十月、いよいよ秋本番である。
道野辺の花は、朝未だき月見草がより黄色を濃くし、はぎが小花を散らし、芙蓉の花はぽっかりと愛らしく清楚に咲き、木犀が点、点、点と黄金色に香りを放ちはじめた。
日本列島は、東北の地震、津波、放射能の被害からの復興が悲喜こもごもで、遅々として進まない最中に又九月半ば、追い討ちをかけるように、台風が豪雨をもたらせ今度は近畿地方に堤防決壊や家屋の浸水やら、被害の爪あとを残して去った。
政権は野田首相に交代し相も変わらずけんけんがく他党と協調性のない論議を繰り返している。
私は何を以って気分を高揚させ身の回りに楽しみを見つけ出して息をして居ようかと複雑な心持である。
そんな日常の中、今日総合運動場で、リクレーションゲートボール大会があった。体験しに来場する人々を楽しませて、誘導するのである。
グランドゴルフの現役メンバーが何人も参加していて普段パターに馴染んでいるせいか、ステックの遣い方も上手な方が多かった。
何と言っても年齢が若くて若いと活力と乗りが違う。会場も華やいだ。ゲートボールも、もっと若い人を誘わなければ発展が無い。
帰りに車に乗せていってくれたIさん宅に寄り茶菓のもてなしを受け、大きな栗と茗荷を戴いて帰った。
設計事務所をされていた亡き夫君が建てられた山際の家で、裏からは三階建てになっていて、窓からは市街が遠くまで望め下からの栗の木や柿の木のてっぺんが目の前にあった。
夜はテレビを観ながら二時間かけて皮をむいた。明日は栗御飯を炊いて茗荷汁を作ろう。鶏のからあげや天麩羅もしよう。酢鯖はある。 妹がフランスの土産にワインのロゼを呉れたので上手にコルクを抜こう。
それを舐めながら俳句の兼題の「子規忌」と「無花果」を詠まなければ。
○ 仰山の無花果前にひとりきり
などと詠んでも若い講師の先生は一人居と言う淋しい句には点を呉れない。
○ 無花果の熟れを確かむたなごころ
としようかなあ。
秋の夜長をこおろぎがちろちろと鳴いている。
俳句 古戦場かぼそく聞こゆ虫の声
この花の持つイメージぴったりの絵ですね。
それにしても彼岸花は、不思議な花だ。
近づいて見ると、その可憐さは天女のようだ。
遠くからみると燃えるような・炎のような深紅にドキッとし、興奮している自分に気がつく。
日本の北から南下するまでの期間は、一か月足らずという。
その間に、俳句・短歌・絵にと多くの人を楽しませてくれる。
秋は何かもの哀しさのある季節だが、真っ赤なこの花に救われる気がする。
名刹の一隅燃やす曼珠沙華
残念ながら私には、戦時中にこのイモを集めて学校へ供出させられたというあまり楽しくない思い出しかありません。