津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

秘密の儀式・斜籠・・・?

2008-11-28 11:55:22 | 書籍・読書

お腹召しませ (中公文庫)

 久しぶりに浅田次郎氏の本を読む。「お腹召しませ」という著書名に牽かれてのことである。これがなかなか面白い。この作品で06年第一回中央公論文芸賞、07年同書で第十回司馬遼太郎賞を受賞している。いかにも浅田氏らしい洒脱さがよい。短編六編の時代物をまとめたものだが、そのなかに「安藝守様御難儀」というものがある。これが何のことやらさっぱり分からず、最期に至るのだがそれでもはきとした解説をしてくれない。それが「斜籠(はすかご)」というものである。

 十四代広島藩主茂勲(長勲)はあるとき家臣に「斜籠の稽古」を言いつけられる。これがはたして何なのか分からないまま、文中に引きずり込まれてしまう。(殿様も分かっていない)御側役がぱしりたたく扇の音とともに座敷から駆け出すと、庭に駆け下り足音を忍ばせて全速力で走らされる。裃をつけたまま、両刀ははしりながら抜き取り束にして20間(40メートル弱)を走り、斜めに置かれ打ち上げ(扉)が開かれた御駕籠に飛び込むというのである。殿様は頭を打ち脛を打ちさんざんの態だが、家臣たちは「斜籠」について何も語ろうとしない。或る日突然老中の屋敷内でこれをご披露することになるのだが、殿様はここですっかり事の次第を納得するのである。
ところが読者たる私は一向納得できないのである。「斜籠」とはいったい何か。浅田氏の此のなぞめいた作品に思わず引き込まれてしまった。ご一読されては如何・・・

 広島藩といえば、細川家12代斎護の正室が浅野斎賢女である。
      8代・浅野斎賢(なりかた) 寛政11~文政13 約27年
      9代・浅野鼓粛(なりたか) 天保2~安政5 約27年
     10代・浅野慶熾(よしてる) 安政5~安政5 約1年
     11代・浅野長訓(ながみち) 安政5~明治2 約10年
     12代・浅野長勲(ながこと) 明治2~
 長勲公は名君であったと伝えられる。長生きをされ、昭和12年侯爵家当主のままで92歳で亡くなられた。


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