最初に、やっぱり今日も写真が飛びません。私だけないみたいです。(;_;)
ニュジ-ランド最大の津熱発電所の見学視察、案内はグレッグ・ビグナル地質学博士、少し前までは大学の先生だったが、今は民間の地熱発電所に努め、その道のエキスパートとして活躍している方で、かつては日本の大学にも所属していた方です。
まずの感動は、グレッグ氏の科学者としての誠実さでした。それが短時間しか会っていなかったのにもかかわらず、伝わってきてきました。
グレッグ氏の言葉を最初に紹介します。
「真実は必ず答えを出す」
科学者はお金や儲けにお左右されてはならないのはもちろんだ、いつでもだれにでも意見を言う勇気をもたなければならない、と。
間違った方向に行っていないか、自分の分野で検証するのが科学者の役割だと。
あたり前のことですが、これが難しいではありませんか。
そのために力にはむかい辛い目に合うこともあるのは容易に想像できます。
彼は「おかげで頭はつるつるに、ひげは真っ白になった」と冗句を飛ばしました。
事実私は、浅川ダムの裁判訴訟の原告団として、間違っていると明らかなことをうそで塗り固めて平気で証言した科学者を見てきました。
さて、本題です。地熱をどのようにしてエネルギーに変えるかなど具体的なことについては省きます。
ワイラケイ発電所は、世界で3番目にできた。一番はイタリア、二番は日本の別府ですね。そしてワアイラケイ発電所は世界最初の熱水型地熱発電所です。
蒸気だけでなく、熱水と蒸気が同時に上がってくるので、それを熱水と蒸気に分けるための方法発案に苦労したそうです。それは、ものすごい勢いで出ている間欠泉の見学でよくわかりました。
地熱発電は現在ニュージーランドのエネルギー全体の18%をしめていること、2030年には完全に再生可能なエネルギーに転換する方針が、改めて語られました。
発電は日進月歩で進んでおり、古い方式のフラッチャー方式から、バイナリー方式も開発され、環境によって使い分けるようです。
日本ではバイナリーが適切ではないか、との言葉もありました。
グレッグ氏が強調したことは、「科学的調査なしでは着手できない」です。
ですから、プラス面もマイナス面も住民に明らかにし、納得を得ることが何より大事だと。
マイナス面では、ニュージーランドでも温泉を壊してしまった過去があると。今は、環境を壊さないことが最重点で、そのための調査は徹底して行うといいます。
当然のことですが、これがむずかしいことですね。お金がかかりすぎると見切り発車したり、権力の思惑で調査してもねじ曲げることのあるし、おろぬくこともある。
地盤沈下についても「昔作った発電所は地盤沈下した。それは調査が不十分で、沈下しやすい土地だったこともある。新しい発電所は、充分な調査をして作ったので沈下はない」といいます。
私は広大な施設をみて、率直に「こんなに土地を使うんだ」と思いました。しかし、新しい方式では地上は狭くて地下に網の目のようにパイプを張り巡らせることが可能とのことでした。
そしてグレッグ氏も「日本の地熱発電も、国立公園を守るという立場は私もおなじ立場です」と。
バイナリー方式なら、公園を守りながらできる方法もあるのかなと思いました。
いずれペイできるとしても、その調査には、かなりのお金がかかる。再生エネルギーに転換するかどうかのかまえにかかっていますね。
NZでは資金の面では国の援助はないが、国民に納得してもらえっるための方策には支援をしているとのこと。
学校で子どもたちへ説明を行う取り組みもその一つでしょうか。
NZでは1987年に「非核法」が定まっています。NZの領海には核を持った船の領海進入は禁止されています。
そこまでに至る歴史は省くとして、核を受け入れない国民にの意思があったということは事実で、その上に立って100%再生可能エネルギーへの挑戦はすばらしい国民の知恵だと私は思いました。
日本の神戸方式を国の方策として、しかも港ではなく領海進入を禁止しているとはなんと素晴らしいことでしょう。
そのあと、タービン建屋内の見学をしました。
騒音を避けるため、耳栓を渡されました。原発の建屋とは違って、安全です。でも服装など準備をしました。
この見学に、ひとり50ドル(約4000円)払いました。建屋はもちろん、観光では入れないし、この度、申し入れもして許可をいただいたので、もしかして見学料など決まっていないのかもしれないなと思いました。
このお金は、植林に使うそうです。マオリの森を取り戻そうと、森を作る一歩から始めているといいます。
つまり、即座に木を植えるのではなく、下草を育て植生を守りながらやがて木の育つ森へと、非常に気長に着実はな方法ですね。これを聞いて、「ああ、そうだよね!」と私は合点がいきました。
一人50ドル、納得です。
NZは人口500万人の国です。NZで行っていることを即、日本に導入することは勿論できません。何より、科学的調査が必要です。
しかし、再生エネルギーに、しかも100%にしようとの情熱は学ぶべきだし、その姿勢に立てば、NZから得ることはとても多い。
グレッグ氏のお連れ合いが日本人で宮城県の出身でした。偶然のうれしさ!
充実した一日でした。
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