蔵の工事は、職人の技の継承が失われる昨今にあって、珍しい本物の手仕事で進められている。
搬入した長ーい長ーい角材を寸法に合わせて切り、それを組み合わせるために鑿を使って仕上げて行く。
今時の建築現場では、ほとんどお目にかからなくなった工法を、連日、見させてもらっている。
本日は、仕事はさらに進んで、床張りの前の下張り(専門用語はわかりません)作業を、黙々と続けているようだ。
さて、10月末に床落ちを発見して、地下にあったものは産業棄物として搬出。
残すものは工務店の倉庫に一時保管してもらっている。
こうしたものの選別と解体作業は、4日間をかけて行われた。
実は、床落ちに気づく何年か前から、蔵にこもっているカビの匂いには気づいてはいたのだが、手をつけることができなかった。
実際に、ことが起こって蓋をあけてみると、さらなる強烈なカビの悪臭と何十年もの時間をかけて朽ち果てたものの匂いで気絶しそうになった。
解体作業が終わって、住居と接している入り口の扉は締めたまま、蔵の二階と一階の窓は、終日、開け放っていた。
新年を迎え時には、地下部分は十分に乾燥して悪臭は消えていた。
そして、今週の月曜日から大工さんの仕事が始まったと思ったら、カビの匂いに変わって、今度は檜の香りが漂ってきた。
かくして、日ごとに変化する工事の進み具合を、香りからも感じている。
日の出がはやまり、日の入りは遅くなる、時候の微細な変化を感じる一月も、下旬と相成りました。
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