Sunday Song Book #1047

2012年11月04日 | Sunday Song Book

2012年11月04日プレイリスト
「佐藤博 追悼プログラム Part 1」
1. LOVE SPACE / 山下達郎 "スペイシー" '77
2. 元気を出して / 竹内まりや "リクエスト" '87
3. あまく危険な香り / 山下達郎 '82
4. MONDAY BLUE / 山下達郎 "GO AHEAD!" '78
5. RAINY DAY / 山下達郎 "RIDE ON TIME" '80
6. 明日のない恋 / 竹内まりや "デニム" '07('89)
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■内容の一部を抜粋
・近況
「わたくし、しばらくお休みでしたけれど、また今週あたりからそろそろスタジオに復帰でございます。竹内まりやさんの新曲のレコーディングがそろそろはじまりますが。その前にプリプロがちょいとあったりしますが。娑婆に出ておりましたのでですね、またスタジオに戻ると、お籠もりだと、身体が調子が戻るのにちょいと時間がかかるかもしれませんが、仕事に復帰という感じでございますが」と達郎さん。

・佐藤博 追悼プログラム
「番組のほうは先日申し上げましたように佐藤博さん。キーボード・プレーヤーであります。作曲家、編曲家、マルチな才能を持ったミュージシャン、先日10月26日に本当に急逝をいたしました。享年65歳。わたくしは佐藤博さんは1970年代の中頃からですね、自分のソロの作品、それから竹内まりやさんの作品、他自分のレコーディングでですね、数多くレコーディングを付き合っていただきました。わたくしにとってというよりは、戦後日本を代表するキーボード・プレーヤーのひとりだと思います。わたくしの最も敬愛するキーボード・プレーヤーのひとりでありました。ので、今日は佐藤博さんの追悼特集をしたいと思います。わたくしのカタログと竹内まりやさんのカタログで55分、あっという間に過ぎてしまいます。ので、今週来週二週間やろうかなと思っております。わたくしと竹内まりやさんの作品だともったいないのでですね、佐藤くんのいろんな仕事を偲んで二週間、佐藤博さんの追悼特集お届けしたいと思っております。本当に思い出がたくさんありますので、思い出と絡めて。佐藤博さんの追悼特集お送りすると申し上げましたら、たくさんたくさんリクエストカードいただきましたが。リクエストカードをご紹介するのもアレなんですが、今日はそうした一曲一曲の思い出を語らしていただきながら、佐藤くんの名プレーを聴きながら偉業を偲んでみたいと思っております」と達郎さん。

・LOVE SPACE
1977年のセカンド・ソロ・アルバム『SPACY』の1曲目に入ってる「LOVE SPACE」。今回のベスト・アルバム『OPUS』にも収録されている。佐藤博さんのピアノではじまる曲。途中のピアノのグリースのセンスや、ちょっとピックアップでイントロに入るところは本番でいきなり弾きはじめたという。村上"PONTA"秀一さん、細野晴臣さん、松木恒秀さん、佐藤博さんのフォー・リズムを想定して書いた曲だと達郎さん。

・元気を出して
達郎さんはソロ35年のキャリア。キーボード・プレーヤーに恵まれて、レコーディングでお願いしたキーボード・プレーヤーは坂本龍一さんと難波弘之さんと中西康晴さんと佐藤博さんの4人だけ。ドラムはちょっと多くて6人くらい。ベース、キーボード、ギターは全部4人。特にキーボードはよりすぐりで誰一人とってもみんな上手い人たち。佐藤博さんはひじょうにユニークなキャリアで二十歳過ぎてからピアノを始めたという。もともとブルース・ベーシックの音楽が得意な人で、その後、いわゆる16ビートのAOR、フュージョン系でも活躍した。
「元気を出して」は竹内まりやさんの1987年のアルバム『REQUEST』に収められている。こうした割りとウエストコーストっぽい曲でも十分に持ち味を発揮してくれた。アタマの4小節はキーボードが入ってこない。これは佐藤博さんのアイディア。

・あまく危険な香り
1982年のシングル・オンリーの「あまく危険な香り」。今回のベスト・アルバム『OPUS』にも収録されている。佐藤博さんのちょっとしたエレピのフレーズがひじょうに引き立っている名演。

・佐藤博さんとの出会い
いちばん最初に達郎さんが佐藤博さんの演奏を観たのはシュガー・ベイブの頃。「SAMURAI(サムライ)」という今のピットインの表側、新宿通りに面した小さなライヴハウスでシュガーベイブのライヴがあったときに、オリジナル・ザ・ディランという大阪のユニット、ドラムが林敏明さん、ベースが田中章弘さん、ギターが石田長生さん、そしてキーボードが佐藤博さんというフォー・リズムに、西岡恭蔵さんや、ウエストロードのホトケさん、入道さん、上田正樹さんなど、いろんなシンガーがセッションに乱入していた。そのときのフォー・リズムの演奏は達郎さんをはじめとする東京の人間にとってはショッキングなほど上手かったという。その晩は一晩眠れなかったと達郎さん。特にキーボードの佐藤博さんとギターの石田長生さんのプレーは、日本人にはできないだろうと諦めていたプレー、例えばダニー・ハザウェイ風のキーボードのマターとか、そういうのをいとも簡単にやっていたそうだ。おんなじことを難波弘之さんも金子マリとバックスバニーのときに、佐藤博さんのピアノとか関西ブルースのシーンのピアニスト、中西康晴さんやチャールズ清水さんといった人たちのプレーを見て、おんなじようにショックを受けたという。未だに達郎さんと難波さんはよくそのときの話をするそうだ。ものすごくインパクトがあったピアニストだったとか。その後、ティン・パン・アレーのファースト&ラスト・コンサートにピアノ・プレーヤーとして参加したり、鈴木茂さんのハックル・バック(オリジナル・ザ・ディランのリズム・セクションで結成された)を見ていく中で、達郎さんはソロになったら佐藤博さんにキーボードを頼もうと思っていたそうだ。いちばん最初のセッションは1977年のセカンド・ソロ・アルバム『SPACY』の1曲目に入ってる「LOVE SPACE」。

・MONDAY BLUE
いちばん思い出に残ってるのは1978年のアルバム『GO AHEAD!』に入ってる「MONDAY BLUE」。村上"PONTA"秀一さん、岡沢章さん、松木恒秀さん、佐藤博さんのフォー・リズムの演奏。佐藤博さんのプレーは超絶を通り越して神がかってる。達郎さんが25歳、佐藤博さんと松木さんが30歳、村上ポンタさんと岡沢さんは26歳。それにしては老成してると達郎さん。ギター、ベース、ドラム、エレクトリック・ピアノにアコースティック・ピアノをダビング。リハーサルなしで当日セッションして、2テイク、3テイクの演奏だったとか。アコースティック・ピアノのダビングで、ほかのメンバーはスタジオのブースの外で、コーダ近くのグリースダウンでシーンとして、みんなで「はぁっ~」と溜息をついたのを覚えてるという。この曲は佐藤博さんの演奏を目論んで書いた曲。

・FM群馬
来週はFM群馬がサッカーの中継のため午後7時からオンエア。

・プレゼント
「サンデー・ソングブック」20周年を記念したオリジナルの切手シートとリクエスト専用ハガキのセットはたくさんの応募があったという。今月11月のプレゼントは11月18日に発表。

・RAINY DAY
1980年のアルバム『RIDE ON TIME』に入ってる「RAINY DAY」は吉田美奈子さんに提供した曲のセルフ・カヴァー。このとき佐藤博さんはロサンジェルスに行っていた頃で日本にはなかなか帰って来なかったが、ふらっと一週間日本に帰国、ちょうど『RIDE ON TIME』のレコーディング中だったので、そこをつかまえて「RAINY DAY」と「雲のゆくえに」の2曲をレコーディングしたという。青山純さんがドラム、伊藤広規さんがベース、達郎さんがギター、佐藤博さんがキーボード。この曲も佐藤博さんの独壇場でイントロのピアノのフレーズから佐藤さんが思いついたまま弾きまくって、達郎さんはそのメロディのリフに合わせて後からアレンジを決めるという、それくらいの存在感になっていた。

・明日のない恋
竹内まりやさんの2007年のシングル「明日のない恋」。佐藤博さんと達郎さんの最後の仕事となった。佐藤博さんのひじょうに印象的なピアノのフレーズではじまる曲。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

■今後の予定
11月11日は、引き続き「佐藤博 追悼プログラム Part 2」
http://www.tatsuro.co.jp
コメント (2)
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