Seachang's room

見に行った展覧会の私的な感想です。皆様の展覧会行脚にお役立てください☆
コメントお待ちしてます。

第59回美術史学会全国大会3日目

2006-05-29 00:07:07 | Weblog
会場で発言するほどではないが(そしてワタシはとっさのアタマの回転が悪いのでその場で発言するのは避けたい)人様の役に多少は立つかもしれない私的感想をば。

*土佐光信筆小絵「高野雲」試論
東博「粉河寺縁起」と学習院「粉河寺の草子」の原本が土佐光信という趣旨は納得。で、それからどう考えるんでしょう?

*徳川美術館所蔵「豊国祭礼図屏風」の検討
元和3年、松平忠直、方向としてよさそうです。仮説を出すならその仮説をもう少しプッシュしないと何のための仮説よ?という感じ。

*名古屋城本丸御殿上洛殿障壁画について
どこをみて「虎渓三笑」と判断するのか。そのほうがまわりと話があうから、では判断できないでしょー。慧遠法師のはずの人が僧形でない、でもかくかくしかじかの理由で慧遠法師と考える、というかくかくしかじかの部分が必要です。そして「虎渓三笑」はあまり宗教的な主題ではないと思います。そして「琴棋書画図」とあわせて18人だったら白蓮社の18人もさることながら十八学士を考えるべきでは?

*仏伝と本尊縁起の邂逅
「釈迦堂縁起絵巻」の仏伝部分と『釈氏源流』との比較のところで寝こけていたワタシはあほです・・・・・・。偶然の一致で去年重複内容を書いた人がいるとか・・・・・・。何を研究しているかということ、なるべく開示しあいたいものですね。共有できる成果は共有して、独自の研究をすすめるためには。

*松平定信賛・住吉廣行筆「和歌三神図」について
指摘・解釈はいいと思うのですが、ムーブメントとしていうのならもっとサンプルが必要かと。木はよく観察した、それでは森はどうか?(木と森を両方視野にいれた研究にしたいという私の単なる考えです。)

*『大和絵つくし』にみる菱川師宣の「大和絵」学習について
師宣の大和絵ってスタイルというより題材の問題だったということ?

*『絵事鄙言』への道程
これは新資料の紹介でいった甲斐があった!と思いました(でも活字や図版で出してくれないと使えなーい)。出版された『絵事鄙言』は書誌をやる必要があるかも。

*風景画の成立と絵地図
いわんとしていることはわからなくもないのですが、タームの定義がゆるすぎ。鳥瞰図の視点の絵画的な絵地図もあれば、鳥瞰図の視点の地図的要素のある絵画作品もあるのです。朝鮮半島は知りませんが、日本には確実に両方あるし、中国にも両方あると思う。鳥瞰図の風景表現と透視遠近法の風景表現は並行します。「金沙江上下両遊図」(1741年、中国第一歴史档案館)は応挙「淀川両岸図巻」と似てますね。同時代現象やねー

まじめなブログだ。
コメント (4)
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大絵巻展

2006-05-27 22:49:02 | Weblog
京都国立博物館 2006年4月22日~6月4日
やっと行きました。閉館時間が一時間繰り下げになってて助かりました。
展覧会がいいかどうかっていうより展示品がいいんですよね。室町のが結構みどころかと。
(展示という点では同じ絵巻が部屋がわかれていたり、源氏・鳥獣戯画甲巻・信貴山のための列が他の絵巻を見るのにも邪魔だったり問題があるかも)
14時過ぎに博物館へ行ったら入場90分待ち。これは夕方になれば短くなるだろうと思って平常展を攻めてから、再度チャレンジ。50分から60分待ちとありましたが16:00に並び始めて40分くらいで入れました。
遅めにいく場合は、最後のほうはみんな飛ばして見てるのでまず最後の部屋までいって待たずに見られるものからさかのぼっていって、でも最初のほうの部屋は込みがちなので、見られるものから見るって感じでしょうか。源氏・鳥獣戯画甲巻・信貴山は十数年も展覧会行脚して他でもみたことがないわけではないのでパスしました。いっぺんにいろいろ見られるという利点はあるも、落ち着いて見る場合は平常展とかに出るものはそのときのほうがいいでしょう。
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舞台の四季 Ⅰ 春から夏へ

2006-05-20 00:02:23 | Weblog
伝統芸能情報館1階資料展示室 4月22日~7月24日
通りかかったので・・・・・・
浮世絵としてではなく歌舞伎の資料としての浮世絵って感じ。
マット装もしてない台紙もないぺらっと置かれた浮世絵がある意味とても新鮮(すごいぼろっちい浮世絵が飾ってあったりもする)
チラシの裏が展示リストになってて、さすが役者名と演じてる役名がばっちり書いてあります。無料だし通りかかったら入ってみてはいかがでしょう。国立劇場の楽屋口も覗けますし。
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佐藤守弘「痕跡と記憶:遺影写真論」

2006-05-18 00:49:58 | Weblog
(『藝術論究』29編、帝塚山学院大学美学美術史研究室、2002年3月)

新刊の読書メモはmixiのレビューに書き散らしていますが、論文や新刊でないものの感想やメモをこちらに。

いろんな人の論文とかがコンパクトに引用されててクレバーだなあと思った。
ただ、死絵のこと『異界万華鏡』の解説だけをたよりに書いてる?(そうではないのかもしれないけど、論文の註にはソレしか出てこないので読者としてはそう受け取らざるを得ない)。『異界万華鏡』はたしかによくまとまってて、押さえてるなあとは思いますが、たまたまあったミスを深読みしてるのが残念です。

それから派生して死絵は肖像なのか、ということを考え中。ある程度は肖像であることは疑いないし、役者絵のなかでは肖像度が高いと思うけど、肖像からはみ出る要素があると思うのです。
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国宝 関屋澪標図屏風と琳派の美

2006-05-14 23:30:15 | Weblog
4月8日~5月14日
ぐずぐずしていたら最終日になってしまいました。まあ自分はこれ研究しないな、っていう安心感もあって後回しにしていたともいう。
池のまわりに猫がいた。
関屋澪標図はたぶん並べなくていいような気がする。だから左右がどっちでもいいのだ。個人的には光琳「桜鹿・紅葉鶴図屏風」がちょっと泥臭くて部分的に写実的なこととか、抱一の絵手鑑がいっぱいあけてあったことがよかったです。

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プラド美術館展

2006-05-14 23:21:46 | Weblog
3月25日~6月30日 東京都美術館
その後大阪市立美術館へ巡回
4年前のプラド展の感想をまず再録
「専門とは関係なく泰西名画も見るのは好きさ。とおりかかったので入ってみました、プラド美術館展。プラド美術館はスペイン王室コレクションをもとにした美術館です。とても素敵なところですのでマドリードへ行ったら是非行きましょう(しーは行ったことあるのだ。しかも大学の寮の先輩にばったり会ったさ)。 
 サイズ的に大物がないのは、何でもスペイン・日本間に直行便がないからだそうです。」
同じです・・・・・・この4年館に自分のほうがイタリア絵画の知識を増やしたりとかそういう差はあるけど。
気に入ったのはスルバラン「神の愛の寓意」神戸市博のザビエルもそうですがむき出しのハートについしびれてしまいます。山本芳翠の絵みたい
コタンのボデゴン、トロンプルイユ好きだから。
図録は買わず会場で眺めたのですが、この展覧会における開催館の「キュレーター」の役割ってナニ???
チラシ、裏がスペイン料理のお店が載ってるやつもあるのね。

コメント (2)
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燕子花図と藤花図

2006-05-07 22:47:46 | Weblog
根津美術館 4月15日~5月7日
明日から根津はしばし休館。表参道のランチ(クリスタリーヌ!最高!)の後いってみました。吉野龍田図は美術史的にはやりにくいものですが絵としては面白いですね。かきつばたはフォトジェニックで切り取っても決まるというところも人気のもとかなあと。藤花図は実物はおっ!と思いますが図版だといまいち。シアトルの烏見損ねましたが、その代わりに其一「夏秋山水図」なのね。これはグラフィックなところと写実的なところが混在しているのが面白いですね。いつもながら。おお根津には鶴沢探鯨もあるんですか・・・・・・。
新装開館を楽しみに。
コメント (3)
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石橋財団50周年記念 雪舟からポロックまで

2006-05-07 01:30:31 | Weblog
ブリヂストン美術館 4月8日~6月4日
久々にブリヂストンの展示を見ました(日本美術、特に古美術優先の展覧会行脚をしているので)。大原美術館と似てますねえいまさらながら。サイズが全般的にブリ美サイズ(小ぶり)ですが。日本における印象派・フランス近代マンセーをリードした美術館活動としていつか功罪ともに批評の対象になるでしょう。地中海古代をのぞけば川村とかも同じ傾向なんだけど(いってないけどポーラも?)。てゆうか集客のためにコレクションがなくてもその傾向に全国的に迎合しているわけですが。
ワタシは石橋美術館所蔵の日本・東洋古美術が見たくていったのです。石橋美術館の日本古美術は見るべきものがあるとはいえ東京の展覧会に出ることはまれで(わざわざ九州までトラックを出して借りるほどのものは石橋でも重要だからそうカンタンには貸してくれないのだろう)、またわざわざ見に行くほどのこともなかなかなく見ないままでした。
展示が普段古美術展示しない館なんだなあと改めて感じさせられました。外国の美術館の東洋美術の展示みたい。雪舟は極めて明代絵画的。応挙は応挙と縁もゆかりもあるけど何パーセント応挙なんだろうか・・・・・・。こういうの確かMIHOにもなかったっけ。
ということで日本・東洋古美術が行く動機ではあったのですが、近代洋画の名品を堪能して帰ってきたのでした。

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神々と出逢う―神奈川の神道美術―

2006-05-07 01:13:21 | Weblog
神奈川県立歴史博物館 2月18日~5月7日
いい展覧会です。神仏習合もあって仏教美術と神道美術は分けがたいところがあるし、でも神社のモノってあんまり見る機会がない。図録が売り切れていました。
ワタシ的には江島神社の酒井抱一のへちゃむくれ(パタリロみたいないいかた)の亀の絵馬がヒットでした。普通は神像などが見どころかと。
ただいつも思うのがここの特別展会場のハード面の問題。自然系を別の館にしたときに大改修をしているのですが、そのときに特別展と常設展の階配置も含めて検討する余地はなかったのでしょうか。基本的にはハードの制約を受けて独自展は計画されるべきとは思うのですが、こちらは狭すぎですよ・・・・・・。
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禅林画賛

2006-05-06 01:25:49 | Weblog
類書がないこともあり、漢詩がニガテなこともあり、かなり愛用しています。
イメージの連鎖などについて考えるときにもよく使っています。
最近(でもないか私が知ったのは最近)こういうものが出たようです。
出るべくして出たかなあという気もいたします。
http://iriz.hanazono.ac.jp/frame/k_room_f3.html
賛は絵と漢文の両方から、
浮世絵の役者絵は歌舞伎と絵の両方から(と唐突に)

新刊についての読書メモ・レビューはミクシィに書き散らしていますが、論文・新刊では手に入らないものはこちらにぽつぽつと。
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