蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

超「超」整理法

2008年10月28日 | 本の感想
超「超」整理法(野口悠紀雄 講談社)

過去、このブログでも何度か書きましたが、野口さんの「超○○法」シリーズの実用書は、大半の読者にとっては実用的ではなかったのではないかと思います。

野口さんが書くノウハウは、野口さんのような方(研究・著述業で、会社のような組織に属さず、データ収集や蓄積、あるいは日程管理を個人ベースでやらないといけないような人)にのみ有効だったと思います。

例えば、シリーズの最初の「「超」整理法」で提案された、A4袋(押出し)ファイリングのノウハウは、方法論としては素晴らしいと思うのですが、普通の会社なら、仕事に関する情報の整理は組織的に行われており、個人では整理するほどの量の情報を抱え込んでいないのが実情ではないでしょうか。

実用書としての本書の要点は、すべての情報を自分あてのGmailに送ることで整理は不要になる。ラベリングを工夫すればさらによい、というもので、(申し訳ないけれど)わざわざ一冊の本で主張するほどのことではないような気もします。

本書(あるいはシリーズ)を魅力的にしているのは、むしろ、後半部分で展開される、将来に対する野口さんの考え方でしょう(もっとも、私のような野口本の愛読者からすると、他の本ですでに見た内容が多いのですが)。
さらに「眠れる森の美女」などを話題にしたコラムも相変わらず充実しています。(ただし、本書のコラムは、シリーズの他の本に比べるとやや切れ味が落ちているような気がしました。野口教授の(専門分野以外の)豊富なトピックもついにネタ切れなんでしょうか)。
コメント
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