先日知り合いになったT子さんの主催する定例の“映画の会”今年最後の鑑賞に、シカゴの“日本人町”アーリントンにPちゃんとでかけた。
Pちゃんは大の映画館嫌い。その理由は、あのアメリカ人定番のポップコーンのくちゃくちゃカリカリという音。お金を払って大好きな映画を見るのにあの不快な音を聞かされるのがたまらなくいやなのだそうだ。
でも、今日の映画は日本人監督の映画で観客は主に日本人。多分ポップコーンの雑音に煩わされる危険性はないこと、今日は特別に監督の舞台挨拶があること、そしてそのあと近くの寿司レストランで行われる監督招待のレセプションパーティーに参加できるということを餌に(特に最後のが効いた)Pちゃんも一緒に行くことになったのだ。近頃引越し疲れでふたりともイライラカリカリしていたので、ちょうどいい息抜きかもしれない。
さて、今日の映画は『The Winds of God ~KAMIKAZE~』。
俳優の今井雅之さんが自ら原作・脚本・演出・主演を手がけた、全編英語による映画だ。もともとは、1988年に舞台演劇「リインカネーション」として全米で公演が始まり、以来2001年までの13年間ロングラン公演され各地で好評を博してきた作品で、今年待望の映画化となった。
タイトルからわかるように、題材はあの神風特攻隊。シリアスな戦争映画を想像しがちだが、内容は少しコミカルでシニカル。売れないアメリカ人のコメディアンコンビマイクとキンタが旅の途中で事故に合い、そのショックで現代から太平洋戦争末期の日本の海軍の特攻隊員にリインカネート(化身)するというフィクションだ。
彼らがそこで出会ったのは、まだ10代半ばで特攻に志願して自らの命を散らしていく少年兵たちだった。隊員たちは死の直前まで何を思い、本当は誰のために死んでいったのか・・。心はアメリカ人、外見は日本人特攻隊員というギャップに戸惑いながらも、次第にふたりの中に同じ人間としての魂が目覚めていく・・・。
出演はそのほかに、渡辺裕之、千葉真一(JJ・ソニー・千葉)、なぜかK-1ファイターのニコラス・ペタス(マイク役)など。
この作品が他の日本人監督作品とちがうのは、今井監督がオリジナル脚本をアメリカ人の観客に向けて書き、登場人物(ほとんどが日本人)のセリフも全編英語であることだ。N.Y.ロケでは、世界で初めて「グランドゼロ」でのロケを敢行、またL.A.ロケでは世界で唯一現存する「零戦」を飛ばすなど、話題も多い。
私は数年前、NHKの『英語でしゃべらナイト』に今井さんがゲスト出演していたときにこの作品を偶然知ったのだが、まさか今日シカゴでその映画化を見ることになろうとはそのときは知る由もなかった。
映画上映後は今井監督の舞台挨拶があり、彼がこの作品に寄せる熱い思いを語ってくれた。
「第二次大戦の敗戦や神風特攻隊のことなど、僕らの世代は史実としてきちんと学んでこなかった。自分も神風特攻隊のことをはじめは“クレイジーなやつら”だと思い込んでいた。しかし、100人を超える特攻隊の生き残りの人たちに取材をし彼らの生々しい体験談を事実として学んでいくうちに自分がいかに無知であったかを知り、特攻隊員が誰を思いながらどんな気持ちで散っていったのかをきちんと伝えたかった」
初演当時監督は27歳。それから約20年の歳月をかけて、NYを初めアメリカ各地で地道に公演を続け好評のうちに2000年にいったん公演の幕を下ろす。しかし2001年の“9・11”が彼をつき動かすことになる。
「9・11のあと、僕は信じられないものを見た。アメリカのメジャー新聞の見出しに“カミカゼ・アタック”の文字を見たとき、自分の中の何かに火がついた。カミカゼは決して市民を犠牲にはしていない。テロリストとカミカゼは断じて同じじゃない!」
そして最後はこう締めくくる。
「昨日12月8日は、日本が真珠湾攻撃をした日です。この日をきっかけに、大きな戦争が始まりました。・・・私たちはこの映画のような、悲惨な戦争を二度と繰り返してはいけないと思います。世界が平和であるように祈り、戦後62年後にこの映画をアメリカ、シカゴで上映できることに感謝します。押忍!!」
各地でこの舞台挨拶を今まで数え切れないほどやってきたのだろう、というくらい堂々とした英語スピーチだった。
このあと、映画館裏のスシレストランで監督主催のレセプションパーティー。といっても、映画を見ていた日本人がほとんど全員店に流れ込んだため立錐の余地もないほどの混雑で、食べ物はあっという間になくなりしかたなく枝豆と焼酎(のような味のする液体)で飢えをしのぐ。
そこでたまたま、同席した日本人ジャーナリストの馬場邦子さんと、コミュニティーカレッジで英語教師をしているアンドリュー・ウィルソンさんと知り合いになり、映画の感想などを4人でおしゃべり。邦子さんは地元のUS新聞.COMに主に子育て・教育関連の記事を書いているライターでもあり、この日はこの映画のシカゴでの上映記事の取材ということだったので、今井監督に一緒に囲み取材(?)させていただいた。
映画自体にはそれほど強いインパクトを受けなかったが、久々にお出かけらしいことができたことと、新しいお友達ができたことで今日のところはまずまず満足。

多分、舞台のほうが面白いんだろうなぁ。
気合だけは伝わったが、全編英語で怒鳴っているのでちょっとうるさい、というのが率直な感想。

レセプションで今井さんと。
多分どこでも同じ話ばかりさせられて本当はウンザリしているんだろうけれど、今井さんは丁寧に謙虚に受け答えしてくれた。

押忍のポーズで。なぜかふたりだけがやってる。体育会系コンビ。(右は邦子さん)
Pちゃんは大の映画館嫌い。その理由は、あのアメリカ人定番のポップコーンのくちゃくちゃカリカリという音。お金を払って大好きな映画を見るのにあの不快な音を聞かされるのがたまらなくいやなのだそうだ。
でも、今日の映画は日本人監督の映画で観客は主に日本人。多分ポップコーンの雑音に煩わされる危険性はないこと、今日は特別に監督の舞台挨拶があること、そしてそのあと近くの寿司レストランで行われる監督招待のレセプションパーティーに参加できるということを餌に(特に最後のが効いた)Pちゃんも一緒に行くことになったのだ。近頃引越し疲れでふたりともイライラカリカリしていたので、ちょうどいい息抜きかもしれない。
さて、今日の映画は『The Winds of God ~KAMIKAZE~』。
俳優の今井雅之さんが自ら原作・脚本・演出・主演を手がけた、全編英語による映画だ。もともとは、1988年に舞台演劇「リインカネーション」として全米で公演が始まり、以来2001年までの13年間ロングラン公演され各地で好評を博してきた作品で、今年待望の映画化となった。
タイトルからわかるように、題材はあの神風特攻隊。シリアスな戦争映画を想像しがちだが、内容は少しコミカルでシニカル。売れないアメリカ人のコメディアンコンビマイクとキンタが旅の途中で事故に合い、そのショックで現代から太平洋戦争末期の日本の海軍の特攻隊員にリインカネート(化身)するというフィクションだ。
彼らがそこで出会ったのは、まだ10代半ばで特攻に志願して自らの命を散らしていく少年兵たちだった。隊員たちは死の直前まで何を思い、本当は誰のために死んでいったのか・・。心はアメリカ人、外見は日本人特攻隊員というギャップに戸惑いながらも、次第にふたりの中に同じ人間としての魂が目覚めていく・・・。
出演はそのほかに、渡辺裕之、千葉真一(JJ・ソニー・千葉)、なぜかK-1ファイターのニコラス・ペタス(マイク役)など。
この作品が他の日本人監督作品とちがうのは、今井監督がオリジナル脚本をアメリカ人の観客に向けて書き、登場人物(ほとんどが日本人)のセリフも全編英語であることだ。N.Y.ロケでは、世界で初めて「グランドゼロ」でのロケを敢行、またL.A.ロケでは世界で唯一現存する「零戦」を飛ばすなど、話題も多い。
私は数年前、NHKの『英語でしゃべらナイト』に今井さんがゲスト出演していたときにこの作品を偶然知ったのだが、まさか今日シカゴでその映画化を見ることになろうとはそのときは知る由もなかった。
映画上映後は今井監督の舞台挨拶があり、彼がこの作品に寄せる熱い思いを語ってくれた。
「第二次大戦の敗戦や神風特攻隊のことなど、僕らの世代は史実としてきちんと学んでこなかった。自分も神風特攻隊のことをはじめは“クレイジーなやつら”だと思い込んでいた。しかし、100人を超える特攻隊の生き残りの人たちに取材をし彼らの生々しい体験談を事実として学んでいくうちに自分がいかに無知であったかを知り、特攻隊員が誰を思いながらどんな気持ちで散っていったのかをきちんと伝えたかった」
初演当時監督は27歳。それから約20年の歳月をかけて、NYを初めアメリカ各地で地道に公演を続け好評のうちに2000年にいったん公演の幕を下ろす。しかし2001年の“9・11”が彼をつき動かすことになる。
「9・11のあと、僕は信じられないものを見た。アメリカのメジャー新聞の見出しに“カミカゼ・アタック”の文字を見たとき、自分の中の何かに火がついた。カミカゼは決して市民を犠牲にはしていない。テロリストとカミカゼは断じて同じじゃない!」
そして最後はこう締めくくる。
「昨日12月8日は、日本が真珠湾攻撃をした日です。この日をきっかけに、大きな戦争が始まりました。・・・私たちはこの映画のような、悲惨な戦争を二度と繰り返してはいけないと思います。世界が平和であるように祈り、戦後62年後にこの映画をアメリカ、シカゴで上映できることに感謝します。押忍!!」
各地でこの舞台挨拶を今まで数え切れないほどやってきたのだろう、というくらい堂々とした英語スピーチだった。
このあと、映画館裏のスシレストランで監督主催のレセプションパーティー。といっても、映画を見ていた日本人がほとんど全員店に流れ込んだため立錐の余地もないほどの混雑で、食べ物はあっという間になくなりしかたなく枝豆と焼酎(のような味のする液体)で飢えをしのぐ。
そこでたまたま、同席した日本人ジャーナリストの馬場邦子さんと、コミュニティーカレッジで英語教師をしているアンドリュー・ウィルソンさんと知り合いになり、映画の感想などを4人でおしゃべり。邦子さんは地元のUS新聞.COMに主に子育て・教育関連の記事を書いているライターでもあり、この日はこの映画のシカゴでの上映記事の取材ということだったので、今井監督に一緒に囲み取材(?)させていただいた。
映画自体にはそれほど強いインパクトを受けなかったが、久々にお出かけらしいことができたことと、新しいお友達ができたことで今日のところはまずまず満足。

多分、舞台のほうが面白いんだろうなぁ。
気合だけは伝わったが、全編英語で怒鳴っているのでちょっとうるさい、というのが率直な感想。

レセプションで今井さんと。
多分どこでも同じ話ばかりさせられて本当はウンザリしているんだろうけれど、今井さんは丁寧に謙虚に受け答えしてくれた。

押忍のポーズで。なぜかふたりだけがやってる。体育会系コンビ。(右は邦子さん)
戦場に到達するまでの反撃も生易しくなく(テロは騙し)強靭な精神力の持主(達観精神)でしか達成不可能です。この事からして貧者の武器と言ってはばからない「テロ」は最も卑怯な行為でしかない。何が「カミカゼアタック」か笑わせるな!