蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

奇蹟の画家

2015年05月02日 | 本の感想
奇蹟の画家(後藤 正治 講談社)

石井一男さんは、神戸で生まれ育ち、定職を持たず、家族は母だけで友人もいない。中年になってから絵を描き始め、書店主で画廊も経営する島田誠さんに見いだされて島田さんのギャラリーで定期的に個展を開くようになる。
画風は野獣派のルオーを思わせるもので、島田を含む多くの人が一目見て魅入られたという。

本の中にもいくつかの作品が収録されている。確かにルオーの作品に似ている。しかし、私には多くの人が感じたという良さは感知できなかった。

しかし、他人とのコミュニケーションが極度に苦手で、古びた長屋に住んでいるが、その内部はきっちり整理整頓されており、たばこ、酒、ギャンブルは一切しない(どころかコーヒーすら飲まない)、友達はいないが着信した(絵の感想等を記した)郵便物は引出しにすべて保管している・・・そんな仙人のような生活は、とても羨ましかった
コメント
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