羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

私は虫である

2009年10月10日 11時57分35秒 | Weblog
 久しぶりに画面に釘付けになった。
 NHKアーカイブ「熊田千佳慕 昆虫画家」の話だった。
 2004年、93歳になってもファーブル昆虫記の絵を描き続けた画家。
 地に這いつくばい、虫の眼の高さで、虫を描き続ける根気。
「私は虫である」
 そう言わしめた毎日の暮らし。
 旅行にも出かけず、一年のうち電車にのることも数回あるかないか。
 農家の百年たった納屋に住み続ける。
 庭は樹木や花に覆われ、衣類は足踏みミシンでこしらえる妻の手作り、巣立った子供は二人。
 
 ドキュメンタリーに映る家の様子は、野口先生の西巣鴨の暮らしを彷彿させるものがあった。
 一つのことに集中し、新しく自分の世界を作り上げるということは、いわゆる普通の暮らしの気遣いをしていたら出来っこない、ということをありあいりと見せてもらった。

 しかし、画家はいい。
 何年かかろうが、書き上げた絵が残っていく。

 しかし、野口体操は絵描きが‘これですよ’と差し出すようには残らない。
 野口が生涯をかけた体操の創造は、引継ぐものがあってもそれ自体は野口の死とともに消える運命にある。
 しかしである。
 さて、これからどうするのか、と突きつけられたようなアーカイブ番組だった。

「殺伐とした世の中を少しでも柔らかくしたい」
 熊田さんが個展会場でもらした言葉が胸に迫った。
 
 野口体操の‘ゆれ’の世界を、いかに伝えていくのだろう。
 しばしのテーマは、それかな?!
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