羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

『漢字語源辞典』あれこれ

2019年07月16日 13時18分44秒 | Weblog

このブログに、『漢字語源辞典』を近くの古書会で見つけて、その値段に驚いた話を書いた。

昭和40年(1965)9000円のものが「500円」という安さに、著者と本がかわいそうと思った。

今日になってアマゾンを調べてみたら、5000円から16000円までの幅があって、納得したところだった。

私の感覚がまずまずだったことがわかって、ようやく落ち着いた。

ま、でも、驚くべき掘り出し物だったわけで・・・・、ちょっと複雑であります。

後に編纂された学研『漢和大事典』を引く当たって、この『漢字語源辞典』を読んでおくことで、藤堂明保が意図したところが非常によく分かることを体験した。

アマゾンのコメントにも音韻(字音)の問題として、上古音(周・漢代)を主にしていることから、もっと古い甲骨文字の殷代以前の音はわかりようがないとしても、「単語家族」をすべて鵜呑みにするのは危ういと書かれていた。私も同感。

しかし、耳の記憶は、非常に正確である。多くの文化が持っている口伝というあり方は、かなりの精度で伝えられていくことから、音の変化はあっても核になる音は残っている可能性も無きにしも非ず、ではないだろうか。

「単語家族」が書かれた当時、解読された甲骨文字数は約1500字、未解読を含めると3000字であった、とある。その数字だけをみても、甲骨文字が殷代に初めてつくられたとは、誰も思わないだろう。優れた体系を持った文字群は、おそらくそれ以前の時代に、何がしかの萌芽があり、ある程度の体系化がなされていたと考えるほうが自然だと思う。

この一冊は、くるべくしてきた、と思いたい。泉下の三千三先生の采配で、あの古書会の棚に、鎮座させたのではあるまいか、と思いたい。

「エッ、いいんですか」(私)

「はい、いいですよ」(店主)

躊躇わずに手に入れたくなる「ワンコイン」というおまけまでつけてくれた。

それに、誰も読んだ形跡がない綺麗な本だった!もう一つのおまけ付きであった。 

 

*次回は、「貞」と「鼎」のことを書きます。

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