蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

プロ野球10大「名プレー」

2015年05月13日 | 本の感想
プロ野球10大「名プレー」(野村克也 青春出版社)

ランキング流行りの昨今だが、本書で取り上げられているプレーも確かにランキングにはいってもおかしくないものばかり。
しかし、類書と異なるのは、その多くに著者が実体験者としてかかわっていることだ。

著者は、稲尾とマー君(あるいはダルビッシュ)とどちらが本当にすごいピッチャーなのか?という、野球ファンなら誰もが抱く疑問に、自らの体験(もしくは間近での目撃)を基礎として答えられるほぼ唯一の評論家といえそうだ。
そして、稲尾や杉浦はダルビッシュや田中といった現代の投手と遜色なかった、と、著者に言われると、素直に頷けるような気がするのだった。

本書を読む直前に、たまたま朝日新聞の土曜版で江夏さんの評伝記事(逆風満帆)を読んだら、本書に書かれてある通りのこと(衣笠選手への投球術を野村さんが見破ったことが二人が接近するきっかけだった、とか、先発から救援に回ったときのエピソードとか)が書かれていて、野村さんの自慢話はさほど盛られているわけではないこともわかった。

今まで、けっこうな数の野村さんの著書を読んできたが、どうも最近文章が整いすぎているような気がする。失礼ながらお年を召してライターに任せる部分が多くなったのだろうか?
そうは言っても、毒舌は健在で、本書では東尾監督が西武の監督時代に「監督はヒマで仕方ない」みたいなことを言ったことをとりあげてクソミソにけなしている。
こんな、「そこまで言うことないだろ」と読んでいる方が心配になるようなエピソードの紹介も野村さんの著作の魅力になっていると思う。
コメント
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