羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

野口体操巡礼の旅 花のむこうに……

2017年04月08日 05時58分59秒 | Weblog
 東京の桜は満開の時を迎えたのも束の間、菜種梅雨にはいった模様。
 今朝は、目の中のシャッターを切って持ちかえった、国立の桜を思い浮かべている。
 昨日、街は花の色に染まっていた。
 国立駅に降り立ってすぐ、ここに通っていた頃、半世紀以上も前の記憶を引き出してみた。
 これほどに重量感のある桜並木ではなかったような気がする。
 老木になって、養生されている木も少なくない。
 
 桜の木の下で、花に包まれて、ふと、思う。
「花狂い」させられても、不思議はないなぁ〜。
 
 …… 遊行僧は、花を求めて奥へ奥へと歩みを進める。そして一本の山桜に出会う。何を思ったのか、携えて来た刃物で、幹に傷をつける。したしたと流れる血の赤に命を見ておののき、静かに経文を唱えた。どこかで読んだ話……
 花は人の心をふわっと、宙に舞い上がらせる。
 見えぬもの見せてくれる。
 朧だった輪郭が明瞭な象を描き出してくれる。
 過去も現在も未来も超えて、彼岸からささやきかけてくる。
 
「先週の上野のお山は、三部咲きだったなぁ〜」
 そんな中、寛永寺の境内にある満開のしだれ桜だけは、少し濃い紅をたたえて私たちを迎えてくれた。
 なにはともあれ、いい一日だった。

 一週間が過ぎて、ようやく私の肩の荷がおりた。
「同行二人」
 つぶやく。

 もう少し、野口先生と一緒に旅を続けるような気がしている。
 花曇りの空の向こうに、見える景色がある。
「そうだ、映画をつくろう」
 これまでも、漫然と思っていたことだが。
 それがはっきりした。

 お集りいただいた皆さんの笑顔を思い出す。
 記念の行事が無事に滞りなくすすむように支えてくださったお一人おひとりの力を思う。

 今だから、出来ることがある、はずだ!
 確証はないが、そんな風に思える。

 ……桜に狂わされたのかな……
 それならそれでよしとしよう。
 
 会にご参加くださった方に、幹事さんを引き受けてくださった方に、私にも、泉下の野口先生からメッセージが届いたような気がしている。
「よろしくね!」
 いかにもあっさりしているが、先生の最期の言葉だ。
 笑ったお顔の遺影の口が、再び、そう言っていた。

 皆さま、ありがとうございました。
 これからです。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 野口体操巡礼の旅−3−「酒と... | トップ | 満月を20回見ることができ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事