蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

公営競技衰亡の原因

2005年10月28日 | Weblog
昔、山口県の徳山市(現在の周南市)の徳山競艇場の近くに住んでいたことがあり、開催がある休日には毎週欠かさず通っていました。
そのころ(今でもそうかも)徳山競艇は全国で一番売上が少ない場の座を大村競艇等と争っていて、競艇場は盆正月を除くと閑散としてのんびりした雰囲気が漂っていました。
売上は平開催で1日分が(呉にある場外とあわせて)2億円いくかいかないかくらいでした。しかし、今や住之江や平和島あたりのトップクラスの場でも1日の売上が2億円を切ることがあるようです。
競艇全体の売上は最盛期の半分くらいになっているらしく、存続が危ぶまれる場も多いようです(競輪と違って本当に開催がなくなった場はないようですが)。普通の企業なら売上が半分以下になっても昔の規模を維持したまま生き残っているというのはありえない話で、逆にいうと、昔は開催者にとってはまさに金城湯池だったのでしょう。

中央競馬こそなんとか格好をつけているものの、その他の公営競技はすべて似たような状況です。娯楽の多様化とかファンの高齢化とかいろいろ理由はあるのでしょうが、多分、最大の原因は窓口に札束をつっこむような大口ファンが減っていることにあるのではないでしょうか。
そして大口ファン離れの原因の一つとして、株式市場の「効率化」があるのではないかと、私は思います。

「効率化」というのは、情報公開とアクセス方法の飛躍的改善、および手数料の破壊的な低下のことです。昔は証券会社のディーリングルームでしか得られなかった市場・価格情報が今では家庭のPCでタダ同然に獲得できるようになり、注文はインターネットでほぼリアルタイムに市場に到達します。
ここまでは公営競技と同じですが、手数料は公営競技の控除率の1/100程度になっています。

そして、現代の公営競技では相当にむずかしい八百長(不正行為)も、今のところ日本の株式市場では(警察に捕まることを余り気にしない人なら)やり放題です。
インサイダーのような(正統派の?)八百長から、例えば、WEBの掲示板にあることないこと吹きまくる、成立させる気がない大口注文を出してすぐにひっこめる、等々、これらの行為はつかまっても、あまり深刻な罰を受けません。
さらに土日を除く毎日開催。品薄の小型株ならボラティリティも枠番連勝なみにありそうです。

金が余ってしょうがないけど、おおっぴらには使えない金で、時間も余ってしょうがないので、強い刺激が欲しい、そんなかつての公営競技の大口ファンには理想的ともいえる環境が、日本の株式市場にはあるのではないでしょうか。
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