最初にお断りしておきますが、このタイトルの村上春樹と長崎チャンポンは、何の因果関係もありません。
ただ単にタイトルが思いつかなかっただけです。すみません。
6月○日
村上春樹の新作「1Q84」は、ニュースで伝えられているように、どこの書店へ行っても見つからない。この間も丸善を探してみたら全2巻のうち「2」は本棚にドサッ~と並べられてあるのだが、「1」が1冊もない。
「あれぇ~、第一巻があらへんやんか。どないなってんの…これ?」
と、となりにいた若い女性2人連れの一人が言うと、もう一人が、
「ええやん。どうせ文庫本になるんやろ。その時に買ったらええやん」
と、連れを慰めていた。なるほど。おおらかな人である。
刊行後、1週間で100万部近く売れたというのだから、そりゃあ、売り切れるのも当たり前だろうなぁ。
この小説は、1984年がベースになっているとか。
「1Q84」の「Q」というのが、よくわからないけれど。
オーウェルの小説「1984年」とも関係あるそうだ。よく知らないけど。
この本の宣伝文句のひとつは、
「あなたの空に月はいくつ浮かんでいますか?」である。
ますます、よくわからないけれど。
ついこの間まで、インフルエンザの影響でマスクがすべての店で売り切れてしまい、入手困難だったが、今では余り過ぎるほど出回っている。春樹さんの小説の第1巻も、そのうち、どば~っと店頭に出てくるだろうから、それを待つしか、今のところ手はなさそうだ。
6月○日
昼に民放TVの番組を見ていると、「長崎のおいしいものめぐり」というのをやっていた。長崎名物のベストテンが紹介されていくのだが、第2位がカステラで、第1位が…、誰でもわかりそうだが、長崎チャンポンであった。タレントがその長崎チャンポンを食べ、「うわ~、おいしい!」と感きわまった表情で叫んでいた。たしかに、長崎チャンポン、うまそ~。
しかし、僕はその風景を見て、自分の長崎チャンポンに関する悲しい経験を思い出したのである。涙なくしては語れない話であるから、僕はもう、今書き出そうとしている瞬間から目頭が熱くなってくるのである。
…あれは30歳の時。つまり30年前。
ちあきなおみは「喝采」で、
♪あれは3年前 とめる あなた残し…
と歌ったが、その10倍も前の話だ。
(そんな歌、若い人は知らないだろうけど)
ゴールデンウィークを利用して、九州へ自転車旅行に行ったときのことだ。
大阪からフェリーで門司港まで行き、そこから博多~唐津~長崎~五島列島~長崎~天草~鹿児島と走り、宮崎の日向からフェリーに乗って大阪へ帰った。
その旅行中の、長崎に行ったときのこと。
長崎は雨だった(出たぁ。また古い歌。「今日も」が抜けているけど)。
雨だからその日は宿に連泊することにして、僕は長崎市内をほっつき歩いた。
昼食に繁華街の食堂へ入った。そして長崎チャンポンを注文した。
運ばれてきたチャンポンをずるずると食べていると、僕の隣のテーブルに、初老のこざっぱりした身なりの夫婦と、タクシーの運転手さんらしき男性の3人連れが座った。タクシーで長崎を見て回っている旅行者夫婦なのであろう。
旦那のほうがウェイトレスに自分と妻の注文を伝えた後、運転手さんに
「さあ、遠慮なく何でも注文してくださいよ」と言うと、
「はい。では、私はチャンポンの並みをいただきます」
「ええっ? チャンポンの並み?」と旦那は驚いたように運転手さんを見て、
「そんな、安いものを言わずに、もっといいものを注文してよ」と言う。
「いえ、私はそれで結構ですので」と恐縮する運転手さん。
「ダメだよ、チャンポンの並みみたいなもの。もっといいものがあるでしょ」
と、旦那はまわりに響きわたるような大声で、別のものを勧めるのである。
そのすぐそばで、僕は「チャンポンの並み」を食べていた…。
あぁ、書きながら、また涙が出てきた。
きょう(6月10日)
きょうは午前中に大手前病院で耳鳴りの診察(経過観察)である。
およそ2月に1回、その病院へ行くことになっている。
耳鳴りそのものは、ほとんど変化なく、相変わらずやかましい。
というより、なんだか最近、音が大きくなったような気もする。
さて毎回、次の診察日を予約するのだが、前回は、
「次は6月10日でいかがですか?」と技師さんがおっしゃった。
普通は、こちらから希望日を言うのであるが…。
「は…? 別にいいですけど…」と返事すると、技師さんは、
「その日は、yukariさんも診察日なので、いいんじゃないですか」
ということであった。
これはまた、粋なはからいをしてくれるお人である。
ありがとうございます。
きょうは、久しぶりにyukariさんとお会いできます。
そして帰りに書店に寄って、また村上春樹の小説を探そう。
そしてそして、夜はサッカーのカタール戦。
お楽しみは、これからだ。