Love Letter

2007年02月22日 | 映画

これは岩井俊二監督作品『Love Letter』のDVDだ。春先の話なので今の季節に見るのがいい。淡い色調の映像をただぼんやりと見ているだけで心が温かくなる。

ロードショー公開が1995年ということだ。最初に見たのは衛星放送で1997,8年頃だったと思う。映画の中の小物にワープロが出てくる。今見ると相当古いタイプの機種だと感じる。もちろん、まだケータイも普及してない頃の映画。10年と少し前ですよ。時の流れは早い。

最初に見た時から好きな映画で、それは今も変わらない。中山美穂が「渡辺博子」と「藤井樹」の二役を演じるのだけど、どちらの役も好きだ。ストーリー自体はリアリティーのない話だと思うけど、脚本はうまく書けてる。松田聖子の「青い珊瑚礁」と豊川悦司の関西弁がいい感じ。

今年の1月2日にNHK-FMで放送された「ダブルDJショー 鈴木慶一 × 岩井俊二」で『Love Letter』の話が出ていた。この映画に出てるだけで韓国では有名人になるくらい、韓国で大ヒットしたらしい。
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太陽

2006年10月07日 | 映画

太陽
2006年10月1日(日)
第七藝術劇場
昼12時上映の回 整理番号59

雨。

映画『太陽』を第七藝術劇場で観た。

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映画は、終戦決議となる御前会議からマッカーサー元帥との単独会見までの時期における、昭和天皇の底知れぬ孤独と苦悩を描く。長い歳月をかけ、史料と想像力によって、親密に丹念に再構築された歴史。ひとつひとつのシーンに熟考のあとがうかがえる。そして世界が絶賛した、その卓越した映像美は見事という他ない。

―「彼は、あらゆる屈辱を引き受け、苦々しい治療薬をすべて飲み込むことを選んだのだ。」(アレクサンドル・ソクーロフ)
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この日は映画の日だったこともあり満員でした。皇族の話題には日本の、特にメディアが敏感に反応するので、『太陽』は日本での公開が危ぶまれていた。

桃井かおりの存在感がいいと聞いていたが、それは彼女が「桃井かおり」にしか見えなかったからなのではないか。特殊メイクを施しリアルに昭和天皇を演じたイッセー尾形のほうが素晴らしいと思った。

しかし終戦といえば夏なのに暑さを感じさない映像に違和感があった。ロシア人は日本の夏を知らないのだろうか。あるいは僕がこれまで観てきた戦争作品が虚構だったのだろうか。そんなわけはない。現実的になればなるほど真実味が薄れファンタジーと化すようだった。第一印象はそんなところ。
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紙屋悦子の青春

2006年09月25日 | 映画

紙屋悦子の青春
9月10日(日) 14時30分上映
整理番号15番

曇りのち雨

テアトル梅田で『紙屋悦子の青春』を観た。

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黒木和雄監督が今年4月12日に急逝しました。映画を愛し、戦争を憎み、平和を希求した75年の生涯でした。戦争レクイエム三部作(『TOMORROW/明日』、『美しい夏キリシマ』、『父と暮らせば』)にひき続く、岸田國士戯曲賞などを受賞した劇作家、松田正隆による傑作戯曲を完全映画化したこの「紙屋悦子の青春」が最後の作品となりました。

敗戦の色濃い昭和二十年、春。両親を失い、兄とその妻と鹿児島の田舎町で慎ましく暮らす娘、紙屋悦子。彼女が胸に抱く願いは家族の平穏と、密かに想いを寄せる兄の後輩、明石少尉の無事だけである。ところがある日、兄は別の男性との見合いを悦子に勧めてきた。それも相手は明石の親友・永与少尉で、明石自身も縁談成立を望んでいるらしい。傷心を押し隠し、見合いに臨む悦子。率直な愛情を示す永与にいつしか悦子も気持ちを開く。だが、悦子は明石が海軍特攻隊に志願した事実を知ってしまう。死を目前にし、明石は最愛の人を親友に託そうとしたのだ・・・
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9月のはじめ、なんとなく見ていたテレビの映画紹介で上映を知った映画。インターネットでも原田知世十年振りの主演作として話題になっていた。

観終わった第一印象は「静かな映画であった」というもの。戦争映画だというのに爆撃シーンは一切無く、焼け野原となった街も出てこない。登場人物の会話によって成立していたが、誰も声高に戦争の愚かさ、悲惨さを語りはしなかった。元が戯曲だったことは後で知った。長回しのシーンが多かったのはそのせいだろう。

しかしこの映画は反戦映画であることには間違いがない。人が大事な人を思いやる心、その心の内がひしと伝わってくる。小林薫の演技が素晴らしかったし、原田知世の号泣シーンには涙がこぼれた。波の音が象徴するのは「希望」だと思った。

それにしてもこの作品の情緒は日本人にしか理解できないものなのかもしれない。桜はまだしも、「おはぎ」の甘さ、おいしさは実際食べてみないと、わからないんじゃないかと思う。そんな古き良き日本の姿に僕は感動した。
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マッチポイント

2006年09月18日 | 映画

マッチポイント
梅田ガーデンシネマ
2006年9月3日 PM12時30分上映
整理番号106番

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★2006年ゴールデングローブ賞:主要4部門ノミネート(作品賞・監督賞・脚本賞・助演女優賞)
★第58回カンヌ国際映画祭:特別招待作品

愛に負けるか。欲に勝つか。
それでも人生は運が決める。

プロ・テニスプレイヤーを引退後、新しい人生を見出せないまま怠惰な暮らしを続けていたクリスは、トムとクロエという見るからに裕福な兄妹に出会う。そしてクロエと恋人関係になった彼は、夢にまで見た上流階級へ成り上がるチャンスを得る。 しかしトムの婚約者で官能的な女性・ノラを紹介された事から運命の歯車が狂い始める。女か、富か。青年は欲望と野心の間で苦悩し、破滅する…。ついにニューヨークを離れてロンドンに拠点を移したウディ・アレンの新たなる処女作。監督35作目にして切り拓いたその新境地に世界が驚愕し、絶賛をおくったスリリングなドラマ。

監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ジョナサン・リス=マイヤーズ、スカーレット・ヨハンソン、エミリー・モーティマー、 マシュー・グッド、 ブライアン・コックス、 ペネロープ・ウィルトン
配給:アスミック・エース
2006年/イギリス+アメリカ+ルクセンブルグ/124分
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どんなに才能に恵まれていても、どんなに努力しても最終的に「運」が人生を左右するのだと、この映画の中では描かれている。「運」のある男はテニス・プレーヤーに見切りをつけ成功する。一方、「運」のない女は女優への夢を捨てきれず玉の輿に乗れなかった。ふたりのあいだに不倫関係が結ばれる。「運」のある男は、妻には「愛情」を感じるが、女には「愛欲(LUST)」を感じるのだと、テニス・プレーヤー時代の友人に話す。女のお腹に新しい生命が宿る。男と妻のあいだには子どもが出来ない。女は男に妻と別れてくれと懇願するが、男には成功を捨てる勇気がない。女が邪魔になる。「運」のある男と付き合っても女には「運」が巡ってこなかった...

この映画にウディ・アレンは出演していない。ベタなタッチのコメディーではなく、どちらかというとシリアスなタッチの作品で、ウィットに富んだ笑いはあるものの、それはシニカルな印象を残していた。全体を通していうならばこれはサスペンス映画なのかもしれない。その展開からアラン・ドロンが主演した『太陽がいっぱい』のような感じがした。ハラハラドキドキと緊迫したシーンが続き、一気にクライマックスへとドラマはなだれ込んでゆく。結末の展開は全くの予想外。第一印象ではそのラストがあまり良い印象ではなかった。男の強運は彼の人生に幸福をもたらしたのか。そう考えてみると、映画のラストにウディ・アレンらしいアイロニーを感じた。
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初恋

2006年07月03日 | 映画

元ちとせが主題歌を担当した映画『初恋』を観に行った。原作は中原みすずの「初恋」、主演は宮崎あおい。

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みすずにはどこにも居場所がなかった。新宿ゴールデン街にあるジャズ喫茶"B"の前で佇む彼女に声をかけたのはユカだった。"B"には亮がリーダーの不良グループがたむろしていた。

「何かあったらここにおいで。でもなるべくなら来ないほうがいい」

子どもの頃に別れた兄の亮はそう言って"B"のマッチ箱を渡した。母親はみすずを捨てた。兄の亮だけ連れて家を出て行ったのだった。

亮もみすずも何も喋らなかった。
亮の相棒の岸はランボーの詩集を読んでいた。
「子どもが何のようだ」
暗い目をした岸はそう言った。

「大人になんかなりたくない」

みすずはまっすぐにそう言った。
「合格だ」
岸はみすずの目を見てそう言った。

1968年。全共闘や新左翼諸派の学生運動が日本中に広がった。安保闘争だ。世の中を変えようとデモに参加するタケシやテツ。しかしヤスが機動隊にやられて下半身不随になってから、仲間はバラバラになってゆく。

そんな時、岸がみすずにある計画を持ちかけた。現金輸送車から三億円を強奪する計画だ。「お前が必要だ」という岸にみすずは心を決める。

何度もシュミレーションを繰り返して迎えたその日。度重なるアクシデントにみすずは「間に合わない...何も変わらないのかよ...」と諦めの気持ちになってゆくのだった...
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映画の舞台は1960年代後半の新宿。ゴールデン街にあるジャズ喫茶"B"だ。実は村上春樹の『ノルウェイの森』も同じ年代の物語なのだが、この小説の中にも新宿のジャズ喫茶が登場する。紀伊国屋書店の裏手の地下に実在したジャズ喫茶でDUGという。

DUGの経営者中平穂積についての本がある。『新宿DIG DUG物語?中平穂積読本』だ。「東京カフェマニア」というサイトでこの『新宿DIG DUG物語?中平穂積読本』を特集していて、1975年当時、国分寺でピーターキャットという名のジャズ喫茶を経営していた村上春樹がジャズ音楽誌に寄稿した「JAZZ喫茶のマスターになるための18のQ&A」の一部が掲載されている。

新宿のジャズ喫茶"B"がDUGのことなのかどうかはわからない。
もっと言うと、それは大して重要なことではないのかもしれない(笑)。

体制に抗う若者たち。亮がリーダーの不良グループに小説家志望のタケシがいる。このタケシは実在のモデルがいて、それは中上健次なのだという。そういえばタケシは関西弁を喋っていた。

70年安保闘争の時に学生だったらどうしていたのか。あの時代に多感な時期を迎えていたなら... 考えても仕方ないことだが、それは僕の心を今もビートし続けている。まぁ、きっと僕は傍観者だったのだろうと思う。

「大人になんかなりたくない」
その言葉は僕を打った。十代の頃、僕もそう思っていた。反抗の旗を掲げるのはいつも十代だ。学校も家もツマラナイ。大人になんかなりたくない。その孤独な叫びはかつての僕の声のようだった。

三億円事件というのは実際に起きた現金強奪事件なのだが、'60年代後半の民間伝承による都市伝説だったのではないかと時々思ってしまう。犯人は誰一人として傷つけずに現金を奪った。三億円には保険がかけられていたために誰も損はしなかった。そしてモンタージュの男はその後、事件とは全く無関係であったとマスコミによって暴露された。その男は銃刀法違反で捕まったことがあり、事件の何年か前に死んでいたのだ。奪われた三億円は現在の貨幣価値にするとおよそ10倍の三十億になるという。犯人は盗んだ紙幣を1枚も使用していない。1975年に刑事事件の時効が成立、1988年には民事事件の時効を迎えたが、犯人は未だ不明のままだ。

「何も変わらないのかよ...」
その諦観にも見覚えがあった。やっぱり何も変わらないのだろうか。ほんの少し力があったら、勇気があったら。ああ、でも何も変わらないのかもしれない。そうやって逡巡して、そして何かを失うのだ。

塙幸成(はなわゆきなり)監督は、大人の顔をスクリーンに出さなかった。ただ一人、顔のある大人は三億円強奪の共犯者だった。しかし、彼が共犯だとみすずが気が付いたとき、彼の姿を我々は確認できなかった。それはとても洗練された手法だと思った。

映像というとみすず(宮崎あおい)がバイクで街を駆るシーンが素晴らしかった。この映画のヒロインは暗い女の子で、かわいい顔をしていても性格が悪いといった像を、監督は思い描いていたらしい。宮崎あおいはかわいらしく透明感に溢れていたので、最初「みすず」の役には向いてないと思ったそうだ。しかし撮影が進むにつれて、とてもポテンシャルの高い演技をする彼女を見て、当初の「みすず」のイメージが監督の中で変わっていったのだという。バイクで街を駆るシーンは宮崎あおいだからこそ表現できたのかもしれない。

"それは夢のようにまるで嘘のように
残酷な朝はすべてを奪い去った"

この映画の主題歌は元ちとせの「青のレクイエム」だった。確かに映画の内容と合っている。作詞/作曲は岡本定義。COILのメンバーとして活動している。そしてこの映画の音楽はCOILが担当している。実は映画音楽があまり印象に残ってない。この「青のレクイエム」が映画でどんなふうに使われているのかが『初恋』を観る動機のひとつだったのだけど。

パンフレットには1968年12月10日の朝日新聞の夕刊のコピーが封入されている(画像)。
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サヨナラCOLOR

2006年03月01日 | 映画

映画の本編では残念ながらカットされましたが、入院患者の役で出演した田島貴男と斉藤和義と三宅伸治が囲碁をやってるシーンがあったそうです。

田島貴男が斉藤和義に追い詰められ、突然「ワァー」って言って囲碁をグチャグチャにするのだとか。そうすると斉藤和義が「あぁ~」って言いながら一つ一つ碁石を集め、奥のベランダでは浜崎貴司が海を見て落ち込んでいるという(笑)。

でも、そのシーンを入れると映画が2時間越えてしまうのでカットしたんだそうです。DVD『サヨナラCOLOR』の特典映像かディレクターズ・カット版で復活させたいと竹中直人監督はプロモーションでラジオに出演していた時に話していました。「未収録シーン集」に是非入れてほしいですね。

ところで僕は25日の土曜日に神戸で行われた佐野元春のライヴを聴きに行きました。ライヴの終演後は友人に誘われて食事に行きました。フランス地方家庭料理の「BRASSERIE TOOTH TOOTH」です。

店内に坂本龍一のポートレートが飾られていました。どういう関係なんだろうと思いました。僕らが案内されたテーブルの前にはもう1枚のポートレートがありました。こちらは女性でした。友人が僕にこう尋ねました。

「あの女の人は誰なの?」

どこかで見たことがありました。クラシックの演奏家だろうか? アーティストの肖像だと僕は勝手に思い込んでいました。気になったので食事が終ってからシェフに聞いてみました。

「モデルの雅子ですね。オーナーの知り合いがフォトグラファーでプレゼントされたものなんです」

雅子。そうだ。僕は半年くらい前に彼女を知ったのでした。映画『サヨナラCOLOR』に出演していたんです。エキセントリックな役柄でした。写真の中の彼女は違う表情をしていたので気がつきませんでした。
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僕のニューヨークライフ

2006年02月20日 | 映画

[ストーリー](日活のサイトより引用しました)
ジェリーはニューヨークに住む新進のコメディ作家。仕事でそこそこの成功をおさめた彼の目下の悩みは、気まぐれな女優の恋人アマンダとの仲がしっくりいかないことだ。半年におよぶセックス・レス生活と、突然アパートに転がりこんできたアマンダの母ポーラとの同居。二重の苦難に耐え忍ぶジュエリーの前には、アマンダの浮気疑惑も持ち上がり、苦しさは増すばかりだ。そんなとき、ジェリーが先輩の作家ドーベルから持ちかけられたのは、コンビを組んでカリフォルニアへ移住する話。それは、アマンダともニューヨークの暮らしとも別れることを意味していた。果たして、自分は愛するものに背を向け、旅立つ勇気が持てるのか!?ジェリーの心は複雑に揺れ動く…
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僕のニューヨークライフ』は21世紀版の『アニー・ホール』だといわれています。類似点は多いのですが、ウディ・アレンが現在ロンドンで映画活動を行っていることを考えますと、主人公ジェリーが最後に取る行動がなんとも暗示的です。

またウディ・アレン演じるドーベルは、ユダヤ人に対する差別や偏見に敏感で、民族主義の台頭でホロコーストが再来するんじゃないかと不安を抱いています。彼は身の安全は自らが守るべきだと説き、銃を手に入れ武装してゆきます。街路で不当な扱いを受け、怒り狂います。それはセプテンバー11以降のリベラルな映画関係者を揶揄しているようにも受け取れます。

この作品は2003年公開ということで、セプテンバー11以降に最初に撮られたウディ・アレンの監督作品で、この後ウディは『メリンダとメリンダ』を撮り、ニューヨークから離れロンドンへと移住します。その理由は「アメリカの創造性に欠けた干渉が多いスタジオ主導型の映画制作の状況への失望と、彼の映画作家性をサポートするスタジオ・プロデューサーの減少」が理由だということです。

ところでこの映画にはジャズ・クラブのヴィレッジ・ヴァンガードが出てきます。こじんまりとしてていい雰囲気ですね。赤いカーテンとカーペットが印象的でした。ちなみにヴィレッジ・ヴァンガードに出演していたのはダイアナ・クラールでした。
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TAKESHIS'

2005年11月21日 | 映画

北野武監督作品12作目。梅田ピカデリー3で観た。オフィシャル・サイトはこちら

タレントのビートたけしはテレビ局の楽屋で売れない役者の北野武と出会う。二人は全くの他人であるが容姿は瓜二つだ。北野はフリーターをしながら映画のオーディションを受ける毎日。たけしに憧れ髪を金髪に染めている。たけしは北野にサインを頼まれ快く応じるが、そのサインにはたけし一流の毒が書き込まれていた...

映画はビートたけしが見る夢を映像化している。売れない役者北野武→仕事はコンビニの店員→北野に対してしつこくいじわるをする女→「頑固なラーメン屋のオヤジ」役のオーディション→ヤクザの抗争で瀕死の怪我を負った男をかばう北野→拳銃と機関銃を手に入れ暴力の渦に巻き込まれてしまう北野→たけしの映画『灼熱』の主人公と同化してゆく北野...

映画『灼熱』は劇中劇みたいなものだと思っていたが、実際は故深作欣二監督、ビートたけし主演で企画されていた映画の仮タイトルだそうだ。深作監督が降板したため、たけしが監督することになり完成したのが監督作第一作の『その男、凶暴につき』。

北野が(銀行を襲い)カネを手に入れた後、真っ赤なポルシェの中古車を買うのだが、その行為も実際にたけしの実体験が元になっている。このように映画のあらゆる場面にはたけしの過去が象徴として盛り込まれている。

映画のラストで描かれるのは象徴としての「たけしの死」。結局はこの映画、実験的なアプローチであったものの、ファンや取り巻きの期待を背負いながら、それを裏切り、自らが区切りとしてピリオドを打った「たけし映画」の完結篇だった。決して難解な作品ではない。僕は楽しめた。
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サヨナラCOLOR

2005年09月12日 | 映画

竹中直人監督作品5作目。第七藝術劇場で観た。

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海を臨む病院に勤める医師・正平(竹中直人)の元に、子宮がんを患った未知子(原田知世)が入院してきた。偶然にも未知子は、正平が高校時代思い焦がれた初恋の人、その当人であった。

気軽に独り身を謳歌しているかに見える正平には、長年付き合っている居酒屋の女将・聖子(中島唱子)や、最近知り合い、いきなり援交を申し込んできた女子高生・まなみ(水田芙美子)がいるが、心の中は二十数年もの間一途に思い続けてきた未知子でいっぱいだ。
「思い出してくれましたか ? 僕のこと」
そう問いかける正平だが、肝心の未知子はすっかり正平を忘れている様子。

一方の未知子にも長年の恋人・雅夫(段田安則)がいた。雅夫は今をときめく売れっ子スタイリストだ。しかし浮気性の雅夫には、未知子の友人で、彼女が作るガラス細工のランプを売るアンティーク・ショップの経営者・あき子(雅子)という愛人がいた。
 
献身的に治療を施しながら、なにかと自分を思い出してもらおうと試みる正平。始めのうちはしつこくされて迷惑気味の未知子だったが、いつしかそんな彼に心を開いていく。

化学療法が効き未知子は手術できる状態にまで回復した。自分で執刀したいと願う正平だったが、正平自身の体調を心配する後輩の医師・前田(内村光良)の薦めで、担当は子宮がんの権威・巌岳先生(中島みゆき)に決まった。
そして、いよいよ手術の日がやってきた・・・。
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鎌倉が舞台となっていて、その点を含め小津安二郎監督作品の影響を感じさせた。ストーリー自体は男の妄想だと思った。それが竹中直人の真骨頂なんだろうが、あまりに自惚れていて困っちゃった。今回は原田知世の涙ぐらいしか見るべきところはなかったのかも。退屈ではなかったけれどシナリオにもう少し客観的な視点があれば竹中直人ファン以外にもアピールしただろう。
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[訃報]イブライム・フェレール

2005年08月08日 | 映画

1997年にライ・クーダー&キューバン・ミュージシャンズ名義で発表され、その年のグラミー賞を獲得した『Buana Vista Social Club』にヴォーカリストで参加していたイブライム・フェレールが亡くなった。享年78歳だったという。

ヴィム・ヴェンダース監督作品の映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(2000年)では、大切にしている杖についてのエピソードがフィーチャーされていた。母の形見で自分に幸運をもたらしてくれると話していた。その杖はイブライム・フェレールにとってかけがえのないものの象徴で信仰の対象でもあった。今もそのシーンが胸に焼き付いている。

ご冥福をお祈りします。
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メリンダとメリンダ

2005年07月24日 | 映画

17日の日曜日、ウディ・アレン監督作品『メリンダとメリンダ』を梅田スカイビルの梅田ガーデン・シネマで観ました。

雨のマンハッタン。フレンチ・ビストロで4人のグループが食事をしている。喜劇作家サイは「人生の本質は喜劇だ」と言い張り、悲劇作家のマックスは「人生というのは悲劇なんだ」と譲らない。女友達ルイーズは「こんな議論は不毛だ」と口を挟む。そこでいちばん若いアルは知人に起きた実話を話し、「この話は喜劇か? 悲劇か?」とふたりに聞いた。
売れない俳優の夫とその妻がある夜ホームパーティーを開催した。そこに突然、妻の学生時代の友人メリンダが訪ねてきた。医者と結婚しセントルイスで暮らしていたメリンダだったが、夫の不倫で離婚したのだという。情緒不安定なメリンダに新しい出会いの場を設け、リッチな歯医者を紹介するのだが、メリンダは偶然出会ったピアニストに恋をする...
悲劇作家のマックスはその話から悲劇を創作するが、喜劇作家サイは喜劇にして話し始めるのだった...

続きはこちら
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サヨナラCOLOR

2005年07月13日 | 映画

竹中直人といえば俳優/コメディアンという顔のほかに映画監督として活動しています。
これまでに『無能の人』、『119』、『東京日和』、『連弾』と4本が発表されています。
そして最新作『サヨナラCOLOR -サヨナラから はじまることが たくさんあるんだよ-』が公開されることになりました。SITEDOIでこの夏一押しの映画ですので紹介します。

2000年の秋にタワレコ"NO MUSIC, NO LIFE"のポスター撮影で出会ったSUPER BUTTER DOGと竹中直人。竹中直人をリスペクトする永積タカシと竹中直人の交流がここからはじまることになりました。竹中直人はSUPER BUTTER DOGのライヴに飛び入りして永積タカシと「サヨナラCOLOR」をデュエットするということもあったそうです。竹中直人はハナレグミのライヴにも度々足を運ぶうちに、「サヨナラCOLOR」を題材にした映画の企画を温めるようになりました...
このあたりの事情につきましては、サヨナラCOLORcomという「サヨナラCOLOR」という曲にまつわる関連サイトで詳しく掲載されています。

さて、SUPER BUTTER DOGの「サヨナラCOLOR」ですが、この度DVD付きスペシャル・エディションとCDのみの通常盤で装いも新たに同時リリースされます。今日発売です。

◎《スペシャル・エディション (CD+DVD) 》
東芝EMI / TOCT-4892 / 1200円(税込)
CD=「サヨナラCOLOR」「明日へゆけ」収録
DVD=「サヨナラCOLOR」ビデオクリップ(夏の思い出ver.)
  「明日へゆけ」(2バージョン)収録

◎《通常盤 (CD) 》
東芝EMI / TOCT-4893 / 800円(税込)
CD=「サヨナラCOLOR」「明日へゆけ」収録

また映画のサントラ盤『サヨナラCOLOR 映画のためのうたと音楽』もハナレグミ×クラムボン×ナタリー・ワイズ名義でリリースされます。ハナレグミ feat. 忌野清志郎で再レコーディングされた「サヨナラCOLOR」はじめとして23曲が収録される予定。2005年8月6日リリース。¥2,500(税込)

そしてこのハナレグミ×クラムボン×ナタリー・ワイズ3組によるスペシャルなセッションライブ「サヨナラCOLOR 映画のためのうたと音楽会」が決定しました。ゲストの登場もあるようです。

チケット発売:7月23日(土)
開場/開演:18:00 / 19:00
● 8月8日(月) 東京・SHIBUYA-AX
料金:5,000円(税込) / 1Fスタンディング・整理番号付
info:ディスクガレージ tel. 03-5436-9600 (平日12時~19時)
● 8月10日(水) 大阪・Zepp Osaka
料金:5,000円(税込) / 1Fスタンディング・整理番号付、2F指定
info:ソーゴー大阪 tel.06-6344-3326

映画『サヨナラCOLOR』のサイトもすでにオープンしています。東京、横浜では8月13日(土)から上映されるようです。大阪では9月上旬、十三の第七藝術劇場で公開予定とのこと。楽しみです。FM802では試写会を開催するようなのでさっそく応募しました。
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