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蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

死に山

2024年05月05日 | 本の感想
死に山(ドニー・アイガー 河出文庫)

1959年2月、ソ連時代のウラル山脈のオトルテン山をめざしたウラル工科大学の学生パーティ9人が遭難する。熟達のリーダー:ディアトロフに率いられたチームにもかかわらず、テントを放棄してバラバラに遺体が発見されるなどその原因には謎が多かった。ドキュメンタリー映画のプロデューサーの著者が直接現地を訪れてその謎に挑んだ話。

著者の謎解きは推理に過ぎず、客観的な証拠などがあるわけではないが、一応の納得性がある。

どうもその謎解き部分より、ディアトロフたち冷戦下の大学生の暮らしぶりの描写の方が興味深かった。
フルシチョフ時代はそれなりに自由があったようで、青春を謳歌している様子が楽しげだった。
そうはいっても反体制詩人の詩集などは発禁になって入手が困難で、当時の学生たちはその詩を記憶して、飲み会などで暗唱を披露することで共有していた・・・というエピソードにジンときた。

本書は本の雑誌社の文庫ランキング本の1位だったので読んでみた。同社のランキングはあまり世に知られていない本を取り上げるので注目しているのだが、明らかに偏向?があって、本書のようなノンフィクションが多く取り上げられる。最も印象に残っているのは自転車レースを描いた「シークレット・レース」だったが、本書はそこまででもなかったかな・・・という感じ。


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