少しだけざらつきがある。ざらつきがあるとはいえ、尖ってはいないバスバリトンの声。
もう一人の声は、張りのある透明感のある賢さを感じさせるテノールの声。
一人はロシア語、もう一人は日本語。
スタニスラフスキーについて語られる二重唱を聞く心持ちに、メモを取りながらも浸っていた。
3時間はあっという間に過ぎていった。
『スタニスラフスキーとヨーガ』の著者・セルゲイ・チェルカッスキーさんのレクチャーを聞いた。
通訳は、上世博及さん。
これまで、昭和30年代に野口三千三とであった新劇関係の数名の方から、話を伺っている。
それぞれの方から聞いたスタニスラフスキー・システムとの関わりに方に、違いが大き過ぎて首をひねってしまっていた。
私が、このシステムことを全く知らずに話を伺っているからだろう。
そこで本を集めて読むつもりになった。
が、手にとっても、読み進められない。
たった、一冊、『スタニスラフスキーとヨーガ』だけは、最後までページをめくることが唯一できた本だった。
今回、直接、著者に話を聞くことができるということで、二度目の読書をして臨んだ
実際に話を聞き、ワークショップを見学して、かつてピアノのレッスンで・ピアノ教育で受けてきた、その道に通じるをこと知った。
自分自身の身体感覚で、受け止めることができたのだ。
何より、私自身「感覚の洗濯」ができたように思える。
よごれを落とし、さびを落として、三千三を見直し、ゆかりの方々の話を復唱している。
なぜ、彼はあのようなことを語ったのか。
なぜ、彼女は今あのようなことに深い関心を持っているのか。
新劇関係の方から聞いた話の謎の一つの原因がつかめたような気がしている。
話を戻す。
昨日のレクチャーの最後に、セルゲイが進行役のドキュメンタリー映像(公営放送)が流された。
スタニスラフスキーとスタニスラフスキー・システムについて、必要な知識も得られた。
BGMにはバッハが鳴り、ロシア語の語り、英語の字幕、日本語の通訳がついて、なかなか立体的な体験だった。
帰宅して、積ん読く山を一つ崩した。
分厚い『俳優の仕事』第一部 スラスラと読み進めることができることに、驚きを隠せない。
それもこれも宮原清美さんのおかげです。
2019 収穫の夏も いよいよ終わりに近づいた。
幸運に感謝!
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特別講義『世界におけるスタニスラフスキー・システムの流れと実践』
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