10月に『膜・筋膜ー人体張力ネットワーク』 原書『Fascia:THE TENSIONAL NETWORK OF THE HUMAN BODY The science and clinical applications in manual and movement therapy』
竹井仁監訳 医歯薬出版 2015年6月10日 が手に入った。
少しずつ読み進みながら、まず竹井氏による序文を抜き書きして、朝日カルチャー「野口体操講座」で、再々度「筋膜」をテーマに扱いはじめた。
最初、「筋膜」について、朝日カルチャー「野口体操講座」で触れたのは、2009年のことだった。その時は『原書生命体としての人間』第二章「原書生命体の発想」膜と体液つながりの話だった。
その後2010年と2012年に、もう少し踏み込んで触れたことがあった。
このときは、現在はフリーのジャーナリストとして活躍している北村昌陽氏が日経ヘルスのデスク時代に掲載した「筋肉の凝り大研究」で、当時としてはまだまだ一般的ではなかった「筋膜」について取り上げていた記事を参考にさせていただいた。実技編では「竹井式90秒超伸ストレッチ」を5つほど紹介している。
掲載記事は2010年11月号の「日経ヘルス」である。
そして今年の9月9日。ようやくNHK「ためしてガッテン」で「筋膜」を取り上げていた。
実は、「人体における連続的な張力ネットワークを形成している」筋膜研究は、1960年代半ばに、ぼちぼち査読された科学論文が出始めて、2010年ごろになって急激にその数が増えた。
今では、筋膜は“整形外科科学のシンデレラ”と呼ばれ、一般にも知られるようになってきた経緯がある。
この本に話を戻すと、序文には、“なぜ解剖学で筋膜は見逃されてきたのか” その理由が述べられている。
『筋膜は、解剖において最初に切除しなくてはならない包みである』こと。
『ー略ー 合理的に骨や筋を数えることはできるが、人体の筋膜を数えることはできない。筋膜組織は1つの大きなネットワーク器官であり、たくさんの袋やロープのような局所の高密度化を何百と有しており、ポケット内に何千というポケットを有し、また頑丈な隔膜や疎性結合層によりすべて相互に結合している』ためだとある。
つまり、解剖学では白か半透明の筋膜を完全に綺麗に剥がして、包まれていた筋を綺麗に取り出すことが求められる。
筋膜は全て捨てられる運命にあった。
そこに新たなスポットライトが当てられたのだ。
索引を入れると542ページもの専門書で、とうてい深い読みは出来ないが、少しずつ読みながらからだのイメージを豊かに膨らませてみたい、と取り組みはじめた。
野口三千三先生がご存命なら、相当に熱くなられたに違いない。
「膜」とその全身ネットワークとしての働きは、野口体操の「丸ごと全体」、袋に包まれた液体を実感する「寝にょろ」イメージをより豊かな方向に導き、さらに発展させてくれるに違いない予感がある。
この筋膜がもつ張力は、姿勢を維持する”第二の骨格”とも言われるが、この本ではつぎのようなことが書かれている。
いくつかの項目を挙げさせていただく。
*膜組織、とくに筋膜は、すべての臓器、筋、神経及び小さな筋繊維までをも包みかつ結びつけ、人体における連続的な張力ネットワークを形成している。
*身体中にひろがるコミュニケーションシステムとしての膜の役割を探求している。
*筋膜の力伝達に関する最新の情報を提供している。
日曜日のクラスで、質問が出た。
「神経で伝わるのでなければ、どのように力を伝達するのだろうか」
偶然にも竹井仁教室で学ばれた理学療法士の方が受講されていて、興味深い答えをしてくださった。
レッスンの準備段階では、野口体操に直接関係があるといえばあるし、ないと言えばないような微妙さを感じていた私としては、11月1日の日曜日クラスで「筋膜」を取り上げよることに躊躇いがあった。
しかし、思い切って話の口火を切ってよかった、と思っている。
最後に一言。
「日経ヘルス」の記事を読み直してみると、一層、理解しやすくなっていたことに気づいた。
しばらくこのテーマを追ってみたい。
竹井仁監訳 医歯薬出版 2015年6月10日 が手に入った。
少しずつ読み進みながら、まず竹井氏による序文を抜き書きして、朝日カルチャー「野口体操講座」で、再々度「筋膜」をテーマに扱いはじめた。
最初、「筋膜」について、朝日カルチャー「野口体操講座」で触れたのは、2009年のことだった。その時は『原書生命体としての人間』第二章「原書生命体の発想」膜と体液つながりの話だった。
その後2010年と2012年に、もう少し踏み込んで触れたことがあった。
このときは、現在はフリーのジャーナリストとして活躍している北村昌陽氏が日経ヘルスのデスク時代に掲載した「筋肉の凝り大研究」で、当時としてはまだまだ一般的ではなかった「筋膜」について取り上げていた記事を参考にさせていただいた。実技編では「竹井式90秒超伸ストレッチ」を5つほど紹介している。
掲載記事は2010年11月号の「日経ヘルス」である。
そして今年の9月9日。ようやくNHK「ためしてガッテン」で「筋膜」を取り上げていた。
実は、「人体における連続的な張力ネットワークを形成している」筋膜研究は、1960年代半ばに、ぼちぼち査読された科学論文が出始めて、2010年ごろになって急激にその数が増えた。
今では、筋膜は“整形外科科学のシンデレラ”と呼ばれ、一般にも知られるようになってきた経緯がある。
この本に話を戻すと、序文には、“なぜ解剖学で筋膜は見逃されてきたのか” その理由が述べられている。
『筋膜は、解剖において最初に切除しなくてはならない包みである』こと。
『ー略ー 合理的に骨や筋を数えることはできるが、人体の筋膜を数えることはできない。筋膜組織は1つの大きなネットワーク器官であり、たくさんの袋やロープのような局所の高密度化を何百と有しており、ポケット内に何千というポケットを有し、また頑丈な隔膜や疎性結合層によりすべて相互に結合している』ためだとある。
つまり、解剖学では白か半透明の筋膜を完全に綺麗に剥がして、包まれていた筋を綺麗に取り出すことが求められる。
筋膜は全て捨てられる運命にあった。
そこに新たなスポットライトが当てられたのだ。
索引を入れると542ページもの専門書で、とうてい深い読みは出来ないが、少しずつ読みながらからだのイメージを豊かに膨らませてみたい、と取り組みはじめた。
野口三千三先生がご存命なら、相当に熱くなられたに違いない。
「膜」とその全身ネットワークとしての働きは、野口体操の「丸ごと全体」、袋に包まれた液体を実感する「寝にょろ」イメージをより豊かな方向に導き、さらに発展させてくれるに違いない予感がある。
この筋膜がもつ張力は、姿勢を維持する”第二の骨格”とも言われるが、この本ではつぎのようなことが書かれている。
いくつかの項目を挙げさせていただく。
*膜組織、とくに筋膜は、すべての臓器、筋、神経及び小さな筋繊維までをも包みかつ結びつけ、人体における連続的な張力ネットワークを形成している。
*身体中にひろがるコミュニケーションシステムとしての膜の役割を探求している。
*筋膜の力伝達に関する最新の情報を提供している。
日曜日のクラスで、質問が出た。
「神経で伝わるのでなければ、どのように力を伝達するのだろうか」
偶然にも竹井仁教室で学ばれた理学療法士の方が受講されていて、興味深い答えをしてくださった。
レッスンの準備段階では、野口体操に直接関係があるといえばあるし、ないと言えばないような微妙さを感じていた私としては、11月1日の日曜日クラスで「筋膜」を取り上げよることに躊躇いがあった。
しかし、思い切って話の口火を切ってよかった、と思っている。
最後に一言。
「日経ヘルス」の記事を読み直してみると、一層、理解しやすくなっていたことに気づいた。
しばらくこのテーマを追ってみたい。
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