羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

『まんが少年、空を飛ぶ』想像を超えた本

2019年08月24日 09時03分26秒 | Weblog

久しぶりに泣いた。

両親に残した郵便貯金通帳に走り書きされた「遺書」、そして高知市長宛の戦没者通知のページを見たときだった。

これまで残酷な戦場をリポートした本を何冊も読んできた。

映像でもみることがあった。

悔しさや、憤りや、虚しさや、恨めしさや、さまざまな感情が渦巻くことはあっても、涙はこぼれなかった。

ところが、可愛らしい兵隊さんの訓練や日常を丁寧に描いた『まんが少年、空を飛ぶ』ページを一枚ずつめくりながら、優しい気持ちになっていただけに、突きつけられた現実の死に、全ての感情が停止して、ただ涙がボロボロとこぼれたのだ。

 

8月15日数日前に、 NHKニュースでこの本のことを知った。

著者は大戦末期に特攻隊員だった山崎祐則さん。100通を越す絵手紙を実家や親族宅に送った。

その手紙をまとめた本である。

遺品や漫画や手紙を展示公開する催しが、15日まで高知市で開かれていることも知った。

実際に、この目で確かめたかった。

飛行機の予約状況を検索した。三席空席ありを見つけた。

しかし、折から台風が接近している。もしかすると高知に直撃か、というような進路予想だった。

お盆ということもあって、泊まるところもないかもしれない。

泣く泣く諦めた。

でも、気持ちはおさまらない。

鬱憤を晴らすために、鰻の蒲焼でも食べに行こうか、などと思いもした。

「待てよ!」

アマゾンを検索。

ようやく、一週間以上が過ぎた、昨日、本が届いたのである。

予想をはるかに超えた素晴らしい出来栄えである。

丁寧に、心を込めて、抜かりなく、隅から隅まで配慮された一冊である。

これほど魂がこもった本を今まで手にとったことはない。

何千語、何万語を費やしても伝えきれない出来栄えである。

「見ていただくしか、あるまい」

本日、朝日カルチャー「野口体操講座」に持参します。

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