おにゆりの苑

俳句と俳画とエッセー

思 い出 の 曲

2011-11-08 14:59:15 | Weblog

はからずも娘にもらった一枚の映画の券で三越劇場の「ジュリエットからの手紙」と言う映画をみた。初恋の人を孫とそして後で孫の恋人になる女性との三人で探しながら旅をするストーリーの映画である。
 主人公の女性は夫を亡くした七十代の女性であるが、何十軒
もの家を訪ね数多くの遍歴の後に思う人に逢えてハッピーエンドで終わった。
 これは映画の話であるが、実は此の春、東京で薬局を開いている高校時代の同級生から電話があり、学生時代の思い出として死ぬ前に一度Oちゃんに逢いたいのでセッティングして欲しいと頼まれた。二人は初恋の仲であった。
 彼は今では車椅子生活とのことである。二人はその後岐阜羽島の駅で逢ったと言っていた。
 「あんたも来る?」「いえ
いえそんな」くらいの他愛ない話であったが、私にも人生の終盤になると死に土産に逢って置きたい思い出の人はある。
 イタリヤ旅行の折ポンペイ遺跡をみたあとに、地図ではもっと離れているところであるが暫くして走っているバスの中で、ガイドが「あの左の彼方に見えるのは「帰れソレント」の歌で有名なナポリ港です。此のツアーではそこには寄りません。」との説明であった。ところが、ところが、私にはこの言葉と同時に「帰れソレントへ」の歌が鮮明に脳裏に浮かんだ。

     浮き雲流るるさびしき野辺路を
     ただ一人行けば思い果なし
     はるかにしのぶは幼き昔の
     友の面影心に消えず
     帰り来よ我を忘るな
     帰れソレントへ
     帰れよ

と言うこの歌を若い頃には何とロマンチックな歌詞だろうと思っていたが、何故かいつしか私の心の中に染み付いていた。
 
人生も先が見える年齢になると私もその思い出の人に逢って置きたいと言う衝動にかられる。
 しかし長年歌ってきたこの曲のように、心に消えぬ思い出に留めて風の便りに健在であることをお互い心に留めておくだけにしたほうが良いのであろうとついつい口ずさむメロディである。

 俳句  無花果の熟れを確かむたなごころ
                           

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (ゆうちゃん)
2011-11-08 21:43:53
思い出を胸深くしまっておくのもの生き方の一つ。
 想い出を実現させ、昔日の胸の内をすっきりさせるのも一つの生き方。
 こちらの法は、確かにエネルギーは必要だ。
しかし、こんな時に使うエネルギーを惜しんではならない。
 どのような結果が出ようとも、悔いの残らない人生を送りたいものだ。が
 時間は、刻々と過ぎてゆく。
 片恋をしばし忘るる昼寝かな
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俳句 (ユーリー)
2011-11-09 07:51:39
緩急自在ですね。昼寝の句に拍手。
返信する

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