今年の演目は「トロイア戦争ートロイラスとクレシダ」だった。
この作品は、シェイクスピアのオリジナル作品ではなくチョーサー作『トロイルスとクリセイデ』とホメロス作『イリアス』が主な参考作品だとプログラムの解説に記されていた。
内容は単純にして複雑、複雑にして単純であった。
しかし、学生達の翻訳テーム「コラプターズ」もかなり手こずったらしい。
この公演に向けての活動は、11月公演が終わると、時を待たず次の作品準備に取りかかる。
ほぼ一年がかりの公演なのだが、翻訳のよさが上演の質を決める鍵になる。
その点からしても、今年の作品は難しかったに違いない。
すでに稽古が始まった8月に、はじめてキャストとスタッフの学生にあった瞬間に感じていた。
「大丈夫か?」
年を取ったせいだろうか。
学生が、頼りなく見える。
指を折って数えてみなくても、1年生は19歳で参加である。
1年から4年まで、ほぼ半世紀、年の離れた若者を前にするのだから仕方がないのかもしれない。
自分の年齢のせいにして、落ち着こうと試みた。
さて、このプロジェクトとかかわって、すでに6年、7年になるだろうか。
毎年、8月から9月初旬にかけて、週に2回 計8回の野口体操ワークショップを行っている。
当然といえば当然なのだが、シェイクスピア作品を上演するという、たった一つの目標を持つ学生たちは意気込みが違う。
授業とは食い付き方が違う。
その意味ではしっかり手応えを感じている。
実は、今年から一回の時間もながくなった。
その上、昨年から引き続いて、ピーターが助手についてくれている。
ここで、ピーターのことを紹介しておきたい。
南アフリカからの留学生で、現在、博士論文に取り組んでいる。専攻は理論物理学ということだ。
彼が野口体操を習いはじめたのは、昨年の4月からだった。
もともと14歳から空手をはじめていたと聞く。
野口体操の教室に現れたその日から、素晴らしい素質と真摯な学ぶ姿勢を見せてくれた。
なんといっても集中力の凄さから、ただ者ではない雰囲気が伝わってきた。
短期間で本質を捉え、メキメキ上達してくれた。
そこでこのプロジェクトにも参加してもらった次第だった。
頃合いを見てユーモアも欠かさない。
これだけ揃っていれば、学生の心を一気につかんでしまうのだ。
よき助手ぶりを発揮してくれたことで、今年も充実した8回のワークショップの手応えを得られた。
そして本番を迎えた11月12日。
舞台を見て、私は安堵した。
難しい作品を見事にまとめあげた。
一つには14回も継続してきた積み重ねがあるだろう。
着実によき歴史をつくりあげた先輩たちの蔭ながらの応援があるだろう。
来年は、第一回目に上演した『ベニスの商人』を再演するらしい。
ことしの不可解な作品をしっかりまとめた力は、次なるステージへの土台つくりになったはずだ。
よい意味でいっているのだが、気乗りのしない作品であっても、一途に取り組んでそれなりの成果を上げるという回もなければ、継続は不可能だ。
3日間・5回公演で3600人以上の観客動員数を得ているという。
毎年、積み上げて、内容は当然のこと、成長に成長を積み上げてきたプロジェクトである。
今年を境に、来年の再演を機に、成長から成熟へとシェイクスピアを磨き上げる時期にきている、と打ち上げの場でも話させてもらった。
また、一年、苦しみながら、楽しみながら、衝突しながら、仲間との関係を深めながら、まわりからの期待と激励に押しつぶされることなく、『ベニスに死す』ではなく『ベニスの商人』が生まれ変わってきらめく舞台を楽しみにしている。
関わった140人以上の学生、一人ひとりに、拍手を贈りたい。
そして、ピーター 野口体操との出会いを大切に育ててくれてありがとう!
この作品は、シェイクスピアのオリジナル作品ではなくチョーサー作『トロイルスとクリセイデ』とホメロス作『イリアス』が主な参考作品だとプログラムの解説に記されていた。
内容は単純にして複雑、複雑にして単純であった。
しかし、学生達の翻訳テーム「コラプターズ」もかなり手こずったらしい。
この公演に向けての活動は、11月公演が終わると、時を待たず次の作品準備に取りかかる。
ほぼ一年がかりの公演なのだが、翻訳のよさが上演の質を決める鍵になる。
その点からしても、今年の作品は難しかったに違いない。
すでに稽古が始まった8月に、はじめてキャストとスタッフの学生にあった瞬間に感じていた。
「大丈夫か?」
年を取ったせいだろうか。
学生が、頼りなく見える。
指を折って数えてみなくても、1年生は19歳で参加である。
1年から4年まで、ほぼ半世紀、年の離れた若者を前にするのだから仕方がないのかもしれない。
自分の年齢のせいにして、落ち着こうと試みた。
さて、このプロジェクトとかかわって、すでに6年、7年になるだろうか。
毎年、8月から9月初旬にかけて、週に2回 計8回の野口体操ワークショップを行っている。
当然といえば当然なのだが、シェイクスピア作品を上演するという、たった一つの目標を持つ学生たちは意気込みが違う。
授業とは食い付き方が違う。
その意味ではしっかり手応えを感じている。
実は、今年から一回の時間もながくなった。
その上、昨年から引き続いて、ピーターが助手についてくれている。
ここで、ピーターのことを紹介しておきたい。
南アフリカからの留学生で、現在、博士論文に取り組んでいる。専攻は理論物理学ということだ。
彼が野口体操を習いはじめたのは、昨年の4月からだった。
もともと14歳から空手をはじめていたと聞く。
野口体操の教室に現れたその日から、素晴らしい素質と真摯な学ぶ姿勢を見せてくれた。
なんといっても集中力の凄さから、ただ者ではない雰囲気が伝わってきた。
短期間で本質を捉え、メキメキ上達してくれた。
そこでこのプロジェクトにも参加してもらった次第だった。
頃合いを見てユーモアも欠かさない。
これだけ揃っていれば、学生の心を一気につかんでしまうのだ。
よき助手ぶりを発揮してくれたことで、今年も充実した8回のワークショップの手応えを得られた。
そして本番を迎えた11月12日。
舞台を見て、私は安堵した。
難しい作品を見事にまとめあげた。
一つには14回も継続してきた積み重ねがあるだろう。
着実によき歴史をつくりあげた先輩たちの蔭ながらの応援があるだろう。
来年は、第一回目に上演した『ベニスの商人』を再演するらしい。
ことしの不可解な作品をしっかりまとめた力は、次なるステージへの土台つくりになったはずだ。
よい意味でいっているのだが、気乗りのしない作品であっても、一途に取り組んでそれなりの成果を上げるという回もなければ、継続は不可能だ。
3日間・5回公演で3600人以上の観客動員数を得ているという。
毎年、積み上げて、内容は当然のこと、成長に成長を積み上げてきたプロジェクトである。
今年を境に、来年の再演を機に、成長から成熟へとシェイクスピアを磨き上げる時期にきている、と打ち上げの場でも話させてもらった。
また、一年、苦しみながら、楽しみながら、衝突しながら、仲間との関係を深めながら、まわりからの期待と激励に押しつぶされることなく、『ベニスに死す』ではなく『ベニスの商人』が生まれ変わってきらめく舞台を楽しみにしている。
関わった140人以上の学生、一人ひとりに、拍手を贈りたい。
そして、ピーター 野口体操との出会いを大切に育ててくれてありがとう!
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