前長野県知事の「脱ダム宣言」(2001年)に端を発した公共工事見直しの動き。昨年から今年にかけても、熊本県知事が川辺川ダム計画を白紙撤回させ、滋賀、京都、大阪の三府県知事が建設中止を求めていた大戸川ダム(大津市)も凍結が決まった。

 徳山ダムは昨年5月、本格稼働を始めた。「同時に、導水路が完成していることがベストだった」と国土交通省中部地方整備局は振り返る。水を利用できる権利を持つ愛知県や名古屋市からすれば、ダムと導水路はセットでなければ意味が無い。市も県も、ダムのある揖斐川ではなく、木曽川に取水口を持っているからだ。

 導水路の着手に時間がかかった背景にあるのは、徳山ダムそのものの必要性への疑問の声。費用を負担する地元の自治体からすればダムの建設費に加え、さらに財政負担が増すことへの懸念だけではなく、そもそもダム構想が浮上した半世紀前の想定ほど水需要が伸びていない実情がある。同県も市も04年に権利の約4割を返上している。

 07年に国と東海3県、名古屋市が導水ルートや費用負担に合意し、着工に向け動き始めたが、市民グループらは、水質や水温の異なる揖斐川の水を放流することで長良川などの環境悪化を指摘。岐阜県も環境調査の結果が出るまでは慎重な構えを崩していない。

 今回の河村市長の方針は導水路事業にとどまらず、見直し議論の先には3500億円をかけたダム工事の意義が大きく問われる可能性もある。

● ハラナさんのブログ
    名古屋市が導水路撤退 徳山ダムの利水権を放棄(中日)=「ムダ」とはなにか52

●名古屋市長、徳山ダム導水路予算の一時凍結を指示  朝日 2009年5月15日
 名古屋市の河村たかし市長が15日、記者会見を開き、岐阜県の揖斐川上流にある徳山ダムの水を木曽川と長良川に引く木曽川水系連絡導水路事業について「水余りで事業の必要性が無くなった。市長個人としては撤退したい」と述べ、予算の一時凍結を指示した。同事業は、岐阜、三重、愛知の3県と国が共同で進めており、まず3県に対し、今後の方針について話し合う会議を呼びかける。すでに古田肇岐阜県知事からは参加の了承を得ているという。

 突然の凍結表明だが、河村氏は会見で「市としての結論ではない」とも述べ、内部の調整も進める考え。まず月内にも導水路事業に反対する専門家を招いて意見を聞くという。


 また、「他の自治体との共同事業で、影響がどれくらいあるか分からない。3県に事業の見直しを呼びかけたい」との考えを示した。環境影響を懸念する岐阜県からは内諾を得ており、愛知、三重県には一両日中にも連絡するという。

 導水路の総事業費890億円は、国(408億円)、愛知県(318億円)、名古屋市(121億円)、岐阜県(30億円)、三重県(13億円)が負担する。市は、負担額のうち今年度分の1億6千万円について、事業主体の水資源機構に対し、支払いを一時凍結する方針を伝えた。

 理由について河村市長は、節水や工業用水の循環利用により、水の使用量が減少傾向にあることを挙げた。また、衆院議員時代から徳山ダムの建設そのものに反対しており、「議員としての発言にも責任がある。支払いの事実を先行させてはいけない」と説明した。

 一方、徳山ダムの維持管理費や建設費の市の負担分については、「既に完成しており、無責任になるので支払わざるを得ない」とした。


●徳山ダム導水路:名古屋市長、負担金凍結…東海3県に波紋  毎日新聞 2009年5月16日
 徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を木曽川と長良川に流す「木曽川水系連絡導水路事業」について、名古屋市の河村たかし市長は15日、今年度の同市の負担金の支払いを延期したことを明らかにした。

 市として、事業の是非を含めて判断するため、近く専門家から意見を聴取したいという。ただ、事業は国と東海3県、同市で建設費の負担割合を既に決めており、3県知事らから困惑の声が上がっている。【岡崎大輔、山田尚弘、田中功一】

 河村市長は「徳山ダムは水余りで不要でないかと衆院議員時代から思っていた。市長に変わっても貫いていきたい。(負担金の支払いは)先行してはいけないので止めてもらった」と述べた。一方で、「個人としては反対だが、市としての判断は別」「導水路事業をやめるという指示は出していない」などとし、撤退ありきではないと説明した。夏ごろまでに市としての正式な判断をしたいという。

 河村市長は事業から撤退した場合の影響について、現在は市の実質的な負担は80億円だが、撤退した場合には国からの補助金分を含め約100億円を市がかぶる必要があるとして、「80億で済むのを100億払って結局、水が使えなかったのでは何だったんだということになる」と撤退する難しさにも言及した。

 同事業は、徳山ダムの水を揖斐川から長良川を経由して愛知県と名古屋市の取水口がある木曽川まで全長44キロのトンネルでつなぎ、下流部でも1キロのトンネルでつなぐ。
 
 独立行政法人の水資源機構が09年度に着工、完成は15年度。総事業費890億円を国と愛知、岐阜、三重の3県と名古屋市が負担し、市の負担金は121億円。今年度はそのうち1億6000万円を4分割で支払うことになっており、最初の支払い日が今月25日だった。

 徳山ダム本体の建設費は3300億円で、市負担は400億円。これまで90億円を支払い、今後、21年をかけて310億円を支払う。ダムの維持管理費は毎年1億3000万円で、市長は導水事業から撤退しても、いずれも支払うとしている。

 名古屋市の1日当たりの給水量は工業用水の場合、74年の10万3000トンを頂点に減少に転じ、97年度は7万4870トン、07年度は6万108トンに落ち込んでいる。

 河村市長の発言は波紋を広げている。愛知県土地水資源課では、「国と自治体で決めた負担割合を変えるなんてあり得ない。建設費や維持管理費を払いながら一滴の水も飲めないことを市民は選ぶのだろうか」と語る。

 愛知県の神田真秋知事は「(撤退した場合)市の負担分を県がかぶることはない。県民は納得しないし、そんなに簡単なものではない」とくぎを刺した。神田知事は15日、市長と電話で話した際に「手順、相互の調整を欠くと支障が出る。気を付けてほしい」と注文を付けたという。

 岐阜県の古田肇知事は「事業は渇水対策として多くの住民や首長から要望を受けている。資金負担もルールを決めており、岐阜県が方針を変えることはない」と強調し、「3県1市で議論を重ねる手順を踏む必要がある」と述べた。

 三重県の野呂昭彦知事は「名古屋市は金と利水だけで考えているところがあるかもしれないが、(徳山ダム事業は)治水や河川環境改善という問題もある」と述べ、治水のみの受益となる同県の立場を訴えた。

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