蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ウォーターダンサー

2022年02月12日 | 本の感想
ウォーターダンサー(タナハシ・コーツ 新潮社)

ハイラムはヴァージニアのロックレスの農場の奴隷だった。彼には「導引」というテレポーテーション?のような超能力があったが、その能力をコントロールできるまでには至っていなかった。地下鉄道の援助で一時自由州へ脱出するが、連れ戻されてしまう。しだいに能力に目覚めて恋人や親族を北部へ脱出させようとするが・・・という話。

地下鉄道のリーダーの一人:ハリエット・タブマンをモデルにした登場人物モーゼも「導引」能力を持っていた、という設定になっていて、「導引」とは何なのか?というのがストーリーのドライバーになってはいるのだけど、クリアな謎解きがあるわけではない。

ハイラムは(奴隷としての)所有者であるウォーカーの実の息子で、恋人?のソフィアはウォーカーの弟の愛人である。濃密で複雑な人間関係と、読んでいる方も暑苦しくなるような衰えゆく南部の情景の描写が読みどころだと思うのだが、ちょっとクドさがあって読み進むのに苦労した。

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