羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

動作解析が証明する「むち動作」

2009年04月12日 09時32分34秒 | Weblog
 野口体操の理論のなかで「鞭の原理」は、戦後の早い時期に取り入れられた。
 もちろん野口は鞭を自らつくった。
 これはサーカスの鞭を改良したものだ。
 持ち歩いても支障がないように材料を吟味し組み合わされた材料の比率を工夫した特別な‘野口鞭’である。

 乾いた音。
 いい音が出たときの動きの美しさ。
 とりわけ空中で円を描きながら、いい音が出たときがもっとも美しい。
 力はいらない。
 むしろ馬鹿力は邪魔になる。
 鞭の先の通り道を、全身の感覚で捉えられたときの快感。
 亜音速をこえるスピードは、筋力とは関係ないところから生まれる。
 
 昨日の土曜日クラスでは、4日の「身体サミット」では伝えられなかった‘鞭の原理’について説明できた、と思っている。
 最近ではスポーツ界でも、「むち動作」として、動作解析が行われている。
 熟練者にあらわれる「むち動作」は、野口体操が半世紀を越えて培ってきた動きの理論・実践とまったく同質である。

 少ないエネルギーで、有効な力が出せる鞭ゆえの筋肉の働き方・活かし方があることも、野口体操では証明済みである。
 それだけではない、実際の動きが工夫され、継承されるだけでなく進化している、と自負が持てるようになった。

 ようやく世の中の身体の教養が、野口体操を理解できる閾にまで成熟しつつある。読みようによっては傲慢な物言いだが、そんな実感を得ている。
 
 野口没後、十一年目、春の新学期寸描。
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