矢野顕子2010「ここが音楽堂!」弾き語りツアー

2010年05月08日 | Live

4月18日(日) 曇り。

5年振りとなる磔磔。
磔磔は以前訪れたときと何も変わらず存在していた。
河原町の変容とは無縁のようだ。
数日前の寒波の影響でこの時期としては寒く、
会場前にはまだストーブが出ていたが中は土蔵なので温かかった。
ジョン・リー・フッカーやアルバート・コリンズの公演の為に 作られた
手製の看板が並べられた店内は思っていたよりも薄暗かった。
その薄暗さがまた古さを感じさせた。
丸いすの座面の固さには閉口したが(苦笑)。

アルバム『音楽堂』が出たとき、
そのジャケットの写真を見て内容とそぐわないのではないかと思った。
ジャンプする猫が意味するのは何なのか考えてしまった。
今回MCで猫のジャケットについて明らかにされたが、
それは猫好きの人がジャケット買いするのを期待してということだった。
矢野顕子らしい素晴らしいアイディアだと思う。

しかし、アルバムについて矢野顕子は単なる弾き語りのアルバムではないと話した。
例えばくるりの「グッドモーニング」は作者の岸田繁が意図したところとは違う
別のところにポイントを置いてカヴァーしているということだった。
この日、1曲目に披露された「グッドモーニング」だが、
矢野顕子ヴァージョンでは最後に希望があった。

「へびの泣く夜」は糸井重里と矢野顕子のソングライター・コンビによる作品。
これほど今の僕にぴったりとくる曲はないんじゃないかと思った。
矢野顕子は昨年、教育テレビで放送された「佐野元春のザ・ソングライターズ」に出演した。
そのとき矢野顕子は本当のことを知りたいと死ぬまで探し続ける人に自分の歌を聴いてほしいと話した。
自分が矢野顕子のよい聴き手なのかどうかわからない。
でも矢野顕子は歌の中で僕の迷い、僕の悩みを表現してるじゃないか。
それは普遍的なものなのかもしれないが、僕はそう感じていた。

「恩赦」は清志郎が20年ほど前に書いた曲。
先頃リリースされたアルバム『Baby #1』に収録されている。
思いがけず歌われたこの曲と立て続けに披露された「きよしちゃん」で、
清志郎の一周忌が近いことを思い出させた。
矢野顕子は清志郎に歌いかけるように歌っていた。
まるで磔磔に清志郎がいるかのように。

今回の磔磔公演がよかったのは、
磔磔という磁場と矢野顕子という宇宙とが共鳴していたからではないだろうか。
最後の曲となった「いい日旅立ち」のあの奇妙な感じは正に宇宙だった。
僕にとってそれはブラックホールのようでもあった。

■矢野顕子2010「ここが音楽堂!」弾き語りツアー
2010年4月18日(日) 京都磔磔
整理番号108番

矢野顕子(Vocal, Piano)

Set List
01 グッドモーニング
02 My Love
03 椅子
04 へびの泣く夜
05 変わるし
06 きょうのわたくし
07 嘆きの淵にある時も
08 在広東少年
09 恩赦
10 きよしちゃん
11 右手
12 さあ冒険だ
13 ひとつだけ
Encore
14 ニットキャップマン
15 いい日旅立ち

コメント (2)
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