蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

この本を盗む者は

2022年02月12日 | 本の感想
この本を盗む者は(深緑野分 角川書店)

御倉深冬は、有名な書物蒐集家の御倉嘉市の孫。嘉市は蔵書を収納する御倉館を建て一般公開していたが、蔵書の一部が盗難され、後継者の娘:たまきは御倉館の公開をやめてしまう。
深冬の父:あゆむは、御倉館の管理人を務める。おばのひるねは、御倉館に寝起きするが、名前の通り昼寝ばかりしていて深冬の悩みのタネとなっている。
ある日、ひるねの世話を焼く深冬の前に真白という女の子が現れ、深冬はブックカースの世界へ行かれることになる・・・という話。

ブックカースというのは、本の呪いのことで、御倉館の本には呪いがかけられているので、それを盗むと世界が変貌してしまうという。
ブックカースが導く幻想世界が3つ展開されて、一応最後に謎解きがあるが、虚構性が強い物語が苦手な私には、ちょっとついていけない感じがした。
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ウォーターダンサー

2022年02月12日 | 本の感想
ウォーターダンサー(タナハシ・コーツ 新潮社)

ハイラムはヴァージニアのロックレスの農場の奴隷だった。彼には「導引」というテレポーテーション?のような超能力があったが、その能力をコントロールできるまでには至っていなかった。地下鉄道の援助で一時自由州へ脱出するが、連れ戻されてしまう。しだいに能力に目覚めて恋人や親族を北部へ脱出させようとするが・・・という話。

地下鉄道のリーダーの一人:ハリエット・タブマンをモデルにした登場人物モーゼも「導引」能力を持っていた、という設定になっていて、「導引」とは何なのか?というのがストーリーのドライバーになってはいるのだけど、クリアな謎解きがあるわけではない。

ハイラムは(奴隷としての)所有者であるウォーカーの実の息子で、恋人?のソフィアはウォーカーの弟の愛人である。濃密で複雑な人間関係と、読んでいる方も暑苦しくなるような衰えゆく南部の情景の描写が読みどころだと思うのだが、ちょっとクドさがあって読み進むのに苦労した。
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乱鴉の饗宴

2022年02月12日 | 本の感想
乱鴉の饗宴(ジョージRRマーティン ハヤカワ文庫)

鉄諸島ではベイロンの後釜争いが発生。ジェイミーはサーセイの不義?を疑い、二人の間に距離ができる。サーセイはマージョリーの不義を七神教のハイセプトンに告発させるが、自分も捕らわれてしまう。サミュウエルは壁からジリ親子を連れてオールドタウンへ向かう。ブライエニーはポドリックとともにサンサを求めてダスケンデール付近をさまよう。ドーンでは大公ドーランとオベリン派の対立が深まる。谷間では、ピーターが旗主たちを丸め込んで主導権を握る。

あとがきによると、もともとは「竜との舞踏」が第4部だったらしいのだが、構想が膨らんでジョンとデナーリス以外の中原での動向にしぼって本作を追加したらしい。
もともと、主役はスターク家のつもりだったと思うのだが(TVシリーズはそうなっている)、第2部あたりから、ラニスター家が中心になってきた感じで、主役はサーセイ、ジェミー、ティリオンの3人になりつつあり、本作はその色合いが強い。ジェイミー、ティリオンは魅力的なのだが、サーセイの悪役ぶりは単純すぎるように思われた。

どうも壁や竜の話はファンタジー色が濃くなるせいか、イマイチ面白くないような気がするので、ラニスターサーガっぽい本作は楽しめたが、超ぶ厚い「竜の舞踏」はジョンとデナーリスの話になるのはちょっと残念??

ブライエニーも、最初きっとちょい役だったのではないかと思うが、本作での活躍ぶりは主役級で、「これからどうなる?」というワクワク感は彼女が登場するシーンが最も高かった。
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