吉川弘文館発行のこの本は税込み11,000円する。年金暮らしの老人には購入はいささか堪える。
Amazonではなく、ヤフオクでもなく、日本の古本屋でもなく、どこから購入したのか記憶にないが多分一年ほど前に購入している。
5,000円くらいではなかったかと思うのだが爺様の記憶力は全くいい加減で・・・ひょっとしたらメルカリだったかもしれない。
この本が実に気に入っている。
序章 比較藩研究の提起―熊本藩共同研究からの発信…今村直樹・小関悠一郎
第Ⅰ部 知行制と地域社会
第一章 初期大名領国における知行制と村請制―寛永十三年熊本藩郡方改革をめぐって…稲葉継陽
第二章 近世中後期藩領国の地方行政と荒廃農村対策―熊本藩と尾張藩の比較…今村直樹
特論一 近世知行制改革の比較論―加賀藩と熊本藩…木越隆三
第Ⅱ部 近世中期の経済・思想
第一章 大坂金融商人の成長と領国経済…高槻泰郎
第二章 近世中後期における藩政理念の展開と変容―「富国強兵」概念と「貸殖」「利政」批判に注目して…小関悠一郎
特論二 中後期の藩政と上方銀主…金森正也
特論三 熊本藩徒刑と佐賀藩徒罪の比較検討…安高啓明
第Ⅲ部 幕末期の政治と軍事
第一章 幕末期熊本藩にみる相州警衛の展開と村々取締役頭取永嶋家―海防・海保と預所支配…神谷大介
第二章 肥後藩京都留守居の役割変遷―買物会所の吏僚から国事周旋へ…白石 烈
特論四 比較史の射程―マルク・ブロック『比較史の方法』に学ぶ…高木不二
終章 比較藩研究の深化に向けて―熊本藩にみる〈藩システム〉…小関悠一郎・今村直樹
あとがき…白石 烈
稲葉継陽・今村直樹・安高啓明の三人が熊本大学の先生方の論考は、精読させていただいたし、高槻泰郎氏については御著「大坂堂島米市場」を楽しく拝見している。第Ⅱ部第二章に相通ずるものである。
又、持論三も大阪の銀主についてのご知見が興味深い。
白石烈先生の第Ⅲ部第二章のお話は、三月八日の熊本大学で開かれたシンポジウムで「「肥後藩京都留守居上田久兵衛の国事周旋活動」で同様内容のお話をお聞きして、「一会桑と上田久兵衛」の関係を詳しく知ることが出来、又、今村直樹先生のお話も大変有意義なものであった。共に久兵衛の血縁者として感動の内にお聞きした。
高木不二先生の論考は、一つのテーマについて全国横断的に研究者が集い切磋琢磨による活動についてのお話であり、その効果を我々が享受できることは誠にありがたいことである。
この本は2019年のシンポジウムの成果として出版されたものだが、今般のシンポジウムについても数年後に出版されることを期待したい。
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