早春、2月3月は、4月1日の「野口体操の会」発足にともなう記念行事の準備で、いつもとは異なる暮らし方をしていた。
自分のための体操は「仏つくって魂入れず」状態であった。
無事に行事を終えて、事後整理も片付いて、「さて、魂をいれよう」と体操にとりかかったのは、4月も中旬に近づくころだった。
左の肩胛骨周辺を中心に、肩の後・前・側面、ぐるりと痛みが取り巻いていた。
「このままでは70肩になりそう」
せっかく40肩も50肩もなくここまできたのに、これではよろしくありません。
痛いところを直接攻めることはせずに、足・腰を中心にした野口体操をやり直した。
お蔭さまで、今週に入って、痛みはなくなった。
さて、別のお話。
この間、椅子の脇においてあるテーブルの上に読みたくて用意した本の山を一冊ずつ崩し始めたのは、先週はじめのことだった。
本日で、2冊目を読みきった。
どちらもなんとなく知っていたことを、改めて確かめることとなった本である。
一冊目は『HSPと分子シャペロン ー生命を守る驚異のタンパク質ー』水島徹著 講談社 BLUE BACKS B1774
4月22日土曜日、朝日カルチャーセンターで、この本を紹介した。
帯の一部をここに書いておきたい。
《生命は膨大な数のタンパク質たちの、化学反応によって営まれている。そのタンパク質たちを、高熱や毒・ウィルスなどあらゆるストレスから守り、壊れたタンパク質を修復し、育む「タンパク質」がある。それがHSPであり分子シャペロンだ》
微細な世界で繰り広げられる壮大な生体防御機構に、生命現象の素晴らしさを知ることになる。
もう一冊は『あなたの体は9割が細菌 ー微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン著 矢野真千子訳 河出書房新社
NHKスペシャルで取り上げられた「腸内フローラ」の話の元になっている本であった。
21世紀病、肥満 アレルギー うつ病は、微生物の多様性が失われることに起因することがよくわかる本だった。
生物多様性の喪失は外側の出来事ではなく、私たちの体の内なる無数の微生物の「生態系」が失われ種の絶滅が進行していることでもあった。
とくにこれからお母さんになる若い女性に、“ぜひ、読んでいただきたい”と、声を大にして申し上げる。
生命誕生・出産と育児について書かれている話の部分は衝撃だが、この話を知って実行していくことは、子供への母親としての義務である、と言いたいくらいだ。
母体は素晴らしいことがひしひしと迫ってくる内容である。
その先を読むと泣けるね!
《数百万年ものあいだ私たちと共に旅をしてきた微生物の存在に敬意を払うこと。これこそが私たちの真の姿を理解し、ひいては100%のヒトになるための第一歩だ》
エピローグの前の章で、著者は書いている。
その記述に、共感できるのだ。
自分のマイクロバイオームを整え、次世代へ伝えることの重要性を静かに受けとることができた。
抗生物質を使いすぎること。
食物繊維の摂取が足りないこと。
赤ん坊のマイクロバイオータの植え付け方と育て方が変わってしまった(自然分娩が帝王切開に)こと。
著者は問いかける。
《この三つの側面に対し、社会として個人としてどう姿勢を変えていけばいいのかを考えてみよう》
微生物の多様性を守ることは社会問題なのだ、ということが理解できる。
個人の力では限界がある。豊かに便利になった社会を支えているシステムを、考え直す必要があるからだ。
「本質的な健康論」は、そこまで踏み込んで警鐘をならしている。
腸内にいる100兆個もの微生物の多様性を守るのは、ひとりひとりの個人である。と同時に社会問題でもあるのだ。
また、『いちばん身近な自然は自分のからだ』という野口三千三の言葉が、微生物との共存の話として語られ、その意味深さを知ることとなった。
「健康を考える」とは、生命との直接的・真摯な対話なのだ。
個体がある。
器官や組織がある。
器官や組織は細胞からなっている。
その細胞には細胞小器官がある。
分子レベルの働きが、私たち健康を左右する鍵となっていることを教えられた。
とりわけ細胞小器官の一つである「ミトコンドリア」は、大昔に取り込んだ細菌の痕跡である。
つまり、動物は細菌なしには誕生しなかった、というわけだ。
引用すると
《動物の細胞にはそれそれ大昔にとりこんだ細菌の痕跡が残っている。自分より大きな細胞にのみこまれた細菌は、宿主にとって有益な存在となった。エネルギーを提供するミトコンドリアである。ミトコンドリアは細胞の発電所にあたる小器官で、細胞呼吸を通じて食物分子をエネルギーに代える。こうした「元細菌」を初期の動物界の多細胞生物の土台となり、必要要素をなってしまったので、もはや細菌とは呼べない存在だ。ミトコンドリアは二つの生き物が提携関係を結んだ例として、進化史上の一つの突破口となった。以来、小さな微生物はより大きな微生物とチームを組むようになった》
私自身と私のマイクロバイオームは、ひとつのチームになっている。
『あなたの体は9割が細菌』を読み終えて、野口の著書『原初生命体としての人間』のなかにある自分の排泄物「糞便」をこねる話に納得できる回答が得られた。
奇行でも何でもないことが証明される記述でもあった。
微生物の生態系が崩れるということは、少なくともヒトという種が、絶滅に向かう速度を速めることなのだ。
「21世紀の健康」を野口体操の視点から考えることは、それほど難しいことではない、と知った。
ここにあげた2冊の本を読むと、体操の意味がしっかりと見えてくるのであった。
自分のための体操は「仏つくって魂入れず」状態であった。
無事に行事を終えて、事後整理も片付いて、「さて、魂をいれよう」と体操にとりかかったのは、4月も中旬に近づくころだった。
左の肩胛骨周辺を中心に、肩の後・前・側面、ぐるりと痛みが取り巻いていた。
「このままでは70肩になりそう」
せっかく40肩も50肩もなくここまできたのに、これではよろしくありません。
痛いところを直接攻めることはせずに、足・腰を中心にした野口体操をやり直した。
お蔭さまで、今週に入って、痛みはなくなった。
さて、別のお話。
この間、椅子の脇においてあるテーブルの上に読みたくて用意した本の山を一冊ずつ崩し始めたのは、先週はじめのことだった。
本日で、2冊目を読みきった。
どちらもなんとなく知っていたことを、改めて確かめることとなった本である。
一冊目は『HSPと分子シャペロン ー生命を守る驚異のタンパク質ー』水島徹著 講談社 BLUE BACKS B1774
4月22日土曜日、朝日カルチャーセンターで、この本を紹介した。
帯の一部をここに書いておきたい。
《生命は膨大な数のタンパク質たちの、化学反応によって営まれている。そのタンパク質たちを、高熱や毒・ウィルスなどあらゆるストレスから守り、壊れたタンパク質を修復し、育む「タンパク質」がある。それがHSPであり分子シャペロンだ》
微細な世界で繰り広げられる壮大な生体防御機構に、生命現象の素晴らしさを知ることになる。
もう一冊は『あなたの体は9割が細菌 ー微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン著 矢野真千子訳 河出書房新社
NHKスペシャルで取り上げられた「腸内フローラ」の話の元になっている本であった。
21世紀病、肥満 アレルギー うつ病は、微生物の多様性が失われることに起因することがよくわかる本だった。
生物多様性の喪失は外側の出来事ではなく、私たちの体の内なる無数の微生物の「生態系」が失われ種の絶滅が進行していることでもあった。
とくにこれからお母さんになる若い女性に、“ぜひ、読んでいただきたい”と、声を大にして申し上げる。
生命誕生・出産と育児について書かれている話の部分は衝撃だが、この話を知って実行していくことは、子供への母親としての義務である、と言いたいくらいだ。
母体は素晴らしいことがひしひしと迫ってくる内容である。
その先を読むと泣けるね!
《数百万年ものあいだ私たちと共に旅をしてきた微生物の存在に敬意を払うこと。これこそが私たちの真の姿を理解し、ひいては100%のヒトになるための第一歩だ》
エピローグの前の章で、著者は書いている。
その記述に、共感できるのだ。
自分のマイクロバイオームを整え、次世代へ伝えることの重要性を静かに受けとることができた。
抗生物質を使いすぎること。
食物繊維の摂取が足りないこと。
赤ん坊のマイクロバイオータの植え付け方と育て方が変わってしまった(自然分娩が帝王切開に)こと。
著者は問いかける。
《この三つの側面に対し、社会として個人としてどう姿勢を変えていけばいいのかを考えてみよう》
微生物の多様性を守ることは社会問題なのだ、ということが理解できる。
個人の力では限界がある。豊かに便利になった社会を支えているシステムを、考え直す必要があるからだ。
「本質的な健康論」は、そこまで踏み込んで警鐘をならしている。
腸内にいる100兆個もの微生物の多様性を守るのは、ひとりひとりの個人である。と同時に社会問題でもあるのだ。
また、『いちばん身近な自然は自分のからだ』という野口三千三の言葉が、微生物との共存の話として語られ、その意味深さを知ることとなった。
「健康を考える」とは、生命との直接的・真摯な対話なのだ。
個体がある。
器官や組織がある。
器官や組織は細胞からなっている。
その細胞には細胞小器官がある。
分子レベルの働きが、私たち健康を左右する鍵となっていることを教えられた。
とりわけ細胞小器官の一つである「ミトコンドリア」は、大昔に取り込んだ細菌の痕跡である。
つまり、動物は細菌なしには誕生しなかった、というわけだ。
引用すると
《動物の細胞にはそれそれ大昔にとりこんだ細菌の痕跡が残っている。自分より大きな細胞にのみこまれた細菌は、宿主にとって有益な存在となった。エネルギーを提供するミトコンドリアである。ミトコンドリアは細胞の発電所にあたる小器官で、細胞呼吸を通じて食物分子をエネルギーに代える。こうした「元細菌」を初期の動物界の多細胞生物の土台となり、必要要素をなってしまったので、もはや細菌とは呼べない存在だ。ミトコンドリアは二つの生き物が提携関係を結んだ例として、進化史上の一つの突破口となった。以来、小さな微生物はより大きな微生物とチームを組むようになった》
私自身と私のマイクロバイオームは、ひとつのチームになっている。
『あなたの体は9割が細菌』を読み終えて、野口の著書『原初生命体としての人間』のなかにある自分の排泄物「糞便」をこねる話に納得できる回答が得られた。
奇行でも何でもないことが証明される記述でもあった。
微生物の生態系が崩れるということは、少なくともヒトという種が、絶滅に向かう速度を速めることなのだ。
「21世紀の健康」を野口体操の視点から考えることは、それほど難しいことではない、と知った。
ここにあげた2冊の本を読むと、体操の意味がしっかりと見えてくるのであった。
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