蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

絵を描く日常

2015年09月19日 | 本の感想
絵を描く日常(玉村豊男 東京書籍)

旅の雑学ノートシリーズの頃から著者のエッセイが好きだったが、最近はあまり新刊をみかけなくなったような気がしていた。
葡萄を栽培してワイナリーを経営しているらしい、とは聞いていたが、画家としても活躍しているとは知らなった。

本書に掲載されている作品の写真を見ると(芸能人とかが余技に描くようなものとは全く違う)プロっぽい雰囲気があった。

子供の頃に描いた絵(日記)も掲載されていて、この絵が(技術的な意味ではなくてモノの捉え方として)バツグンにうまく、「大人になって描いた植物画よりこっちの方がいいのでは」と思えるほどだった。父親が高名な画家だそうで、血は争えないということか。

西高→東大→世界中を旅して美味しいものを食べる→エッセイを書いたらベストセラー→グルメの趣味が高じてワイナリーを経営→画家としてもデビュー・・・・なんて華麗な経歴、とため息がでるし、嫉妬を感じるが、
本書では、病を得て活発な活動ができなくなり、飲酒を制限されて、仕方なく昔好きだった絵を描き始める経緯が詳しく書かれており、「ああ、こんなカッコいい人生を過ごす玉村さんさえ様々な屈託があったのだなな」などと、そのあたりだけは共感できた。
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