蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

氷海のウラヌス

2015年09月26日 | 本の感想
氷海のウラヌス(赤城毅 祥伝社)

対ソ戦を1941年中に集結させられず、ヒトラーは背後(英米が反撃してくる)が気になっていた。そこで、アメリカを牽制するために日米開戦を実現したかった。
一方、日本海軍の開戦派の将校はドイツに対米開戦を迫るための切り札として日本の秘密兵器:酸素魚雷をヒトラーに提供しようとしていた。その運搬手段として、ドイツの(砕氷艦を改造した)仮装巡洋艦ウラヌスを使い、北極海を突破させようとした。

酸素魚雷(航跡がほとんど残らず緒戦においては零戦と並んで日本軍の勝利に大いに貢献した)は確かに秘密兵器といえるものだが、それでドイツが根本的な大戦略を変更するほどのものかというと、とてもそうとは思えないし、運搬手段として仮装巡洋艦1隻で北極海を突っ切ろうというのも・・・ということで、設定に相当に無理はあるが、この手の小説でそれを言うのは野暮というものだろう。
海戦シーンは迫力あるし、日本軍人とドイツ軍人に友情?めいたものが芽生える流れに不自然さはあまりないので、楽しく読み終えることができた。

今更ながらに思ったのは、1941年12月の開戦ってやっぱりヒトラーにうまいこと乗せられた結果なのかも??ということだった。

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